◆滋賀県琵琶湖近江八幡

 平成25年6月3日

伊賀から甲賀を抜けて近江の国へ向かう。

里山への登り口だろうか珍しい小動物に目が止まった。茶色い土色をした野ウサギ。

釣行時出くわす野生動物は多々いる。

そうカモシカにも遭遇しているがウサギちゃんは初めてだ。
 
    
大台が原で野生動物に遭うと大物に出逢えると縁起を担いだものだ。実際その確率は高かったと思う。

さて今回は大モノを求めていない。欲しいのは小さな宝石タナゴ。

もう20〜30年経つだろうか城北公園の水路に投げ込んだウキがスーッと入り右・手の平に伝わってきた小さな魚振。

水面を割って左の手の平に飛び込んで来たのは婚姻色も鮮やかなタナゴだった。

あのタナゴに逢いたい。

去年も[関西のつり]の記事に触発され竿を担ぎバイクで信貴山を登って2つ3つの池を回った。

もちろん城北公園へも行ってみたが前出の水路が無くなっていてタナゴの姿を見る事はできなかった。

心のどこかにずっと引っ掛かっているタナゴ釣り。


そこに追い討ちをかけたのが「闇の釣人」なる時代小説。

はじめは女性の髪を釣り糸に、萱草をウキにしてタナゴを釣っていた。

より小さいサイズを釣るのが洒落ていると言う風流で繊細な釣りスタイル。

他の釣りとは一線を違えるこの釣りが、どうして江戸の町に生まれたのか?

それらの答えが物語の終盤にと出てくる。

そんな事を思いながら近江八幡アングラーズに着いた。

店内を見渡してみるが虫餌の冷蔵庫が無い。あれ?売ってないの…?

「赤虫下さい」と姉さんに言うと店奥に入って行った。

様子をうかがうと赤虫が大量に入ったケースからスプーンで掬って、濡れた紙袋に入れてくれた。

なるほど!さすが本場、こりゃ新鮮や。

アングラーズから数分走ると近江八幡水郷巡りの船着場の案内板が。

そうかこの辺りが水郷のある所か。ならば水郷で竿を出そう。

適当に右農道にハンドルを切り小さな橋を渡った所で車を止めた。時刻はもう16時を回っている。

早速、袖針3号・ハリス0.4号の仕掛けに赤虫を刺して竿出し易いポイント(A)で竿を優しく振り込んだ。


ウキが馴染んだらツッツッーと入った。が、最初は空振り。

2投目も同じくウキが入った。軽く手首を返し抜きあげると小さな魚が釣れていた。

 
プリズムに輝く魚体はオイカワ君

次に浮きを沈めたのはギルちゃん。3匹目に現れたのはタモロコ君。


タナゴは釣れない・・・ 

雰囲気もなく、その後はギルちゃんばかり。

時間も無い。湖に移動だ。

でもスマホが完全にダウン。どこをどう走っているのかわからない。なんとか名も無き小さな港に着いた。

防波堤のコーナーにしゃがみ舟と舟の間で竿を出す。

雰囲気は完全に海辺の漁港。でも潮の匂いがしないここは淡水である。

ウキが気持ちよく入る。が、釣れるのはやっぱり外来種・ギルばかり。引きは楽しめるが面白くない。

近江の郷に陽が暮れようとしている。

浅井長政や石田三成、戦国の武将も眺めたであろうこの琵琶湖の夕暮れ。

もう帰らねば…。

帰る家はどっちだ?

壊れたスマホナビは役には立たず、いにしえの人たちの感覚で、沈む太陽を追って西へ向かった。


後記≫ 【タモロコ】と思っていた魚。調べてみると絶滅危惧種に指定されている【カワバタモロコ】にそっくり。
ちゅうよりタモロコには全く似ていない。

どう見ても絶滅危惧種【カワバタモロコ】やんか!

まぁ、居るところには居てるらしいけどリリースしてあげて良かった良かった。またいつか会おうぜ。

 

これが発見した【カワバタモロコ】のWeb画像