トルコ旅行記17 【イスタンブール・カッパドキア旅行記】



第17話
1997年7月12日 第8日目 ガラタ編(最終回)

 

【海上ドルムシュに乗る】

 モスクから桟橋を眺めていると、大きなフェリーに混じって小さな船が行き来しているのに気が付いた。どうやら海上ドルムシュ(海上乗り合いタクシー)のようだ。小さな渡し船と言った風情で、実に味がある。今度はこれに乗ってみよう。

 桟橋の方に降りていくと、その乗り場が見えてきた。行き先は対岸の「BESIKTAS」だった。ドルマバフチェ宮殿から、少し旧市街よりの所にある。

 しばらく岸壁でその船を見ていると、だいたいのパターンが読めてきた。客はとりあえず港に着いている船に乗り込む。そして満員になったら出発するという案配だ。基本的にドルムシュと同じパターンだ。そうと分かれば、話は簡単。とにかく乗り込んでみよう。

 その船は、見ため以上にたくさんの人が乗れるようだった。とりあえず僕らはデッキに上がり、イスを探して座った。僕らの後からも客は次々と乗り込んできて、あっという間に満員になってしまった。人気があるようだ。そうこうしている内に最後の呼び込みが始まり、船は出航した。

 船が出航してから、係員がお金を徴収しに回って来た。(右写真)他の人が払っている金額を見ると50,000トルコリラのようだ。僕らも同じだけ払うと、係員は何も言わずにそれを受け取った。

  

 

 船はアッという間に対岸の「BESIKTAS」に到着した。わらわらと船を下りる。桟橋の前にはバスターミナルがあり、ユスキュダルと同じで人とバスでごった返していた。

 ところでこの「BESIKTAS」は、トプカプ宮殿やアヤソフィアがあるヨーロッパ側の新市街の北のはずれにある。ここから市街地に戻るには、当然バスか何かを使わなければならない。このあと「ガラタ塔」に行こうと思っていたので、少なくともイスティクラール通りか、ガラタ橋のあたりまで戻らなくてはならないのだ。

 しかし昨日もそうだったのだが、バスを探すのにえらく時間がかかってしまった。1時間以上はかかっただろう。土地勘がないのだがら仕方ないのだが、特定の区間を除いてイスタンブールでのバスはあまり効率的ではないようだ。少なくとも旅人には利用しにくいバス路線案内図でもあればいいのだが、今回は手に入れることが出来なかった。。


【ガラタ塔】

 でも、何とかバスを探してガラタ橋のたもとまで移動した。ガラタ橋から北の方に坂道を上っていくとガラタ塔が見えてきた。昨日は時間が遅くてレストラン利用者しか入れてくれなかったのだが、今日は大丈夫だった。チケットを購入してクラッシックな作りのエレベーターに乗り込む。僕らの他にも欧米人の観光客たちがたくさん乗ってきた。

 エレベータを下りると小さなホールがあって、そこから螺旋状の階段を上っていくと塔のてっぺんにたどり着く。塔の頭にある三角形の付け根あたりに出るのだ。そして、その付け根あたりがベランダのようになっていて、円形の塔の外側をぐるっと一周できるという案配だ。これは思った以上に眺めがいい。

 ここで、ガラタ塔の説明を改めてしておこう。この塔は海抜35メートルの位置に建てられていて、高さが67メートルある。ジェノバ人がビザンチン帝国の攻撃に備えて1348年頃造ったといわれている。その後、天文台や火の見やぐらとして使われていたらしい。ちなみに今、僕がいるベランダは53メートルの位置にある。

 しかし、ここからの眺めは格別だ。金角湾に面するようにたっているので、旧市街のトプカプ宮殿、アヤソフィア、ブルーモスクなどが一望できるのだ。そしてボスポラス海峡の一番狭いところや、金角湾も一望できる。ガラタ橋を渡る人や車の波も見て取れた。なるほど、イスタンブールの心臓部をこれだけクリヤに見えるわけだから、軍事的な意義はさぞ高かったことだろう。

 恐らくイスタンブールで一番眺めのいいところだと思う。実際ガイドブックなどに出てくる写真も、ここから取ったものが多いようだ。僕は「高いところ」が好きなピークハンターなのだが、これは十分に満足のいくものだった。

 しばらく眺めを堪能したあと、ガラタ塔を下りた。そして再び坂道を北に向かう。その先に、イスティクラール通りがあるからだ。今日はトルコでの最後の夜になるのだ。レストランで食事をとるのだ。最後の夜が更けていった。


1997年7月13日 第9日目 帰国

 

  この旅行もついに最後になってしまった。駆け足でカッパドキア、イスタンブールと見てきただけあって、疲労の方はピークに達していた。でも、満足感の方がそれを上回っていた。

 飛行機までの時間があったので再びガラタ橋の袂まで行ってみる。久保がお土産を買うからだ。僕は特に買うものもないので、広場の屋台で売られていたサンドウィッチを食べながら、行き交う人を眺めていた。この国のほんの一握りにしか触れてはいないのだが、本当に面白かった。日本人と見ると「騙そう」「売りつけよう」という人があまりに多いのは確かに閉口したが、国としては魅力がある。また来たい。

 久保の買い物も終わったので、再びホテルアヤソフィアに戻った。ここから空港までの乗合タクシー(ドルムシュか?)が出ているのだ。あらかじめホテルのおじさんに頼んでおくと、寄ってくれるという寸法だ。これは便利だ。タクシーと違って値段的にもお得だ。そして間もなく乗合タクシーが来た。

 

 

 以上でトルコ旅行記終了です。おつき合いいただきましてありがとうございました。

 

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