◆富山県 四方漁港

平成30年12月2日

画面が割れたスマホでこれを打っている

暗くなってきたので鈴でも付けようとセットし、下の岩場に移動しようとした時だった

右足と左足がからまって、前におっととっとーーー

あれ~ ドス~ン

腰ほどの高さから前のめりに転倒

腱鞘炎で痛めている左手で岩場をついた

暫く倒れたままで状況を判断

大丈夫か…?

ん?左の腰をしこたま打ったみたいだ

立ち上がるとかなり痛い…が、釣りは出来るだろう

次に左ポケットに入れていたスマホが気になり取り出した

ガビーーーン やってもた!

画面が粉々でんがな


それでも高岡のホテルで今こうしてテキストを打っている

今スクロールしたら破れ目に人差し指が引っかかった

帰ったら直ぐにauに行こう

なにしろ来週は絶対スマホが必要なんだから

何故なら入院するから…




この件は書き留めておかねばならないだろう


11月7日
かかりつけ通院の際、前回は様子見と診断された首筋のしこり

それが大きくなり、固くなり、3つになった

そこでCTと胸部レントゲンで身体内部も検査

結果は何ら異常は見当たらない

「念のため外科に廻って診てもらいましょう」と外科にまわった

Dr.が首のしこりを触診し、直ぐに「これはマズイなぁ」と一言

「悪性リンパ腫の確率が高いので腫瘍を取り出して検体で確認しましょう」

えッ~!?


11月8日
翌日、摘出手術となり手術室に入った

TVでよく見る丸い照明灯

横たわる私の周りに取りまく医師・看護師

おぉ、こんな映画みたいなことが自分の身の上におきるなんて

手術は局部麻酔でナースと会話も出来るしDr.に進行状況を確認する事も出来る

侍の腹切りより痛くはない

私も日本人だ、侍の末裔だ!と心して事に挑んだが
神経にレーザーが当たると「痛い!」と声が出る

そこでわかった。私の祖先は侍じゃないと

手術は30分程の簡単なもので、帰りにはマクドに寄ってグランセットに照り焼きチキンを食らう

すこぶる元気なんだが…


11月20日
検体結果 やはり悪性リンパ腫でSDGVE?とか書いてある

専門Dr.が居てる飯田市立病院への紹介状を書いてもらい翌日訪ねる事となる

11月21日
担当医は女医さん
早速、翌週に造影CTとPET検診の予約をする

これらの検査で悪性リンパ腫の種類と進行状況が判別され、治療方法を決める

会社の連中には「OUT!」と報告

翌週から年末までの長期休暇とした

「良いお年を」と、笑って暫しの別れを告げた


11月26日
出た結果はステージ2 

抗がん剤と内服薬による治療で、先般聞いていた通り最初の1クール1週間は入院となる

年末年始を考慮し、来週12月4日から入院することとなった

本人もDr.もそれほど深刻に考えておらず、長期の休みもとったことやし、ならば釣りに行くか!

てな事で、富山のビジネスホテルに居るという次第

当初は1週間かけて東北で巨大アイナメとナメタガレイ狙いに的を絞っていたが、入院まで3日となると富山~能登のイシガレイ狙いが妥当

会社を休んでいるので仕掛けをあれこれ作り、持参して来てた次第だ



そして今日12月2日
朝7時半自宅を出発し北へ車のハンドルを切った

小黒川SAのETCゲートから一般道に出て、木祖村、安房峠、飛騨を抜け富山に入る

全国各地にある上州屋に立ち寄りイソメ500×3を買って四方漁港に向かった



自宅からざっと4時間やっと海に出た

港内をうろうろ下見をし、右手の防波堤先端に釣り座を構える

湾内なので波も無く、潮も動いていない

ここは通常の遊動天秤25号で攻めましょう

イソメを刺して航路筋にぶち込んだのは
冬の日本海とは不釣り合いな、燦々と照る太陽が輝くジャスト正午

2本並んだサーフリーダー、ピクリともせず10分経過

餌確認のためリールを巻くと、重い!

こりゃカレイの居食いパターンだ!

海面に現れたオモリの先に茶色い変な塊が続いている???

