書名:日本人を幸せにする経済学
クールでハッピーで生き抜こう
著者:日下公人・森永卓郎
発行所:ビジネス社
発行日:2004/7/1
定価:1400円+税
日下公人さんの本はちょっと3~5年、いや10年進んでいるので、発行されたばかりの本より、ちょっと遅れて読む方が社会の実際の動きにあっているように思う。この本は「年収300万円時代を生き抜く経済学」の著者森永卓郎さんとの対談です。アメリカべったりの世の中に大きく警告を発している。特に小泉、竹中の政府の舵取りに!アメリカは昔資本が無かった仕方がないのでヨーロッパから資本を借りてきた(資本がなかったから資本主義になった)。その時資本を貸したオランダが経営の透明化(明確化)を要求した。アメリカの場合「会社は誰のもの」は仕方なく株主のものと言う以外なくなった。ところが日本は資本、技術もなかった。人がいた。仕方がないのであれやこれやと苦労しながらみんなで商売をやってきた。したがって「会社は従業員のもの」資本も持ち寄り、明確な資本家はいない。商法では「会社は資本家のもの」になっているけれど従来の日本では?かなり曖昧なもの、従業員、お客様のものの比重が高かった。こんな例をいろいろ雑談風に対談しています。なかなか面白い。ところで「会社は誰のもの?」ということを言い出したのは30年ほど前に日下公人だとのこと。その後日本経済新聞が、次にNHKが?で最近はいろいろなところで。
社会の仕組みとしては日本の方がずっと進んでいてアメリカなどは20年遅れている。中国は100年遅れている。かねかねの世の中、限度をしなない金儲け、どれだけあれば良いのか?それを見失って人生を無駄に過ごすより、自分が豊かになれみんなが楽しくなる世の中にするには?少なくとも今の世の中の流れではないと言っている。アメリカ一辺倒から軌道修正をしないと日本の明日は見えてこない。と毎回読む度に新しい視点を提供してくれる日下公人さんです。
本書より
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今の企業が戦後ずっと培ってきた「雇用を大切にしよう」「従業員のチームワークを大切にしよう」という文化や「勝手に賃下げしてはいけない」「勝手に首を切ってはいけない」という暗黙のルールから、今、ハゲタカたちのルールへとものすごいいきよいで舵を切っている事です。「従業員は単なる使用人にすぎない。会社は株主のものである」とか「従業員を使って地益を出す」ことが経営者の仕事で「利益を上げた経営者が偉いのだ」と臆面もなく公言するようになってきています。さらに、メディアはそういう新しい「文化」が正しいと考えているようです。ハゲタカのルールで成功した経営者をしきりに賞賛しています。・・・略・・・・それは日本の社会を壊していくことになるのです。
「成果主義」より終身雇用制が人間にとって理想である。
アメリカ的成果主義はゴマをする人間ばかりが出世する。
金が金を生んでいくシステムは絶対許してはいけない