テキスト ボックス: PCぼーや:所沢営業所及びサイバースフィア担当者。1985年秋、最後の2400mm高PC板使用のパルコンに入居。間取りは二世帯住宅の走り。PC(palcon)入居暦17年。PC(パソコン)自作暦6年。自宅は75歳から18歳までPCとPCに囲まれて、7〜8台がじゅず繋ぎです。パルコンぼーやの独り言   

テキスト ボックス: 熱容量 システムフロア 建方 雨漏り考察 屋上利用 TARUCAS 基礎断熱 外断熱 クラック考察 
 

 

 

 

 


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1.   コールドブリッジ・ヒートブリッジ

 

断熱材を張り始めた工事現場を見学すると、天井のPC板の外周部付近だけ、

断熱材が張り込んであるのに気づくでしょう。

これはヒートブリッジ&コールドブリッジ対策です。

1階天井(=2階床版)はその小口が外気に触れ、室内にそのままつながっています。

外気温がPC板を伝わってくるため、特に空洞のある天井裏は内部結露対策

(冬の場合。夏は加熱対策)として、適宜断熱材を入れているのです。

断熱材位置図

 

 

2.   無線LAN

 

無線LANPALCONPC板を隔ててどのくらい届くのでしょうか。

実際にADSL/PALCONにお住まいの方のご協力で

Buffalo AirStation IEEE802.11b(無線LAN標準互換プロトコル)準拠で

数値を確認してみました。

VAIO noteで計測ソフトを使い、実際の数値を確認すると

同室及び見通し範囲では無線到達率100%、Down側実効速度約1Mbpsです。

床版170mm(ワイド板)を隔てた真上では無線到達率45%でした。

床版150mmで同60%程度のようです。

コンクリートの材質(比重)も複数の種類があって、

到達率は比重に逆比例関係にあります。

どちらも実効速度はほぼ変わらず、

壁床計3枚隔てるといきなりリンクが切れます。

ワイヤレスホンの到達限度の半分くらいでしょうか。

     私もまだISDN時代にNECWarpStarで壁床計2枚を隔てて

(2枚とも当時の気泡板) 2Fと無線LANをつないでいました。

64kbpsに対して11Mbpsは問題無かったのですが、当時LAN上の

7台で数Gbのキャプチャリングデータ(Mpeg2)をやり取りするのに

100TXは必須で、結局ケーブルが階段を上っていきました

 

 

3.   熱容量

 

同じコンクリートでも集合住宅の途中階(上下階の室温の恩恵有り)が

2階建てのパルコンより有利なようです。自宅のパルコンは入居当時

2年ほど室温を計っていました。青梅市(東京で一番?寒い所)で真冬の

7時半の無暖房の居間(東南に位置している)が14℃あります。

一番低い記録で12℃。1月でも16℃有る日もあります。

ただ最近のレポートでもっと地域の平均気温の高い三鷹市のパルコンに

お住いの方から居間が平均2℃低いとの情報を頂きました。

私の自宅はLDK15帖の真中に大開口ながらPC一枚入っています。三鷹の

K邸はLDだけで18.5帖の大空間1ルーム。窓も最大限取りました。

壁量の差が原因かもしれません。

以前研修でドイツ・オーストリアで住宅を見学したとき、赤砂岩の壁厚が

300mmも有るのと、窓が小さく暗いのに驚きました。熱容量の大きさのみならず

外気の影響を小さくすることは徹底しているようです。

既に何世代も家を住み継いできた住宅先進国の住まい方の秘訣を

垣間見たような気がしました

 

 

4.   システムフロア 20030210

 

パルコンは昨年夏から本格的にシステムフロアの採用が進んでいます。

将来の配管のメンテナンスが容易になるという特徴のほかに、

床下が外気から完全に遮断され、換気上室内側になったという点が目新しいです。

コンクリート住宅を志向される方には、まだ従来のPC床と賛否が分かれる

処だと思います。

当営業所のお客様で第一号のシステムフロアのパルコンが数日前に完成しました。

20mmの厚さのパーチクルボード(チップ材を接着剤で固めたもの)の上に

フローリングを施したものなのですが、200Kg/uの荷重に耐えます。

踏み心地は思いの他しっかりしていました。この時期にフロアが冷たくないのも

パルコンに慣れた私には新鮮でした。

自宅のパルコンの一階の床は、やや固くやや冷たい感じがします。

17年経っても軋みが来ないのは良いのですが…

 

