ザムザ阿佐ヶ谷 6/29〜7/3
「少女灯 〜ドドメ懐古趣味〜」
7/1(土)マチネ観劇。座席 自由(7列目中央)
作・演出 赤澤ムック廃ケーキ工場が火事で焼かれた。消火後一人の女性の屍が発見される。工場で働いていた女工の一人だろうと推測されたが、誰かは判らなかった・・・。
時は遡り、舞台は、廃業が決定した“トヨタ”のケーキ工場。女工達は工場に寝泊りし働いていた。しかし、廃業が決定し、徐々に女工達も次の仕事に就く為に工場を後にしていた・・・。工場に残ったのは、緋色(牛水里美)、雀茶(吉冨亜希子)、ドドメ(伊藤美穂:動物電気)の三人の女工と雀茶の旦那の藍男(吉川博史)だけであった・・・。
トヨタとは親戚関係にありながらも工場で働いていた緋色(ひたすら海外から父親の帰りを待つ)とトヨタ財閥との固執。財産目当てで長女のフィアンセになった黒尾彰彦(オレノグラフィティ:劇団鹿殺し)など、工場が火事になるまでの人間関係を描いた作品。でも、実はドドメの緋色への“偏愛(ある人物だけをかたよって愛すること)”を描いた物語なのである。それがやっと終盤になって判るのだが、それまでがちょっと退屈。いや退屈と言ってしまっては元も子もないが、何を描こうとしているのかが伝わらないまま、1時間半が過ぎるのである。ドドメと緋色の物語なのなら、そこを中心として物語を展開して欲しかったと思う。ドドメが愛情を向ける緋色の藍男に対する想いを描くには、話をそっちに向ける必要はあったとは思うが、どうもドドメは蚊帳の外なのである。でも、ドドメを蚊帳の外に出しているからこそ、緋色への想いを爆発させたラストが面白かったとも言える。感情が揺らぐのである。そうなると、構成はいいが、そこまでの展開がつまらなかったと言う事か・・・。どうも釈然としないまま劇場を後にした。
余談になるが、時代背景は戦後間もない頃だと思うが、それにしては主役であろう女優の髪が“茶髪”なのである。その時代、そんな茶髪の女性はいない。ましてや女工なのに・・・そんな些細な点のこだわりのなさには駄目出しをしたい。
視覚での違和感がそのまま芝居全体の違和感になってしまったのかしれない・・・。
作・演出 溝口真希子申し訳ありません。まだ書けていません。
作・演出 佑里沢満人申し訳ありません。まだ書けていません。
原作 F・アラバール
構成・演出 児玉貴志飛行機の墜落で唯一生き残った男(児玉貴志:THE SHAMPOO HAT)が、孤島で出会ったのは、独りで島に住む無教養な男(杉山文雄:グリング)であった。
それから2年、彼等はアッシリアの皇帝(児玉)と建築家(杉山)を演じ、マゾヒスティックな日々を送っていた。しかし、やがて演技と現実とが錯綜していき、皇帝は真実の私生活を語り始める・・・。全てが孤島に住む男の妄想とも思えるし、その場所が延々と同じことが繰り返される異空間とも思える。島に住んでいる男の過去は語られないが、無教養なわりには、雨風をしのぐ住居が建っている。食生活もそれなりにあるはずだ。そんな全てが解らない状況での物語で、正直困惑してしまった。神がかりな物語だと考えれば、そこは“戒めの場”であり、延々と苦行を繰り返す地獄みたいな場所とも取れる。肉体はなく精神だけの世界。それなら食生活がなくったって関係ない。相手を喰うのも輪廻転生的な復活の儀式とも考えられる。・・・もしかしたら、そんな深いものは一切ないのかもしれない。そんなちょっと不可解な芝居であった。まぁ途中ちょっとウトウトしちゃったので余計に・・・。
二人の役者は素晴らしかった。でも、二人芝居は役者の力量だけじゃもたないなっ、とも感じた。次回はもっと引き込ませる脚本でやって欲しい。