地域電子コミュニティ(1)
地域電子コミュニティの研究
1.研究テーマ:地域電子コミュニティの研究
2.略称:電子コミュニティ
3.研究テーマ提案者:多賀 和幸
4.参加して頂いた方々: トニー・ラズロ、王子 全主、杉井 鏡生、野口 邦夫、矢田
彩子、小山 紳一郎
5.テーマ選択の背景
私はすべての研究、学習の根本は私達が心に宿したどうしても知りたいという”疑問”
、”好奇心”により発動される行為と考えている。「私達は何処から来て、何処へ行くの
か」とか「この世界とは何か」とか「時間、空間は有限か、無限か」など人類は昔から様
々ななぞ解きをやってきた。
しかし未だに世界はなぞに満ち溢れている。また子供の頃私達はこの様な疑問や不思
議にしばしば囚われ、母や周りの大人を困らせたものである。
奇妙な事に、なぞ解きの楽しさと方法論を教えるはずの学校は、なぞ解きの結果である
知識という抜け殻を教える場所となってしまっている。多くの大学はやはり抜け殻を標
本のようにならべ整理、整頓することで学問の殿堂としての地位を保っている。私はも
う一度根本に帰り、”疑問”と”好奇心”をこのオンライン学級の研究とか学習の基本ス
タンスとしてゆきたいと考えている。
(疑問1)
地域社会は、都会においてますます存在感が無くなりつつある。地域社会は本当に無
用の存在なのか。
少し前までは、日本の社会にもコミュニティとしての地域社会が存在した。子供の頃近
くに豆腐屋さんや畳屋さんや醤油屋さんなどがあり、生活の匂いが漂い、地域の人達
の家族の構成なども皆知っていた。
いま都会の暮らしの中から地域社会がすっぽり抜け落ちている。男性は会社などの職
場関係が中心で、地域社会に関心がない。住んではいるが、我町という意識はほとん
どなく、地域社会に関わろうという人は、例外的な存在である。停年を迎えた方々が地
域におられるが、社会参加する訳でもなく老人クラブに入るのもいやだという方が多い
ようである。ほとんど地域社会とは関わりなく、生活をしておられる。会社では有能な方
々であったと思われるが、彼らは人間の生き方として満足されているのだろうか。
また神戸の震災のような事が起こった場合私達は、ご近所同志でお互いに助け合うこ
とはできるのだろうか。
日本人が海外に行っても我町を語ることはまずないが、ヨーロッパの人々と付き合って
みて、彼らの我町に対する思いの強さに驚かされる。小さな町にも教会があり、古い町
並みがよく保存されている。またある規模の町になると必ずオペラハウスがあり彼らは
自分達の街を生活を楽しむ場として大切にしている。
(疑問2)
21世紀の新しい情報化社会は、地域社会を抜きに成立するのだろうか。
情報化社会というのはよく言われるように地域を超えたグローバルでオープンな社会を
目指しており、古い共同体としての地域社会から解放された社会であると言われている
。しかし長野オリンピックでも日本から情報発信しようとすると、道祖神だったり和太鼓
だったりという、ローカルな文化が必要になってくる。地域社会に関心がなさそうな若い
人達でも、インターネットのホームページに郷里や住んでいる地域の情報を発信してい
る例が結構多い。近代化されていると思われる欧米社会も、地域社会へのこだわりは
強い。