 

5.建方工事 20030219

 

クレーン車を使って現場でコンクリートパネルを組上げる作業を建方(たてかた)と呼びます。

パルコンの工事で最も慎重な計画を要する工程です。

道路や敷地の条件、計画した建物の規模などによっては、

かなり難易度の高いものになることがあります。

全長10M以上の大型の標準運搬車や20tクレーンがそのまま使えるケースは、

首都圏ではむしろ少ないくらいです。

下の写真とアニメーションは「我が家のPALCON」のオーナーの方の建物が

まさに立ち上がるときのものです

  

詳しくは「我が家のPALCON」の建て方工事(B)をご覧下さい。

 

平均的なパルコン板は1枚で約2tの重量が有ります。

大型クレーンを使ってもさほど遠くまでは届きません。

モーメントの関係で離れるほど吊り降ろせる荷重の限界が小さくなるからです。

この現場で使用した16tクレーンでも2tの板を吊って届くのは12m程度でした。

 

標準で使用する20tラフタークレーンは前後輪ステアリングですが、

角を曲がるには通常、4M道路+2Mの隅切り+4M道路が必要です。

小型のクレーンしか入らず、奥まで届かない場合に採用する方法の一つが

ステージを利用した2期工事です。

これはシース筋(接合用の鉄筋)を基礎部まで、差し筋とできる用にしておいて、

手前側の基礎の上に鉄板でステージを組み、クレーンを乗り上げて、

奥の1・2(3)階を組上げてから、クレーンを手前に降ろして残りを組みます。

設置場所があれば小型のクレーン2台のリレーで板をセットするケースもあります。

 

「我が家のPALCON」さんのケースでは突き当たり道路で3.6M道路+隅切り無し

(110°)+3.4Mでしたので、上の全ての方法が検討されました。

より合理的でリスクの少ない方法が、最後の現場レベルまで追及され、

結局2台同時使用もステージも使うことなく、四輪ステアリングのラフターを

何度も切り替えすベテラン技に支えられ、ほぼ通常工程で組みあがりって

ホット胸をなでおろした一幕が有ったのです。

 

 

6.雨漏り考察 20030222

 

現行のパルコンで雨漏りに遭遇するケースは皆無と思います。

 今は昔、といっても30年程前のことですが、住宅業界は進化の大爆発を迎え、

カンブリア紀よろしく、様々な住宅やメーカーが名乗りをあげては消えていきました。

その時代の工業化住宅は在来の本建築に比して、「簡便な住宅」という位置付けで、

安く早くできることが第一義的な指標だったといえます。

プレハブという言葉に「安物」という錯誤のあるイメージができ、長く尾を引いたのも、

この時期の後遺症の一つではないかと思います。

 

 さて、その時期の初期型パルコンは当時のコンクリート住宅の標準で、台所などは

内装に下地や断熱材がなく、公団のマンションと同様に直接塗り壁でした。

気密性ははじめから高かったので、カビが生えないようにするには、かなり神経を

使わなければならなかったようです。

勿論他のメーカーの仕様も同レベルでした。

 そして当時の屋根防水は現在とはかなり違っていたのです。

上の略図で分かるとおり初期の屋根PC板の防水は、板の継ぎ目部分の処理も単純でした。

 外的要因その他でまれに起こるPC板の変成で、継ぎ目部分におきる変化を充分フォロー

できなかった面もあったようです。

ただしすぐに対応策が施行され、その後も(過去に)何度か改良されて、雨漏りは

かなり昔に…天然痘より早く撲滅されました。

 

私が直接お手伝いさせていただいたパルコンは200棟を超えています。

間接的にはその10倍近くのお客様に関わってきました。その中でいわゆる雨漏りには

一件も遭遇しませんでした。

特注サッシからの漏水は私も一件だけ経験があります。

今はサッシメーカーも変わりました。

 

