書名:メディアの支配者(上)
著者:中川一徳
発行所:講談社
発行日:2005/9/8
定価:1800円+税
書名:メディアの支配者(下)
著者:中川一徳
発行所:講談社
発行日:2005/9/8
定価:1800円+税
フジサンケイグループ鹿内一族(鹿内信隆、春雄、宏明)のメディア支配の歴史をまとめたドキュメントです。
ニッポン放送が持ち株会社となって「フジテレビ」「産経新聞」「ポーニーキャニオン」など会社を統合したグループ経営その主体となる議長体制で運営していたフジサンケイグループの特異な経営方法。そのうしろに箱根の彫刻の森美術館が重要な役割を果たしている。複雑怪奇な物語です。鹿内信隆というカリスマがニッポン放送、文化放送など設立時関わった謎。ニッポン放送を親会社とした非上場企業として経営している。西武の堤一族と似たようなところがあります。世の中の公器を標榜する新聞、テレビ、ラジオ(メディア)の実態はどろどろとした権力争いが渦巻いている。
ライブドアのニッポン放送(株)の買収劇から始まって、20年前の鹿内宏明の取締役解任クーデター、ここで主役だった日枝久(フジテレビ社長)、ホリエモンのライブドアでは防衛側に、歴史は繰り返す。鹿内宏明の取締役解任クーデターに登場する人物は多士済々、司馬遼太郎など作家と言うよりはかなり悪辣な策謀家、司馬遼太郎ファンが読むと眉を顰めることも。鹿内信隆は右派を宣言することで、財界、政界とのパイプ、ムーアの彫刻(彫刻の森)など全て商売ネタにしてどん欲にメディア支配を遂げていった人物(裏ではいろいろあくどいことにも手を染めている)として描かれている。本社(お台場)の土地東京都から払い下げについても、当時の鈴木都知事、丹下健三、鹿島建設など絡んだ疑惑。産経新聞の赤字補填のためのグループ会社から持ち寄り。など法令違反になりそうなことも。業界では常識なのでしょうが、こんな話を知ってみるとメディア業界のうさんくささを感じてしまう。世の中の公器とは絶対思ってはいけない。
新聞の発行部数というのは販売店に渡した数量。発証部数(これはお金を払ってもらえた部数)この数字は何処の新聞社でも決して公表しない部数(実質)、一時、産経新聞では80%以下になったことも。新聞の販売員の歩合(1990当時)6ヶ月契約で6000円、1年契約で8000円程度だったとか。発行部数は広告料にも影響するのでなかなか下げない。実際買って貰えなかった新聞は即、古紙回収へ。新聞という商売の近代化出来ていないところが、販売と販売店、販売員、本社(記事)の仕組み。これにメスを入れようとしていた宏明(信隆の養子・・・二女の婿)はクーデータで解任されてしまう。
読んでいてあきない本ですが、知らなくても良いことかも。