◆広島県呉市下蒲刈島

                        2014.07.27

 
夏が近づくと戦争を知らない子供たちである私さえもヒロシマを心の何処かで意識する。

当初は一人、釣りオンリーで広島に行く予定だったが、観光を兼ねて久々に妻と旅立った。

山陽道西条を出て「かめや釣具東広島店」でマムシ2000円・イソメ500円や氷を買って豊島の宿泊地「あびの宿」に着いたのは17時。

宿主が不在の寝るだけの小さな宿。当日の宿泊者は私たちだけで一軒貸切状態。

取りあえず荷を解き、夜釣りのポイントである本土と繋がる橋が見える下蒲刈島の三之瀬に戻る。

 
島から島へ、穏やかな瀬戸内の青い海を眺め、夏とは思えない心地よい風を受けながら「とびしま街道」を軽快に走る。気持ちの良いことこの上なし!

この日は新月の大潮。名高い瀬戸の激流を恐れていたが、潮の流れは穏やかだ。25号遊動天秤+ハリス3号流線10号針で十分対応できる。潮って気まぐれなモンだ。

18時半、波止の折返しポイントから新鮮なマムシを刺してドン深の水道に軽くキャスト。
波止の護岸に竿を立て掛ける。2本目も出して妻の釣りの準備をしていたら「あっ右のサオが動いてる」と言う。

竿を手にして大きく煽りリールを巻く。重い!ただただ重い!水深があり圧がかかる。深い深い海底から現れたのはうちわサイズのアカエイ。

ココを紹介していたブログにもエイとサメが最初に釣れていた。その後に今回の対象魚である「セトダイ」がアコウの外道として釣れている。
 
セトダイは、その名の通り瀬戸内特産の魚で、この時期このポイントで釣れる事を半年前から習得していた。ただし個体数もそれほど多いとは思えない。未知なる場所で未知なるサカナと出会えるだろうか…?

2匹目のエイを釣った後、竿先にシャープなアタリが出た。登場したのは予定通りの小さなサメ。
さぁ次はアナゴかな?しかしその後は沈黙が続く。
 
場所移動を意識しだした20時半、微妙なアタリがあったサオを手にする。重みがある。あくまで重みだけで引きは感じられなかった。やはり順番からするとアナゴかな?深い海の底から現れたのは…??なんじゃ?
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  !!!!!!!!!!!!!!!!!!!

  「来た〜っ!セトダイ!」
静かな瀬戸の小島で目的のマニアックな魚を釣り上げたおっさんは波止の上で満面の笑み。

サイズは20pちょっと。餌はマムシ+イソメだった。
固い鱗に覆われた白い5本のラインと黄色が綺麗な姿。結構美味いらしい。食してみたいので迷わずキープ。

地方名「タモリ」。笑っていいとものタモリではなく「平知盛」トモノリが変じて「タモリ」となった。壇ノ浦の戦いで自害した清盛の四男。鎧を重ね着し瀬戸の海に入水した武将。固くて強靭な鱗がそんな鎧に似ている。いかにも安芸らしい話し。

もう1本のサオを手にすると同じ感触。期待大である。おっと絞めこむ引きがある。何だ何だ?

グググッ2度目の絞め込みが出て軽くなった。オモリも抜けた。ありゃ〜PEラインとリーダーとの連結が解けている。

これが潮時、目的のサカナは釣った。1匹で十分だ。数など毛頭考えていない。

未知なるサカナとの遭遇。それで十分。風も出てきた。21時過ぎ納竿となった。


翌日は終日広島観光。お好み焼きを食べ、平和資料記念館のリアルな展示物に涙し、宮島に渡る。厳島神社で手を合わせ、牡蠣を食らう。もみじ饅頭を買って100%の広島観光が完結。大満足!

気まぐれな釣人じゃけんもう広島に来る事は無いじゃろぉ。セトダイと会うことも無いじゃろぉ。そんな事を考えながら広島を後にした。