環境問題について


【環境問題について】   中島健次

グループ参加者:野内アサ子

1. 今、環境が危ない 

 人類はまだお天気をコントロールすることができません。ですから少雨で渇 水になったり、大雨で洪水になることもあります。被害をもたらす台風も時には 恵みの雨と受け止めなければいけない事も有ります。

 昔から、ただでいくらでもあったおいしい水と空気ですが、現在良質の物を 求めようとすると、かなりのコストを要求されるようになりつつあります。また 日常口にする食べ物も農薬やその他の有害物質に汚染されているとしたら、人類 の未来は真っ暗です。(ちょっとおおげさかな)このように私たちの周りの環境 は絶えず変化していますので、環境問題について考えてみることにしました。

 人口の集中する都市では水や空気といった生物が生きていくのに必要な環境 が汚染されつつあります。そして都市ではもう開発され尽くされて、今や郊外や 田舎にまで開発の手は伸びています。例えば大都市の増大する電力需要を賄うた め、田舎の町村に原子力発電所の建設計画等も話題に上ります。

 また最近は川の上流地域にまでゴルフ場や観光道路が作られて、農薬や生活 排水の流入、産業廃棄物の違法投棄やら産業廃棄物処分場建設等で、水源の水質 の劣化が心配されています。

2.川の環境

 本来、川の中には水草や葦等の植物、トンボの幼虫のヤゴや川虫などの昆虫 、そしてこれらの餌となる動物性.植物性プランクトンなどの生物が生息して おり、それらは水質の浄化に役立っていたのですが、近年「治水」という名目で 河川の護岸や川底が余りにもコンクリートで固められ、水深も深くなっています 。これでは川はただ水を流す水路となってしまい、今まで生息していた生物達に とって住みにくい環境になっています。その結果、河川の汚れの浄化能力も低下 し、浄水場では水質浄化に今迄以上の設備と経費を掛けるようになりますがそれ でも十分ではないようです。

 最近、自然破壊の先進国ドイツでは河川開発に自然環境の復活を考慮した「 多自然型工法」というのが採用されているそうです。護岸や川底をなるべくコン クリートで固めず、しかも増水しても氾濫させない広い河原を確保し、植物を植 えて本来の川の姿に戻す工法のようです。

 一度開発してドブ川になったところを、お金を掛けて元の自然に戻すという難 しい作業です。こうまでしないと川は生き返らないのでしょうか?

3.日本の水問題

<首都圏の水問題について>

 昨年に続き今年も首都圏の水瓶の渇水が心配され始めています。

そこで環境問題として私たちにとって重要な水について考えてみましょう。

 山の地肌とはスポンヂのような物で、森が無いと地表は乾燥してしまいます。

 森が有るとその落ち葉が堆積して腐葉土となり、あたかも水を含んだスポンヂ のようになります。この山の斜面に雨が降った場合、乾いたスポンヂの所は雨水 が地表をさっと流れ下ってしまいますが、濡れたスポンヂの所では容易に地中に 吸収され、ゆっくり時間をかけてしみ出して川に入るというのです。つまり森は 緑のダムを形成しているのです。

 又、植林をすると言うことは地球温暖化で問題になっている二酸化炭素を減 らす効果も有るのです。

<水のリサイクルについて>

 一般家庭で1日に使う水200リットルのうち私たちが飲む水(飲食用)は 2リットル(1%)しかないのです。

 つまり残りの99%は無理して上水道の(飲める)水を使わなくても良いので す。 近年都会ではあまり井戸を見かけなくなりましたが、井戸水は昔から利用 されていました。しかし雨水と下水は今迄、利用されずに川や海へ放流されてい るのです。これらを利用しない手はありません。

