緑区オンライン生涯学級マニアル


T. オンライン生涯学級の考え方

 従来の生涯学級は,決められた時刻に決められた場所へ通わなければならず ,外出ができない人や通勤している方には,参加が困難でした。こうしたことか ら,通信教育による生涯学級の試みがありましたが,講義内容や情報の一方的な 提供になりがちで学級生の質問や発言を学習に取り込むことが困難でした。また ,郵便やFAXなどの通信方法では,頻繁に情報の交換をると,コストがかかり 過ぎる問題もありました。

オンライン生涯学級では,パソコン通信を使うことにより好きな時間に好きな 場所から学級に参加でき,講師や学級生の発言も頻繁に交換できます。また,費 用も短時間の電話代と通信回線使用料(合計1分間約20円)で何人でも同時に 情報を送ることができ,参加者の負担も少なくなります。さらに,聴覚障害者の 方も,すべての学級生が文章で情報交換するため,自然に学級へ参加することが できます。

 コンピューター通信の一般家庭の普及は,まだ,十分ではありませんが,事 業所や教育機関では,普及しつつあり,現役会社員や学生の参加が期待できます 。さらに今後は,ケーブルテレビなどから一般家庭へも普及することが見込まれ ,参加者が増えるものと思われます。こうした状況から,速めにコンピューター 通信による学習環境の整備に取り組めるよう事業を実施しました。

 コンピューター通信だけでは,互いが顔の見えない同志となりますので,開 講式,セミナー,閉講式を「オフ」として行い,相互理解を助けます。

 インターネットを使用するとインターネットに接続できる全ての商用通信ネ ット,地域ネットが利用できるので,公平さが保てます。また,発言数が多くな り,電子メールの受信件数が,過剰となり,参加者の迷惑となることがあるので ,自動的に発言を取りまとめて定期的に一括配信するメーリングリストプログラ ムを設定しています。

 メーリングリストを稼働させるためには,24時間インターネットと接続し て情報の送受信を行うコンピューターが必要ですが,企画局高度情報化推進室の インターネット用ホストコンピューターがその役割を担っています。

 同時に電子図書館用のメーリングリストを設定し,各種教材や報告書を登録 し,学級生が,自由に引き出して使えるように準備しました。


1. オンライン学級の目的は

 いままで平日に開催される学級に参加しようと思っていても参加する機会の ない方が時間と距離と世代を超えて、いつでもどこでも誰でも参加できる機会を 持って貰うことによって、人生を豊かに送っていく手段をみんなで共有していくことを目的とします。

 「オンライン生涯学級」は、パソコン通信の電子メールを使って行なう対話学 習型の「生涯学級」です。「生涯学級」みなさんの手で自主的に運営する学級で す。

電子メールには,インターネットのMailing Listを使用します。

2. オンライン生涯学級は、次の留意点があります。

宗教の布教活動、政治活動、選挙運動、営利行為は、禁止。

学級生と関係者のみの相互通信であること。

文書や言葉の扱いは、自覚と責任を持つこと。

著作権を侵害しないこと。

プライバシーを守ること。

学級で得た情報を外部で使用する際は、運営委員会の了解を得ること。

(参考)

「脱学校の社会」(イヴァン・イリッチ著、東京創元社)より

優れた教育制度は3つの目的を持つべきである。

 第一は誰でも学習しようと思えば、それが若いときであろうと年老いたときで あろうと、人生のいかなる時においてもそのために必要な手段や教材を利用でき るようにしてやること。

 第二は自分の知っていることを他の人たちと分かち合いたいと思うどんな人に 対しても、その知識を彼から学びたいと思う他の人々を見つけだせるようにして やること。

 第三は公衆に問題提起しようと思うすべての人々に対して、そのための機会を 与えてやることである。

 優れた教育制度の元では、本当に誰もが自由に論じ、自由に集会を持ち、自由 に報道が出来るようにし、またそれゆえにそれらのすべてが十分に教育に役にた つものとなるように近代的科学技術が用いられるべきである。


U. インターネット(その概要と歴史)

インターネットは何でしょうか?

