◆和歌山県白浜 袋

                        平成5年9月19日




 

素晴らしいポイントとエサを発見した。

集金がてらに以前計画していた南紀ルート、日置川か串本と思っていたが有名な白浜の袋へ釣行。

紀ノ国屋でマムシ2500円、新型ケミホタルを手に南へ南へ。

19時にポイントに着く。スパイクに履き替えて、半袖Tシャツのままベストを着て、ガードレール下のポイントへ。足場はフラットな岩場。買って来たばかりの三脚をセットする。

この日のため自信の極太8号ハリスの仕掛けを結び、高鳴る胸を抑えて湾のド真ん中へキャスト。

ベールをおこさず糸を送ろうとするが思ったより糸が出ない。浅いなぁ――― 

3本目のサオには本日のスペシャル餌、途中のAコープで2匹180円で買ったサンマの切り身。

三脚が新しく今までのモノより高さがあり、変な感じやなぁ〜とサオを見ていたらマムシ餌にアタリ。

16号セイゴ針に13cmのチャリコ。もっと大きいのん連れてこいとリリース。その後もマムシエサにはチャリコとゴンズイの嵐。

サンマ餌にもアタリがあって、1本マムシ・2本サンマに切り換える。

そんな餌取りと格闘していた21時半、真ん中のリョービ竿に小魚と違うアタリ!腰掛けていた岩場から飛び降り竿を手に。リールを一巻き――― 大きい! これやがなぁ、コレ!

結構重く途中身エサやからサメかなぁと、やや強引にやり取り。

コールマンの光がとどく海面に顔を出したのはシルバーメタリックに輝く魚体。足場も良いのでそのまま抜き上げる。

バッタバッタと左右にのた打ち回っているのは43pのキビレであった。サンマにキビレ?へぇ〜。

ナイフでシメてクーラーの中へ。こりゃ楽しみやとますますサンマ竿に目がゆく。

その後ヘンなアタリで重いのんあげるとブルーの模様が鮮やかなワタリガニ。手を広げると40pもあり気色悪いのでリリース。

ゴンもクロイシもフグもサンマで釣れだすがマムシにはゴンばっかし。

そして0時半。右端の鈴サオが鳴って、上がってきたのはフエフキの小型。でも目的魚なのでKeep

クライマックスは1時。またもリョービロッドがヘンなアタリを伝えた。

糸をいくらか送り込んで、次のアタリを待っているとスコンと30p程入った。リールを巻くとバカデカイ!

魚の動きが手にとるように伝わってくる。今こっちを向いた、右へ頭を振った・・・リールが巻けない。右手で三角巻。左腕が痛い。「キ―――ン」と糸が鳴る。サオが限界まで曲がる。

海の中で軽自動車と綱引きをしているようだ・・・なんとか残り20m。

頭の中でちょっと道糸が心配やなぁと考えたその時、スッコ〜ンと切れた。道糸ではなく自信の8号ハリスが。

思わず「なんじゃコリャ!?」と夜の海で独り言。

切れたことより未だかつて無いバケモンと綱引きをした驚嘆が声となった。

その後10数分間、岩場に腰掛けて呼吸を整える。もう一度あの引きを味わいというより、次もあんなんヒットしたらどうしようという気持ちの方が勝る。

たしかにもう一度同じアタリに引きがあったが5m程しかか巻けなかった。

同じ4時頃が時合いだったのかマゴチがサンマを咥えてあがってきたが型不足。

しかしサンマにマゴチ・フエフキは予想通り。でもキビレはびっくり。

そして南海のモンスターにさらにびっくり。その後夜が明けてマムシを使いきってチャリコやムギメシと遊ぶ。




 
(魚拓は平成8年秋)



(写真は平成20年秋)

以降、秋になると毎年「袋」参り。釣れるのは大半が上のような50pまでのキビレだが、ある年いつもリリースしていたワタリガニを2杯活かしたまま持ち帰った。

一塩摘まんで湯掻いて齧り付いた。その美味いこと!ワタリガニってイセエビより断然美味いぞ!

その後はカニ・カニ・カニと舌なめずりしながら袋通いをするが、以降お目にかかることは無い。

そして、あのモンスターからのコンタクトも無い。