 庭に撒く水や洗車に使う水、トイレに流す水、空調の冷却水などは井戸水や雨 水で十分でしょう。 又、屋根に降った雨水はそのままタンクに貯めてもよいの ですが、浸透枡を通して地中に戻す事により、地下水となり井戸水に還元されま す。スペースシャトルの技術を応用すれば下水から飲料水を作り出すことも可能 です。これを下水処理場に設置すれば、今迄川や海に流していた排水をリサイク ルできます。常に一定量の水がこのサイクルの中を循環し、蒸発した分だけ貯水 池から補給すれば良いという計算になります。この設備には莫大な費用がかかる でしょうが、水のない砂漠の国を思うと夢物語でもないと思います。 これが実 用化されると下水が直接川や海に流れ込まなくなるので、川や海の水質が良くな り環境問題が改善されます。

4.リサイクルの時代

 これからはなるべくゴミを出さない、リサイクルを考えた商品生産の時代に ならなければいけないと思います。そうでないと日本国中がゴミ処分場になって しまいます。

 使用済みの牛乳瓶やビール瓶は回収され、洗浄し、再利用されています。こ れをリターナル瓶と呼びます。これに対してジュースの瓶などは1度しか使われ ず廃棄されるのでワンウェイ瓶と呼びます。

 最近はワンウェイ瓶やアルミ缶、紙パック、ペットボトルの普及で古瓶回収 業者に回収されるリターナル瓶の数が減ってしまい、収益が激減し廃業される業 者も多いとか。

 デポジット方式と言う言葉があります。使用後の空き缶を空き缶回収機に投 入すると、缶入り飲料を購入するときに預けて置いた缶代が戻ってくるのです。

 これからはリサイクルを考える場合、その回収コストを誰が負担するのかが 問題となります。もっともメーカーに負担させた場合は製品価格の上昇となって 跳ね返ってきますので、このデポジット方式は注目したいところです。ポイ捨て 防止でマナーの向上にもると思います。

 以上のことから現状では未だ、リサイクルでは採算が合わないという事が判 ります。しかしこれは今後の課題として早急に取り組んでいかなければなりませ ん。

 そしてまた問題です。リサイクルされずにあらゆる瓶や容器がゴミとして出 されると、たちまちゴミ処分場はパンクしてしまいます。増大するゴミの量とそ れに伴うゴミ処分場の建設はイタチごっことなり、公害問題も発生いたします。 そこで行政が税金を使って缶瓶のリサイクル(資源化)や、ゴミ収集の有料化を 進めてゴミを減らそうとしているのです。我々は今、大量消費の使い捨ての時代 は終わったことを認識しなければいけません。

5.発電と環境

 皆さんご存知のように発電には水力・火力・原子力があります。それぞれの 構成比は水力:7%、火力:53%、原子力:40%(東京電力発表)です。近 年、原子力の比率の増加が目立ちます。

 火力発電は化石燃料を燃やすため地球温暖化の問題になるCO2を発生しま す。今後増大する電力需要を賄うため火力発電所を増設するとCO2の増加は更 に深刻になります。そこで国や電力会社の方針として原子力発電を増やそうとし ていますが、原子力発電には安全性、信頼性においてまだ問題が残っています。 チェルノブイリ原発の事故や阪神淡路の地震などを思うと、原子力は絶対に安全 だろうかと疑問も残ります。

 これからは原子力発電の安全性、信頼性の向上に期待すると共に、未利用エ ネルギーの開発と節電に注目したいと思います。

<1997.1.13 の毎日新聞の記事より>

[風力+波力+海流+太陽光]

 「1辺が100mの六角形をした甲板を海に浮かべ、風力、波力、海流、太 陽光などの自然エネルギーを活用する世界初の海上大型発電基地構想が、実用化 に向けて動き出した。現在の半分程度の発電コストで家庭一万戸程度の電力供給 を目指す。2001年にも第一号の実験基地を建設するのが目標。」

 まだ構想の段階ですが21世紀には実用化され、国内はもとより海外にもク リーンエネルギーとして輸出されるようになると良いと思います。今までにも風 力、波力、海流、太陽光を単独で取り入れた物は有りましたが、4種類全部を採 用することによりそれぞれの欠点を補完でき、電力の安定供給を目指しているも のと思われます。資源の少ない日本からクリーンなエネルギーを輸出できるとい う事は素晴らしいことだと思います。又、これに依り今後建設される原子力発電 所の数が少なくなればとも思います。