 この問いに対する答えは現在インターネットに接続をしている人の数より多い と言われています。

 インターネットには実際の存在場所はなく、正確にはどれだけの規模か、参加 者は誰を指すのか一致した見解はありません。

 それでもインターネットは存在し、運営されています。

1. インターネットの現状

 インターネットは50、000以上のネットワークで構成され、多数のルート を経由してデータを転送できるため、インターネットの接続規模を正確に算出す るのは殆ど不可能ですが現在接続している推定ユーザ数は6,500万人以上に 達しています。

*毎月30%の成長を続けている

*インターネットに接続されたホストコンピュータ数は、700万台以上

*インターネットの検索用ツール(WWW)の使用量は93年〜94年に

かけて18倍

*1998年までに1億人を超えると予想される。

*インターネットに接続している国の数90カ国以上

WWW(World Wide Web)

2. インターネットで出来ること

 インターネットにアクセスすると主に次のような作業をすることが出来ます。

*全世界のコンピュータに記憶された何百万という文献の検索と読み出し

*電子メールのアカウントを持つ5000万人もの人々との電子メールのやり 取り

*シェアウェア・フリーウェア及び商用ソフトウェアの検索と取得

*各組織、個人ユーザ、官公庁が持つデータベースの膨大な項目のファイルの 検索

*9000以上もあるテーマ別のメーリングリスト、ニュースグループへの参 加

*CADファイル、DTPファイルなどのプログラムデータファイルの送受信

*画像ファイルや音声ファイルの送受信

*一時的、永続的な討論/作業グループの構築

*公的/私的情報サービスの拾い読み

*多数の公共図書館/大学図書館/研究機関の図書館の目録の検索

*雑誌記事のオンライン検索と注文

*インターネット経由での商品/サービスカタログの拾い読みと検索及び購入

*インターネットに接続した複数の人々とのリアルタイムの通信

*販売会社やその商品の情報を提供する案内センターの開設

*試験的なマーケティングの実施

*電子出版物の流通

*各種の製品やサービスの販売

*上記内容を組み合わせたインターネット上でマーケティング、販売、リサー チ、カスタマサポート等の事業


3. インターネットの用途

 インターネットで提供されている各種サービスの利用状況

第一位:ファイル転送(FTP プログラム、データのダウンロードなど・・ ・28%

   

第二位:WWW(Mosaic、Netscape等)・・・・・・・・・・ ・20%

第三位:ニュース(電子メールを利用したトピックごとの情報交換システム) ・・ 9%

第四位:電子メール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・ 5%

第五位:Telnet(リモートアクセス、リモートログイン)・・・・・・ ・ 3%

第五位:Gopher(メニュー方式の情報検索システム)・・・・・・・・ ・ 3%  

4. インタネットの歴史

 今日インターネットと呼ばれているネットワークのツールは1970年代はじ め米国防省が構築したARPAnet(Advanced Research  Projects Agency:高等研究計画局)というネットワークが発展 してきたものです。

 この計画の目的は「核戦争が起きても確保できる通信手段の開発」という軍事 色の強いものでした。しかし実際にインターネットを今日の形まで築いてきたの はその価値と使い道を積極的に見いだし、自ら技術開発までやってのけた新しい タイプのユーザたちでした。

 軍事目的で誕生したネットワークを様々な立場の人々によって育て上げた結果 がインターネットです。

 インターネットの発展段階は3つの段階に分けて考えることが出来ます。

 第一段階:ARPANetが誕生した1969年がインターネットのスタート 地点70年代から80年代前半にかけて大規模なネットワークへと発展1982 年には通信規格として現在のTCP/IPを採用

     日本では学術目的のネットワークとして

     1984年JUNET(慶応大、東工大、東大)の実験

     1986年WIDEプロジェクト開始 

 第二段階:全米科学財団(National Science Foundation)FSNNetの 設立1989年にはARPANetはNSFNetに吸収される形で消滅NSF Netは商業目的には使えないという制約があった。

 第三段階:大きな動きはインターネットの商用化

     1995年NSFNetは歴史的役割を終えて終了、米国以外のネ ットワークの割合が初めて50パーセントを超えた。

     1993年からWWWの急速な普及。

     1994年専門の接続業者(商用プロバイダ)の誕生(日本) 

TCP/IP(Transmission Control Protocol/ Internet Protocol)


5. インターネットのツール

*電子メール

  電子メールはインターネットにアクセスするときに利用する基本的なサー ビスの一つです。この サービスを使えば、インターネットにアカウントを持つ 誰とでもテキスト形式のメッセージをやり 取りできます。(テキスト形式以外 のデータを送る方法もあります)

 またNIFTYーServe、PC−VAN、アスキーネットなどの商用パ ソコン通信サービスでもインターネット接続を可能としています。

 

・電子メールの特徴

 電子メールは、1つ又は複数のメッセージを各ユーザに個別に送信できます 。

 1つ又は複数のメッセージを複数のユーザや関連ユーザのグループに同時に 送信できます。

 テキストファイルを送信できます。

 スプレッドシートや図形などのバイナリーデータを送信することができます 。

 通知データや更新データをグループメンバーに同報送信できます。 

*メーリングリスト

 メーリングリストとは、単に一つの電子メールのアドレスで、他のアドレス にメールを再配布するものを指します。それにより、特定のトピックに関心のあ る数人、数十人、又は数千人の人々にメールを送ることができます。