波止に上に抜き上げるとコロコロと転がるバイ貝二つ

そうか、これがこの界隈の餌取りなんだ

もう一本の竿も確認するとやはりバイ貝

貝を踏んで割る際、エッジでエダスを切ってしまった

仕掛け袋に有田川仕様のスペアが有ったので、そいつを装着

キス針8号なのでカレイは無理やろうとイソメを半分に切って付け沖堤との間に30mにキャスト

数分後、三脚に掛けたその竿の先端がクイッと入った

竿を手に持ちリールを巻くと魚の感触がある

交換したエダスに綺麗なキスが海面を滑っているじゃないか

そこでもう一本もキス仕掛けに交換

すると軽く20㎝を越える良型のキスが登場

続けて連続のアタリでまたもやキスが登場

この暖かな昼下がりシャツ一枚でキス釣りに興じる

私はすっかりカレイの事など忘れ、ひたすらさびいてはキスからのシグナルを求めた

たまに、こんなんも登場


そして、久々のこんなんも

――――ガッチョ




今回、富山釣行のもう一つ重要な目的がある

それは、立山をバックに富山の海をカメラに収める事

午後2時をまわり頭上にあった太陽が西に傾き、富山湾と立山が綺麗に撮れる頃合いになってきた

ありあわせのキス仕掛けも無くなり、家族分のキス5匹とガッチョもキープしたので(これで十分)撮影スポットに移動しよう


四方漁港から10分ほど能登島に向かったところに新湊漁港がある

新湊大橋を渡ると帆船海王丸が停泊されている公園がある

まずはそこに立ち寄りローアングルからパチリ


公園の端っこに移動して、寄港する釣り船と共にパチリ


雲ひとつない雪を抱いた立山連峰と富山湾の深い青

素晴らしい景色にシャッターを押しまくった



大満足で撮影ポイントを後にし、次は埋立地反対側の釣りポイントに向かった

ここでのっけから釣り上げたばっかりの90㎝シーバスをスケールに並べ、写真を撮っている若きルアーマンに出くわす

大きなスズキってほんま大きい。当り前か

よっしゃ!オイラも一丁やったろか!

買ったばかりのフェルトスパイクを履き、60㎝枠のタモを装着、30gのイワシカラージグを結んでテトラの上に立った

遠州海岸で竿おろして2度目のショアジグ

大きく振りかぶって…




バキッ!

えぇー?!



そもそも楽天で6000円ほどで買ったシーバスロッド

ジョイント部が不良だったので気になっていたんやけど、やっぱりあきまへん

安もん買いの銭失いの見本ですな

スゴスゴとこの場所から立ち去った




次に向かったのが新湊東港の角地・庄川の河口

テトラの切れ目になんとか投げ釣り可能な場所を見つけた

日が暮れるまでここで本命カレイを狙うことにした

ジェット天秤にビーズを纏ったカレイ仕掛けをセッティング
アオイソメをたっぷり房かけしてフル遠投

ええ感じやと悦に入るが、アタリはない

なのにイソメはカレイ針から消えている

うーーーん
相変わらずカレイ釣りは難しい


5時前になると一気に暗くなってきた

ケミホタルを付けるほど遅くまで釣る気は無いので、スズを竿先に装着し、岩場から降りようとした時、 右足と左足がからまって、前におっととっとーーー

文頭のストーリーに戻るわけです

あれーーー

ドスン



翌日12月3日午前3時に目を覚ます

今日は能登島の有名ポイントに入り、大判イシガレイを釣る予定

痛い身体に鞭打ち、4時にチェックアウトして外に出た

えっ!?   雨…?

シーバスロッドにスマホをぶち壊し

転んで左手首と腰を打ちつける

そして、予報より早い 冬の雨…

こりゃアカン!
そもそも明日から入院する病人が風邪ひいたら×やろ

一瞬 釣り場に向かったが、やっぱり気分が乗らない

あれだけ楽しかったのに一気に凹んできた

宿泊代も、残った餌も、もったいないけど
…もう帰ろう

auにスマホをもって行こう…

借りてるBlu-rayを見てしまおう…

取りも直さず帰って身体を休めよう…



帰りは距離が100㎞も長くなるが高速で帰還

今回も能登には行けなかったけど、ノーテンキなオヤジは復活して必ず能登へ向かうだろう

もちろん47都道府県の釣り旅も完結するだろう