リトルモア地下 6/6〜6/9
6/8(日)マチネ観劇。座席自由(センター舞台、入り口側3列目下手:招待)
作・演出 小出圭祐初のテニスコートである。と言うか存在自体も知らなかったというのが本音。小出圭祐、神谷圭介、吉田正幸の三人でテニスコートらしい。いつもは「テニコートコミック」と題して公演を行っているが、今回は番外公演として「テニスコートフォルト」を3回連続で行う。今回がその1回目。で、今回の公演にあたってHPに書かれたものを勝手に引用させて頂く。【テニスではサーブの失敗をフォルトとよびますが、2回続けてフォルトしないかぎりポイントを奪われることはないそうです。つまりフォルトは「許される失敗」と言うことができます。格差社会がさけばれる現代では、失敗をすることが簡単には許されません。一度負け組のレッテルを貼られれば、そこから抜け出すのは容易ではないのです。しかし失敗を恐れることなく、むしろ楽しむことができなければ、本当に豊かな社会とは言えないのではないでしょうか。(以下省略)】と真面目なことを書いているが、簡単に言ってしまえばコントである。
-------------------ここからネタバレありなので注意-----------------------------------
- 寄生虫博物館に行ってきたエイタとマサミの話
マサミはサプライズ好き。エイタを騙して心配させるのが大好きだけど、もろもろ過剰していく…。- 大量の500円玉がレジから無くなった店の店長とベテラン店員ハンダの話
ハンダのポケットには大量の500円玉が入っているが、罪を認めるどころか、雲の隠れた龍の話を繰り返す。頭と尻尾が同じ龍のものとは限らないと…。- 来月のシフトが出るのを待つ山田くんと店長の話
「小さい子に泣きじゃくりながら、ラジコンとか漫画を渡されるんだけど…」と話す店長。今日は5人だとか。全然原因がわからない店長を別の店員が呼びに来る「ジャイアン、いや店長」と…。- エイタとマサミの話、再び
エイタの誕生日が11月8日と知っているのに、5月25日に誕生日ケーキを作ったマサミ。それも塩化ビニールで作ってあるので食べられない。ちょっとふくれたマサミにエイタは「そんなマサミが好きだ」と告げる。それに答えてマサミも「私も同じ気持ち。私は私が大好き。エイタと同じだね」って、違うって。- 倒れるマサミ。病院にて
マサミの母は告げる。マサミの病名は『たんぼのこやし』又の名を『黒皮の手帳』と。そして、症状は3の倍数と3の付く数字でアホになる…。病気の症状をテレビで訴えている人がいるけど、みんな笑っているだけ…と。- マサミの母と息子(バイト少年)の話
20歳になったら話そうと思っていたことがあると切り出す母。それは実の親子認定ゲームみたいなものをやることだった。でもそれはゲームなんだか、真実なんだか…。- マサミとエイタの思い出の寄生虫博物館にて(全員集合)
マサミが最後の時を迎えていた(今さら『世界の中心で愛を叫ぶ』のパロディだけど)死に際のマサミの一言「私以外の人とセックスしないでね…」。エイタは「そんな事言うなよー」と叫ぶ(二つの意味に取れておかしい)。その言葉をメモる店長。“セックス禁止”のメモを掲げる店長。森山直太朗『生きとし生ける物へ』に乗って大団円。一つ一つの話が完結しているものの、すべての話が一連の流れの中で綴られていく…。
久々に涙を流して笑ってしまった。マジに面白かった。こんな才能が眠っていたとは…。“繰り返し”とか王道な手も使っていて、決して斬新なわけではないが、自分のツボの笑い。日常には潜んでいないであろう、ちょっと異常な些細な出来事をごく平凡な日常に忍び込ませる。それも極々普通に…。そのナンセンスな空間の構築、話の構成、キャラ作り、役者の味などなど、今回の公演に関しては大満足であった。名前をあげて申し訳ないが、昔の故林広志作品を彷彿させる素晴らしさであった。
次回は、第二の刺客である神谷圭介の作・演なので、又違う作風が観れるのではないかと期待してしまう。