 誰かがそのメーリングリストにメールを出すと参加者全員にそのメールが電 子メールで送られます。

*Telnet(リモートログイン)

 Telnetはユーザのコンピュータをインターネット上の膨大な数のリモ ートコンピュータと接続してそれらのコンピュータのテキスト、ファイル、ソフ トウェア、そしてその他の情報を離れた場所から対話的に検索できるようにする ものです。

*FTPによるファイル転送

 FTP(file Transfer Protocol)ファイル転送プ ロトコルはインターネット所の他のコンピュータからワープロ、グ

ラフィックなどのソフトウェアを受信したり、逆に送信したりするものです。

*インターネットの検索ツール

 ・Gopher

  Gopher(ゴーファー)システムは世界中のあらゆる種類のファイル を検索して取り出すことの出来るユーザインタフェースです。

 ・Archie(アーチ)

  FTPでファイルを入手する場合、それらのファイルの名前やディレクト リー内の位置が事前に判っていなければなりません。この各種リソース検索のた めに使用するものです。

 ・WWW(World Wide Web)

  関連するインターネットファイル、資源サービスの間でポイントアンドク リックアクセスを組織し、リンクし、提供するためのシステムです。

  簡単にいえばNetscape、Mosaic等に代表されるホームペー ジを閲覧するためのツールです。

 ・WAIS(Wide Area information Server )

  WAIS(ウェイズ)は情報が複数の場所に格納されている場合にその検 索を簡単に行う分散情報検索システムです。

主なサービスは上記のようなサービスですがこれらのサービスを利用するため にはいろいろのソフトウェアが準備されております。

 6.参考文献

  ・仕事に活かすインターネット(ソフトバンク)

  ・インターネットFQA(インプレス)

  ・インターネット(岩波新書)

  ・インターネットが変える世界(岩波新書) 


V. ネチケットについて

 次に「ネチケット」の話を。ご存じと思いますがネットワーカーのネとエチ ケットの合成語で、オンライン上のエチケットです。 僕自身の経験から迷惑ネ ットワーカーたちがいるんですよね。オンライン上といっても、それは社会性を 持った空間ですから一人よがりだったり、他人を単純に傷つけるのはまずいわけ で、そこには当然ルールが存在します。

 迷惑ネットワーカーの類型化をしてみました。

 1)、単純反射コメント症。 

 心当たりの方もいるかも知れませんが、自分宛にメッセージがあったり 、面白いことがあると訳も分からずコメントしてしまう人。

 2)、身辺雑事報告症とゴミまき症はちょっと違いますが、ここでは一緒に しました。

 誰も関心がないのに身辺雑事を、とにかく書いてしまう。そういうのは会話が 生まれないのでゴミになってしまう。

 3)、発表衝動依存症。

   誰も読みたくないのに、やみくもに自分の意見を押しつける

 4)、平然罵倒症。

 文章の言葉尻をとらえて、揚げ足とりをする。相手をやっつけること に快感を感じるタイプ。通常はハンドルネームを使ってフォーラムに書くから自 分の面が割れない匿名制をいいことに、相手を叩きのめすことにだけ生き甲斐を 感じる人。

 5)、仲良しこよし症。

  平然罵倒症の人がいるために自分の意見をきちっと述べることに憶病 になってしまう。とにかく波風が立たないようにする為に建設的な議論にならな い。仲良くすれば良いと、その場をとりつくろったり、関係を保つことにばかり 執着するのはダメです。

 僕にもいくつか思い当たるのがあります。1はよくやるし、2もけっこうあります3は若干あるかな。4はありません。5は一時かかったことがありますが、最近は考え方を変えて、仲良しこよしだけでは良くないと思いはじめています。オンラインの良い所は相手が違う考えを持つことを認めた上で、自分の意見を出して行かないと生産的な関係が作れないと思い、仲良しこよしは脱しました。

 これからオンライン学級をして行く中で、迷惑ネットワーカーの陥るシ ンドロームについて皆さんぜひ、思い出して症状が出ないように自己制御をお願 いいたします。

 

 こうした迷惑ネットワーカーに陥らない三箇条を紹介します。

 1)、 不特定多数の観客を絶えず意識しながら発信する。

 仲良くなってくると身辺雑事の報告が多くなるのですが、一方で情報 の生産性が大事でして、そのバランスをとるのは難しいのですが、自分の書いて いるものは絶えず不特定多数の人が見ているのだと意識するとゴミまき症などに ならないと思います。

