家族について


 

   テーマ「家族について」まとめ                                                      徳 田容子

グループ参加者:矢田彩子、福田咲江、王子全主

 ある日、電車の中で女子高校生の会話が耳に入った。

 「うちのババアがさあ、もううざったくて・・・」「あたしなんか、もう一 週間も口聞いてないよ」

 制服から察するに、ミッション系の有名女子校である。 また、外見上、父 親は社会的地位も高く、母親もごく普通の専業主婦であるのに娘は両親を「あん た」と呼び、親を自分の部屋に一歩もいれない家庭を知っている。

 この年代の子供たちが、わざと悪ぶるのは昔からあることだが、それにしも ひど過ぎるのではないか。

 家庭は、以前家庭として持っていた機能を失いつつあると、もう長いこと私 の心を暗くしていた。高度成長で日本が経済的に豊かになるとともに、人の心は 貧しくなったと言われ続けていながら、何の手だてもなされて居ない気がする。

 そういう自戒の意味もこめて、「家族」の問題を考えて見たかったのである 。

 ただ、この学級では、私の意図する方向には議論が進まなかった。たぶん、 世代的に子供さんたちが小さく、私の危惧は実感として伝わらなかったせいだと 思う。 むしろ、保育園の問題や自分の親の介護などの方が切実なのであろう。 また、母親をババアと呼んでいた子供が、自分はどういう家庭を築くかは、判断 できない所でもある。

 もし、親も子供も「家庭」に暖かさや、絆といったものを求めないのだった ら、ホテル家族でも良いのかも知れない。「そんなはずはない・・・」と自問自 答しながら、今回の学級は終わりを迎えてしまった。

 私自身の問題提起に一貫性がなかったせいもあり、話題が今一つ盛り上がら なかったことを反省している。後半、「男性の自立度」に関するアンケートをし た所、たいへん多くの協力を得た。概ね、想像以上に自立されているのに関心し た次第である。

 それにしても、男性も育児休暇や介護休暇が2002年頃には、どうどうと 取れるようになっているであろうか。ただ、情報機器の普及は、むしろ新しく望 ましい「家庭」を形作ってくれるような希望を持っている。

 先日、わずか三日入院しただけで、たいへん多くの見舞いのメールをもらっ た。その時、私は高齢になっても孤立しないで生きてゆけるだろうと確信した。 巣立って行く娘たち、若い友人たち、多くの人々と繋がってゆける世界に、ぜひ 多くの高齢期を迎える人々は、果敢に挑戦してほしいと願うばかりである。

 「家族」の問題は、いつの時代にあっても、永遠のテーマである。失うもの が多くなりすぎないように、社会の浮薄な風潮に惑わされないよう、もう少し大 事に考えてと老婆心ながら、願ってやまない。もし、機会があれば、違う形で再 び取り上げたいテーマではある。

                            徳田容子

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