◆国、電力会社の方針:

  1. 地球温暖化や大気汚染の問題から石炭・石油火力への依存の削減を目      指してLNG火力、原子力を増やす。

   2.電源のベストミックス(電力需要に応じ各発電方式の供給量の構成を調整してCO2を削減する)

  1. 電力設備の効率向上発電設備の効率アップ コンバインドサイクル           送電設備の効率アップ高圧送電

◆今後の見込み:

   1.火力発電に取って代わってCO2を出さない原子力発電がメインになるであろう。

   2.未利用エネルギーの開発と省エネの推進。 太陽光、風力、波力…

   3.CO2除去・固定技術の確立。

   4.植林の推進(これが一番簡単で、安全、確実な方法かもしれない)

◆参考資料 1 kwh 当たりの発電原価: 天然ガス火力 11〜12円

                    石油火力   11〜12円

                   石炭火力      10円

                   原子力        9円

                   水力         13円

     ※ 原子力には廃炉コスト、高レベル放射性廃棄物処理費用含まず

              (通産省・資源エネルギー庁 1989年調べ

<学級生Aさんの意見>

 今日はラジオのニュースで風力発電について話していました。

 初期投資が大きいのが問題でしょうが自然に優しいという点ではもっと国も力 を入れてもいいような気がします。

 皆さんの中にはソーラーシステムを屋根にくっつけていらっしゃる方はいら っしゃいますか? あれはどのくらいメリットがあるのでしょうか?

<学級生Sさんのコメント>

 私の父が建てた別宅の屋根に、某社のシステムが搭載されています。発電能 力は、3.2KWです。別荘であったためか、助成金の援助を公に得ることがで きなかったようですが、約500万円程の資本投下をして設置しているようです 。

 冬の日中でも、余剰電力を東京電力に買い上げてもらうことができる発電能 力を持っています。

 真夏の日中であれば、一切電気の供給を受けずに、電化製品の全てを稼働さ せる能力があるようです。投下資本との費用対効果については、まだまだでしょ うけれど、エコロジカルではありますね。設置場所が、北緯38度を越えている 所なので、もっと南の日照の良いところであれば、一切電気の供給を昼間は受け ずに済むでしょう。詳細なパンフレッ トがありますし、最近は他社の参入もあって、発電能力、価格も多様化してい るようです。

6.生物と環境

 山にはそこにある自然の恵みで賄えるだけの野生動物しか生きられないので す。ですから猿や鹿が増えすぎてしまうと、山は餌不足になり野生動物達は里へ 下りてきて畑を荒らし人間と対立することになります。そしてその対策として人 間は動物を間引きのため捕獲したり、殺したりします。これは間違ったことだと は思いませんが、人間が無計画に山を切り開いたが故の結果であった場合、我々 は動物達に対して申し訳のない事をしてしまったことになります。

 これからは人間と野生動物とが共に生きられる世の中になって欲しいと思い ます。狭い日本の山奥にゴルフ場や大規模のリゾート施設は必要でしょうか?こ れは山奥だけの問題ではありません、河川改修(長良川取水堰の工事等)、  海岸や干潟、珊瑚礁の海の埋め立て等、一部の人間の都合だけで決められてし まう危険があります。

 バブルが弾けた今日、大切な自然を破壊する開発が本当に必要な物かもう一 度考えて見ませんか。

7.今後のゴミ処理を考える

>  今までは色々な物を作る技術中心に発展してきた方向を少し軌道修正する必

> がありそうですね。作ったものを処理する技術を考えていかないといけないの

> はないかと思います。

 人類は今までは作ったはいいが使用後はゴミの山、垂れ流しという具合で、つ いには自然界では分解しない物まで作ってしまいました。そうなると今度は新た に廃棄物処理場を求めて海や山に目を向け、地元の住民の反対運動に遭うと言う お決まりのパターンです。誰だって自分の住んでいる町に廃棄物処理場なんて作 って欲しいとは思いませんから。

