書名:柴田錬三郎選集4
赤い影法師、柴錬立川文庫
著者:柴田錬三郎
発行所:集英社
発行日:1989/10/25
定価:3107円+税
戦国時代を舞台に歴史の表には出てこない影の忍者を主人公に、表に登場する人物の歴史の一こまの裏舞台を描いている。寛永御前試合(家光の時代)10番勝負の裏で太閤秀吉の隠し埋蔵金の在処を探る忍者(影)の活躍を描いている「赤い影法師」柴錬の奇想天外な物語。と講談を速記することで大正時代一世を風靡した立川文庫(真田十勇士などの物語)の柴練版立川文庫。山田長政、猿飛佐助、後藤又兵衛、真田大助、百々地三太夫、淀君、風魔鬼太郎、霧隠才蔵、三好清海入道、柳生新三郎、岩見重太郎などが関ヶ原の戦い、大坂冬の陣、大阪夏の陣を舞台に活躍する様子を描いている。史実とはかなり飛躍しているが、なかなか興味あるストリーの展開です。語り部としての柴練の面白さがあります。また昔立川文庫が少年達に人気を博したというのが判るような気もします。結構文章としても内容に置いても当時の少年の読書力を彷彿させるような感じがします。今の子供足りだったら読みこなせるか?文章、漢詩、和歌などの教養がないと理解出来ないところが多々あるように思います。江戸、明治の教養が大正時代の立川文庫を流行させた。といえるのではないでしょうか?