嵐の五葉山ツアー 1998.8.28-30
8月末、台風の接近と大雨の中、大勢の方の心配も何のその、予定通り岩手の霊峰五葉山への登山が実施されました。3年前は12月の雪山でしたが、晴天の空の下、暑いぐらいの日差しの中での登山でした。さて、今回の登山は――

8月28日、何人かの参加者からの「実施されるんでしょうか?」との問い合わせの中、刑部の「大丈夫。早めに出ましょう」との連絡が回り、京都、大阪、岐阜、名古屋、東京、そして秋田からもそれぞれ岩手に向けて出発しました。夕刻までには全員が集合場所の旅館に到着。汗を流した後の食事で軽い自己紹介もあり、翌日への準備は万端です。


翌29日、まだ雨は降り続いています。それでも皆、何の不安もなく、用意されたお弁当を持って五葉山へと出発。登山開始の赤坂峠で神社に登山の無事をお祈りしました。雨はその途端小降りになり、意気揚々と登り始めます。

2合目のおびただしい数の石が積み上げられた「賽の河原」で最初の休憩。眼前には山々の間に雲海が広がります。


次の休憩場所は4合目の畳石。「良い匂いがする」と何人かの人が畳石の匂いを嗅いでいました。匂ってみると、雨のせいなのか本当に香水のような匂いを出していました。

また、ここには200mほど離れた処に湧き水があり、冷たくてとても美味しい水です。参加者の一人に神楽を舞う青年がいて「ここには龍神様がいますね」と笛を献ずると、龍神様が歓んだのか雨が強く降ってきて閉口しました……

そこからは、もうそれぞれのペースで登ります。元気な人たちは雨をものともせず登るかと思うと、のんびりと先を急がない方々もいます。8合目くらいからは登山道が水の通り道になって、子どもの頃の川遊びのようにその冷たい水の中を登っていきます。山頂の手前にある山荘に到着したときは、さすがにどの顔にも安堵の表情が見えました。そして、ここでも湧き水が歓迎してくれます。それぞれ顔を洗ったり、のどを潤したり、超冷たい水が2時間半の登山で疲れた身体に染み通っていきます。

そこで昼食の後、山頂にある日枝神社に参拝。「前回はこの鳥居に雪がエビのしっぽのように付いてたなあ」と3年前の参加者が懐かしそうに感動しています。

そこから山頂の標識の前を通って原生林の中に隠れた月の塔へ。先頭を行く私は小熊(!)に遭遇。珍客のお出迎えにびっくりしました。このような旅では常に小動物や鳥や亀などが現れて出迎えてくれますが、前回はこの同じ場所で鶴の飛翔を見たのでした(刑部著『ジパング』参照)。

この大雨の中で沼のようになった原生林(写真左)は人の通れるような状態ではありませんでした。それをおして導かれるように奥へ奥へと進んでいったとき、突如全長8mという月の塔に出会った人々は皆それぞれに魂の震えるような想いを感じたようです。

この月の塔の周りは、他と次元を異なるような温かいエネルギーに包まれています。そのエネルギーの中で皆が思い思いに岩に抱かれ、子供のようにはしゃぎ、ある者は笛を吹き、ある者は音霊を出し、普通では得ることの出来ない時を過ごしました。が、そのとき、思いもかけない出来事が起こったのですが、詳細はこちらをご覧ください。
(拡大できます)
夕刻、登山は一人のけが人もなく無事終了。行きと同じように赤坂峠の神社にそれぞれが感謝の祈りを捧げて五葉山を後にしました。旅館に帰るバスの中でも「こんな経験は滅多に出来ない」と皆よろこびの表情でした。

その夜は食事から宴会へと続き、最後は刑部を囲んでの話の会になりました。

翌30日朝、旅館の裏の川は増水し、今にも溢れそうです。この後の予定があった刑部一行も急遽予定を変更し、帰京することにしました。実際、旅館を出るとすぐに道路が冠水して片側通行になっており、そうしないと足止めされるところだったのでしょう。帰り道の郡山では住宅が浸水する被害も見受けられました。この大雨の中をなぜ私たちは五葉山に登っていたのでしょうか。いずれその答えを見つけられると思っていますが――。(森高

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