 私の自宅は17年前のパルコンですが、まだ再防水はしていません。

 この当時は上の断熱ブロックがありませんでしたので、現行仕様ほど持たないはずで、

同時期の方には15年以内に再防水をおすすめしていますが、自宅は漏り始めるまで、

放っておいてみようかと考えています。

……(本当はお金がないからです)

 

7.屋上利用について 20030308

 

 パルコンでは屋上利用が人気です。広い庭がなかなか取れない首都圏では、

実に65%以上のパルコンが、屋上利用で計画されます。

 コンクリート住宅ならではのリーズナブルな変更コストで、ルーフガーデンが

利用できるようになります。

 屋上に上がる方法は次のような選択肢があります。

A.室内から上がる。

1.ペントハウス…階段室を屋上に設けて通常の室内階段で上がり外へ出る。

2.サード   …半分屋根をかけ、小屋裏の部屋から外へ…

3.ペントハッチ…大型ドームハッチから簡易階段で出る。最もリーズナブル。

   B.外階段で上がる。

4. 2階のベランダに鉄骨螺旋階段を設置して屋上へ。

      5. 2階のバルコニーの外に、1階からポールを建てて螺旋階段を設置。

    (外階段には他に直線タイプ・アルミ製などのバリエーションがあります)

※それぞれ法的な扱いが異なり、地域により選択肢も変ります。

1.ペントハウス           2.サード            3.ペントハッチ

 4.鉄骨螺旋階段 

 

さて最新の手軽な屋上利用「Pent-Hatch」を詳報しましょう。

        室内に階段があれば、将来屋根をかぶせてサードにするのも容易です。

※ 階段梯子などの仕様はプランなどにより適宜変更される場合があります。

 

 

8.TARCAS 20030316

 

タルカス(TARCAS)は循環型換気システムです。

コンクリート住宅はもともと高気密なのですが、近年、パルコンに限らず高気密の住宅が増え

結露やカビを防ぐ換気システムがにわかに脚光を浴びてきました。

その中でもタルカスの抜きん出ている点は、室内の空気の動く量にあります。

一般のシステム換気では熱交換器を使用して換気によるエネルギーロスを小さく抑えようとして

います。ところがタルカスは熱交換器を使いません

換気量は居住性や冷暖房効率を考えれば、熱交換器を入れるにしても限界があります。そもそも

高気密と高換気は相克するテーマです。しかし空気がよどむことで起こりがちな結露やカビの

対策には空気の流れの絶対量が必要で、それを室内の空気の再循環をプラスすることで、

換気+再循環で一般の2倍の空気の流動性を実現しているのがTARCASなのです。

私の自宅はタルカスの開発される遥か前のもので、当初は熱交換型換気扇もありませんでした。

当初は換気に若干気を使いましたが、途中で居間に熱交換型換気扇を入れると窓の結露は激減。

廊下周りや物入れだけが気を使う対象になりました。

除湿剤を押入れに入れても、湿度を均衡化するべく建具の隙間からまた水分が入ってきて

きりが無いものですが、タルカスはこんな部分のケアーもします。

しかしながら、パルコンにお住まいになってきた方の大多数が、タルカスが無くても上手に

暮らして来られたことと思います。

なお、7/1以降に着工される方は法改正にかかるためタルカスeは必須アイテムとなります。

 

9.基礎・床下の断熱 20030324

 

1FPC床の場合の床下の断熱についてですが、PCの床板自体には通常断熱材は施しません。

基礎内部の立ち上がりの外接面は、希望すれば断熱材(スタイロフォーム…4.システムフロア

の挿絵参照)を張って、基礎断熱仕様とすることも可能です。(地域による基準あり)

ただし、全体を土間コンクリート(ベタ基礎より薄いものです)でふさぐのが前提ですので、

相応の差額がかかるオプションです。

今後の施工では一階床も気泡板ではないので、システムフロアを選択しない場合は、検討の価値

が有ると思われます。

 

 

10.外断熱考察 20030424

 