 マスコミの方がよく言われるのに、パソコン通信の発言のレベルが幼 稚だというのですメディアとしてぜんぜん成熟してないとおっしゃる方がいます が、僕は必ずしもそうは思いません。フォーラムによっては高い質の所もあり、 パソコン通信みたいなメディアを本当に生産的な人間関係を作ってゆくツールと して使うには、オンラインに参加している人たちの自覚をどういう風にもって行 くかではないかと思います。

 2)、 発言を通じて自分の顔を作る。

 これが意外に難しいのですね。最近は画像をアップロード゛して見る ことが出来るようになりましたが、まだ現時点でもオンラインネットワークはテ キストベースというか文字ベースが主体ですから書き込みをして行くことが、自 分の性格なり関心事、あるいは顔といったものが作れるのですね。発言を通じて 自分がどんなことを考えて、どういうことに興味や関心があるのか、そういった 自分の顔をオンラインを通じて作れば、同じ文章を書いても相手の受け取り方や 印象が、ずい分変わってくるので、ぜひ自分の顔を作るようにして欲しいもので す。

 3)、 ナルシズムに陥らないように、絶えず自分の発言を対象化するくせ をつけること。

 これは難しいけれど大切なことです。ある社会学者はオナニズムと言 っていたと思いますが自分だけ気持ち良くなって、相手のことを全く考えないと いことはまずいのです。

 でも、そればかり考えていると先ほどの仲良しこよし症候群に陥る危 険があるので、そのへんのバランスを、いかに取るかが難しいのです。対立を避 けてばかりいても、成熟した人間関係が作れないので、今後は自分の考えを相手 にきちっと伝えて行くということが必要だと思います。


W. 電子メールについて

電子メールは1対1のメッセージの交換から、1対多のメッセージ交換を行

う基本的手段です。

1.電子メールのすばらいところは

長所

・高速で送ることができる・

・広告、スプレッドシート、ゲームプログラム、ラブレターなどの情報をプ

ライベートに、ネット上 のどこにでも送ることができる。

・電子メールは価格が手頃です。

・世界中のどこにでも送れる。

短所

・送ったメールが読まれたかどうかを確認することができない。

・テキスト形式の文章では誤解される可能性がある。

・プライバシーが保たれないかもしれない。

2.電子メールを送るときのルールとマネーについて

・何をいいたいのかはっきりさせる

・メッセージに意味をなすサブジェクトラインを付ける

・文章は完全に

・簡潔に

・全部大文字で書かない(英語の場合)

・メールを送る前にチェックを行う。

・メッセージを送る前に考える。送る前に2回は読み返す。

・恥知らずなスマイリー(顔文字)に注意すること。(^^)

・名前をサインする

・不幸の手紙やねずみ講には参加しない。

・受取り手は定期的、あるいは全く、電子メールをチェックしないかもしれな いことを心に留めておく。

・商用利用する時の注意としてDMなどの商品情報、案内を送る場合は注意が 必要。

 (商品の価格、メリット等、宣伝情報を一方的に送りつけるのは受信者に反 感を持たせる危険性があります。)

 (学術利用のインターネットにおいては宣伝情報を禁止しているところもあ ります。)

X. メーリングリストの仕組みについて

 電子メールの応用の一つとしてメーリングリストというものがあります。

 メーリングリストとは、単に一つの電子メールのアドレスで、他のアドレ スにメールを再配布するものを指します。それにより、特定のトピックに関心の ある数人、数十人、又は数千人の人々にメールを送ることができます。誰かがそ のメーリングリストにメールを出すと参加者全員にそのメールが電子メールで送 られます。

 

 これは、グループ間での共同作業などを行う場合、大変役にたちます。普通 のメーリングリストは参加登録することで参加することができます。登録する方 法はメーリングリストの設定してあるホストコンピュータで電子メールを送って 自動的に登録する方法とメーリングリストを開設している管理者に参加を通知す る方法があります。 

 メーリングリストはメーリングリスト登録者以外はメーリングリストに電 子メールを送ることも配布を受けることもできないようになっております。した がって登録者だけに閉じられた電子空間を提供することができます。

 また、応用例として電子メールを送ることは誰でも可能で配布はメーリン グリスト登録者のみという使い方もできます。

 

 これが発展した形態として電子掲示板(ブリティン・ボード・システム略 してBBS)、電子ニュース、NIFTYのフォーラムの会議室等があります。 これは誰でも書き込むことができ、読むことができる仕組みです。

 これは誰にでも開かれた電子空間ということになります。

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