自炊

 

 

単身赴任で来ているので昼は病院で食事を頼んでいるが、朝、夕は
(近くに食堂みたいなものもなく)自炊ということになる。
自炊のシステムはつりのところで紹介した、丸元淑生(まるもと
よしお)氏の本を参考にやっている。麦をまぜた玄米を炊き、
大豆などのもやし(今はスプラウトというのが流行らしいが)を
部屋でつくり、丸底なべで豆を煮ている。

上の図でも明らかなように丸底なべは特に少量の料理(たとえば
みそ汁1杯)の場合に威力を発揮する。
だしはいずれ述べるが、昆布とかつお節をけずったもので
とっている。こっけいなのはかつお節である。名古屋で(けずって
いない)かつお節を買おうとしたら、栄(名古屋の中心)の三越に
無く、となりの丸栄の「にんべん」にやっとあった。「にんべん」は
インターネットで販売もしている。(削り器も売っている。)
こんな基本的食材をインターネットの通販で買わなければ手に
入らくなった日本での伝統とは、なんだろうか。

島でいろんな人に聞くと、この辺では、だしを”いりこ”でとる
ことが多いそうだ。ただ丸元淑生先生の本では良質のいりこを
選ぶのは難しいとあったので避けていた。たまたまスーパーで
いりこを売っていたので丸元先生の本のレシピで昆布といりこで
だしをとり、うどんを作った。これが腰が抜けるほどおいしい。
またある人には、いりこでだしをとる場合、黄色くなるので
十分だしが取れたかは色で判断できると教えてもらった。
実際、昆布といりこでだしをとると以下のようになった。

まさに黄色い。
また、だしがらを昔は食べていたと聞き、ことあるごとに食べ方
を質問している。つくだ煮を作ろうと思っていたが、すこし
さめてから味をみたら、そのままでも(味付けしなくても)十分
おいしかった。
島に長寿者が多い理由の一つは豊富な”いりこ”では
ないかと思った。(うどん1杯あたり、いりこ代は50円弱)

 

これは私がすんでいる橘町の拡大図である。北東に浮島というのが
あるが、ここで、夏の終わりに、いわしをとり、いりこに加工する
と役場の方に教えていただいた。加工工程を一度は見に行こうと
考えている。

 

丸元先生の本に漬け物の作り方があったのでやってみたが塩辛い。
漬け物の難しさは、周囲の温度が低すぎると発酵がすすまず、
高すぎると雑菌が繁殖する、ということだ。先生はワインセラーで
温度と湿度を調節することを説いている。もう少し検討が必要と
考えた。部屋を整理していたら、NHKのためしてがってん
ピクルスの作り方を紹介していたメモがでてきた。
NHKのホームページでもレシピを紹介している。この場合、酢が
雑菌の繁殖を防ぐので塩漬けよりは温度管理が簡単そうである。
それに塩辛くないし。(塩漬けでも発酵がうまくいけば塩辛く
なくなるとはよく、いわれているが、温度管理がいい加減だと
雑菌の繁殖を防ぐため、塩を増やさざるをえなくなる。)
とりあえず、ためしにピクルスを作ってみた。
毎週金曜日の午後0時から45分間、病院の前に巡回のパン屋

さんが来て行列ができる。全粒粉パンを売っているので

驚いた。ただし売れ筋は「白い食パン」というのだそうだ。
救急車の入り口をふさいでいても今のところトラブルが無い
のが現在の、のどかさを象徴している。
なお写真のパンの黒いつぶつぶはゴマである。

最近は昼は病院の食事だけではものたりないので自分で作り置き
したほうれん草のおひたし、大正金時豆のサラダ、大豆のもやし
をタッパーにいれて持っていっている。写真左上はピクルスで
ある。

今までどうしてこういうものがなかったのか不思議だが、ぬかみそ
のみそ、そのものをスーパーで売っていた。NHKのためしてがってん
などで調べると、ぬかから発酵を進めて、使えるまでに普通3ヶ月
かかるそうで、すでにできている、ぬか床を誰かにもらうと早い
そうだ。しかし、ぬかそのものを売っているのでためしに
買ってみた。発売元は名古屋では「きゅうりのきゅうちゃん」で
有名な東海漬物である。

丸元先生の本のレシピにしたがい、じゃこごはんを炊いた。
このおひつは1 合分だが、このまま電子レンジにかけられる
すぐれものである。名古屋の東急ハンズにあった。
なおビタクラフトで炊いたので、おこげもできる。

また丸元先生のレシピにより、だしでレンコン、ゴボウなどを
煮た。氏のレシピは砂糖、みりんを極力使わない。
砂糖、みりんを使用すると塩分やカロリーの過剰をまねく
というのが氏の主張である。(酒としょうゆとだしで
ほとんど味をつける。)
本屋でいろんな本を見ては、砂糖やみりんの量をチェックして
いる。
たまたま最近、NHK きょうの料理 別冊で昭和30 年代にすでに
辻嘉一という高名な料理家が「戦後に修得なさった料理の、
その味付けの中から少しずつ砂糖を減らしてみて下さい。
(中略)砂糖の量をへらすと、この道づれにされている
しょうゆや塩がクローズアップされてまいります。」と
指摘しているのを見つけ、我が意を得たりと思った。