現行のパルコンで外断熱になっているのは陸屋根とベランダの天井部です。蓄熱効果を高めるのに外壁の

外断熱化は有効です。ただし断熱材そのものは耐候性も衝撃に耐える強度も不十分で、コンクリート

住宅のような長寿命のものに施すのであれば、その外をさらに丈夫な厚い構造体(コンクリートなど)で

覆うような二重構造にしなければなりません。これはコストUPや有効スペースが減るなどのデメリット

もあります。

一番外側に最も丈夫で質感のいい構造体を配置して守りたいことと、熱容量・断熱効果から来る快適性を

求めること、そしてコスト、この3つの兼ね合いを図ると単純に外断熱に踏み切れないものがあるよう

です。

また蓄熱効果はパルコンを外断熱にすればさらにアップすると思われますが、現行でも事実上必要十分な

蓄熱効果があります。それをさらに上げる必要性を他の相克する要素とどうバランスさせるかは、ユーザー

の方の個々の価値観にゆだねるべきものと考えています。

 

ちなみに私の家では必要な蓄熱効果が得られています。理由は未詳です。(内断熱だと蓄熱効果が無いという

一部の記事をネット検索で見かけましたが、経験上事実とは言えません。)

これは想像の域を出ませんが、断熱と相克する自然からの恩恵と関係がありそうです。

太陽の傾斜角は季節により違います。

冬の日中の角度の低めの太陽は外壁を加熱し、外断熱では遮ってしまう分の太陽熱が、パルコンには熱容量を

蓄える側に作用します。

夏の角度の高い太陽による天井の加熱は屋根の外断熱でさえぎり、夏の夜の外壁からの放熱による冷却が期待

できます。

むやみに壁が厚くなって敷地の関係から室内が狭くなったり、コストがさらに上がるのは望まれないでしょう。

過去に外断熱コンクリート住宅も商品化されましたが、現在はパルコンに一本化されています。

屋根は外断熱、外壁は内断熱というのは、充分な合理性があると思われます。

なお、木造建築のように壁が質量の小さい(蓄熱材ではない)建物で実現するのは、外張り断熱として、

業界では外断熱とは区別しているようです。

 

 

11.クラック考察 20030513

 

コンクリートにとってクラックはなかなか避けがたく、しかも看過できない悩ましい問題です。

一般に表層の乾燥収縮で起こる巾0.3mm未満(0.2mm)のヘアークラックは、それ自体は全く問題なく、

補修の必要も無いとされています。はっきりそれとわかるクラックでも、クラックゲージで正確に測ると、

なかなか1mm以上のクラックは見ないものです。巾が1mmを超えるものであれば検査と補修を検討してみる

必要があるかもしれません。その中間の巾のものは経過観察などの注意が必要でしょう。

パルコンは工場で打設し、養生後に現地へ持ってくるもので、スランプ値も良く(セメントに対して水が少ない)

乾燥収縮には有利なので、表層のヘアクラックまでは避けきれないにしても、中の鉄筋に届くようなクラックが

入ることはありません。

いわゆるクラックにはこうした問題の少ない表層収縮クラックと、鉄筋の不足やコンクリートの強度不足で内部

から起こる構造クラックがあり、区別が必要です。

パルコン板ではその設計製造工程から、構造クラックが起こることは無いのです。

ただしヘアクラックといえども、外接面で雨ざらしになれば長期的には悪影響が有るのは言うまでもありません。

パルコンの打ちっ放し仕様の外壁は、撥水剤の処理がされていますが、通常の吹付け仕様よりメンテナンスで気

を使うのは、そんな事情からです。

室内の1階床板のヘアクラックであれば、よほど巾が拡がってこなければ問題は無いと考えられますが、経過を

観察しておけばなお安心できると思われます。

そもそもパルコンの構造体としての構成では1階床は、全て抜いて木床にしても構わなかったもので、強度には

あまり関係が有りません。厚みも構造体外の規格で100mm厚です。(2F・3Fは150mm以上)

旧タイプの床構成

近年の1階PC板仕様の場合は100mmPC板が基礎と壁に一応サンドイッチされていますが、私の自宅の頃など

壁版は基礎に直接乗っていて、床のPCは基礎のアゴに乗っけてあるだけで充分なのです。

 

 

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