◆和歌山県御坊煙樹ケ浜

 平成27年11月20日

釣りには行った。そう、行っただけ。

行く前から釣れそうな感じはしなかった。

それでも買ったばかりの車のエンジンをかけ海に向かった。

釣れる・釣れないは行く前に決まっているのかもしれない。


今日の釣行に備え前日から用意をする。
…買ったばかりのヘッドライトが無い。

高速を走っている途中で気づいた。
…あっ、いつもの椅子を忘れた。

仕掛けを太めにしようとポケットをまさぐった。
…予備の針も糸も忘れてきた。

疲れた車横づけの場所に移動しよう。
…どう行ってもたどり着けない。

さ迷っていたら高速標識【大阪方面】が見えた。
…もう帰ろう。

そんな釣りだった。


そもそも釣ろうとしているのがツバメコノシロ。
そんなサカナ30年前に釣っただけの幻の魚。

いつもの悪い癖、突如釣りたくなった。

中島氏が去年の今頃、煙樹ケ浜で釣り上げている。

サイトでもこの煙樹ケ浜でツバメコノシロを釣り上げている記事もあった。

狙いは初冬の夕刻。

今だ。

だから16時過ぎ煙樹ケ浜に来た。


天気は晴れ、寒くはない。グランド前の浜に三脚を2つセットし、4本のサオを海に向ける。

30年前に釣った時はさびいた時にアタリがあった。

だから25号のオモリが着底してから神経を集中して海底をイメージして探ぐる。

すぐアタリがあるものだと思っていたが、そんなに海の神は甘くない。

釣り始めて2時間、探り疲れて三脚に竿を掛ける。

しばらくして、三脚の上でそのサオが突然シーソーしだした。

リールを巻くがファイトしない。釣れたのはムギメシ。

ムギメシって結構暴れるはずなのにね。

そのすぐ後にもう一本の竿が当たった!

手に取ってゆっくり大きく合わす。

グンと重みが伝わりサオが大きく弧を描く。目的のツバメコノシロではなくタイ系かサメ系の大物のよう。

先程の仕掛けはキス仕掛けだが、こちらは少し太めの流線仕掛け。この引きの獲物なら捕れる!

よしもらった!と思った瞬間竿先が跳ねた。

えっ?

25号オモリの重みもない。PEラインとリーダーの連結部が外れている。

狙いの魚じゃないので悔しくもないが、これがすべてだった。

事実その後、煙樹ケ浜は沈黙の釣り場と化した。

ゴロタの浜に寝そべってケミホタルを見ていると、星が流れて消えていった。