 残念ながら日本はこの方面ではまだ先進国ではないようですが、これからは 環境に優しいゴミ処理が出来る製品、廃棄物を分解させる技術の確立、廃棄物を 資源化するリサイクルシステムが求められる時代になるでしょう。

8.学級生の声

<日本海のロシアのタンカーから流出した重油回収にあたられたSさんの声>

> 一緒にボランテアに参加してきました。実際この眼で見て被害の深刻さに少々

> 落ち込んで帰ってきました。

> 海岸で数時間重油集めをしたのですが、恥ずかしながらその臭いと重労働で、

> 二人とも頭が痛くなり午前中でギブアップせざるを得ませんでした。

> それにしても風光明媚な素晴らしい海岸は無惨な姿になってしまいました。

> 砂の中約20センチくらいまで重油の固まりが混ざり込んでいます。日本海の

> 荒波でそうなったものと思いますが、全部取ることは不可能な感じがしました

> 丁寧に重油を集めていきますと、少ない経験の中ですが、一時間で、あの広い

> 海岸のほんの一坪くらいしか出来ませんでした。

> それでもかなり取り残しがあると思います。80パーセントくらいまではかな

> り早くできそうですが、あちこち紛れ込んだものを集めるのは、素人考えです

> が人海戦術で手で集めるしかないようです。

 ボランティアに感謝すると同時に、日々深刻化する重油の被害がマスコミの 報道以上に良くわかり、非常に残念に思います。一刻も早く重油の除去が済むこ とを祈ります。

 新年早々暗い環境問題になってしまいましたが、これを教訓ににして何か良 い事が生まれればと思います。

<福島県にお住まいのNさんの声>

>  ここで忘れていけない物として、水田の役目があります。苗を植えて水を一

> にたたえた水田からの水蒸気が上空に上がって、雨をもたらす重要な役目をし

> いると聞いたことがあります。

 水田の環境への影響力とは気が付きませんでした。教えていただいて有り難 うございます。減反もやり過ぎるといろいろな問題を引き起こすのですね。

 瑞穂の国と言われた日本から水田が無くなると、国土はどんどん砂漠化して いくのかもしれません。もしかすると人の心の中迄も。

<新潟県にお住まいのNさんの声>

> 新潟には首都圏に電力を供給するために原子力発電所が作られていますが、阪

> 神淡路の地震などを思うと、原子力はやはり素朴に「こわい」という気持ちが

> あります。(国や電力会社は大丈夫と言っておりますが。)

>  1%節電の動きが全国に広まっておりますが、我が家でも、1%と言わず、

> 5%でも、10%でも節電したいと思っています。

 首都圏に電気を供給している原子力発電所は新潟、福島等にあることを再認 識しました。改めて、自分にも出来る節電について考えてみましょう。

<山梨県にお住まいのHさんの声>

>  ライトアップもオイルショックのことなど忘れて,町興しという名目でクリ ス

> マス・イルミネーションをしたり,サーチライトで夜空の星を照らしたり、や め

> た方がいいと思います。”光害”でもあり,山梨でも星がきれいに見えるよう な

> 場所が限られてしまうのはさみしいものです。本当の天の川を子どもたちに見 せ

> てあげたいものです。

 横浜では天の川が見られなくなって久しいのですが、皆さんのご近所では如 何ですか?

 ライトアップはきれいですが、「本当に必要な物でしょうか?」と思うとこ ろから環境問題が始まるのだと思います。

9.終わりに

 ところで皆さん、私たちがパソコン通信で情報をやりとりするという事は電 子メールという手段を使って、紙を使わない。つまり意識していないのですが森 林資源の保護になっているのです。

特にこの学級の様なメーリングリストというのは学級生全員に配信できるので 、その効果は絶大です。

単純に計算して50人の学級生に、1回の配信で400字詰めの原稿用紙8枚 送るとすると 8枚×50人=400枚にもなります。

これがほぼ毎日有るわけですから今学期の間では400枚×270日=108 000枚 の紙に相当する量の森林資源の節約に なったことになります。では、最後に皆さん【環境問題】にご協力いただき有 り難うございました。

                中島健次 

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