渋谷公園通り劇場 5/1〜5/3
「なついたるねん!〜アホの坂田の東京放し飼いライブ」
5/1(木)観劇。座席 自由
大阪のコテコテVS東京のシュールな笑いの異種格闘戯だったのだが、結果は大阪色の薄い、もろ大人計画の舞台になっていた。私としてはその方が大満足。吉本新喜劇風の舞台になった時には、笑うに笑えず困ってしまった。ここいらは土地柄なんだろうか、大阪と東京の笑いの違いなんだろうか、是非大阪でも公演してもらい反響を聞きたいものだ。
舞台の方はいきなり坂田を殺してしまうという快挙(?)に走り、大笑い。単独ライブなのに30分も本人が登場しないなんて可笑しすぎ。でも、これは坂田利夫というキャラクターが面白いから出来た技ありであったと思う。そして、それをうまく使える松尾スズキは、やっぱり天才と言える。坂田のキャラクターを充分に生かした“ナオミおじさん”は最高。今年の番外ベスト1はこれに決まりか!
「仮面ライダー」の名脇役“ショッカー”を主人公にした話。だけど、ショッカーが店員を勤めるデパートの話に終わってしまっていて、ショッカーである必然性に欠ける。期待していただけに失望感が大きい。
TV「仮面ライダー」においてのショッカーは、人々を脅かす脅威的な存在ではあるが、暴力的な危害はあまり加えない。仮面ライダーも怪人はこっぱ微塵に吹き飛ばすが、ショッカーは爆風で飛ばすだけ。ミネ討ちを与えるだけだ(と、自分は感じていた)。それを真一文字ハヤトと呼ばれる仮面ライダー的人物を里親、ショッカーをみなし子、地獄太夫コユキという怪人を育ての親に置いての表現は興味津々だったのに、深く突き進むではなく、意味ありげに持っていった話はなんの意味もなく終わってしまい、肩透かしにあった気分だ。ショッカーという存在が大きすぎて、とてもつまらないものになってしまった。
演出も前公演の「ハクチカ’97」が良かっただけに、なんの変化もない平凡な舞台にがっかりする。舞台で同時にいろんな場面を見せる所もわずらわしさを感じた。
“双数姉妹”自分が観た公演ベスト
1.ハクチカ`97 2.SHOCKER
ポーランドの鬼才ルドルフ・ジョーウォの演出との事だったのだが、正直言ってつまらない! 生演奏の効果音とかで変化を見出そうとしてはいるのだが、古臭いと言うか発想が貧困と言うかひどすぎる。道化的な登場人物は笑いが空回りして、ただただ煩わしい存在に成り下がっていた。主演であるはずの吉田日出子・毬谷友子の登場は前半の大部分を過ぎた、1時間後とはなんたる事。原作がそうであったのかもしれないが、この演出家の舞台の見せかたは最低だ!役者の使い方もひどすぎる!
ただ一番前の席だったので、毬谷友子を近くで見れたのが唯一の救い。
飛龍エメラルドという伝説の宝石をめぐって、熱血する小学生の話。時代・場所を特定しない、架空の大活劇は、わくわくさせると同時に懐かしくもあった。探偵手帳を持って探偵ごっこをしていた自分の小学生時代を思いだし、甘美な世界が広がる。映画を意識した西田シャトナーの演出も冴え渡り、肉体でいろんな場面を見せるパワーマイムも絶好調。腹筋善之介の真面目口VS不知火の一人二役芝居も相変わらずのおかしさと盛りだくさん。
ただ、話の内容に深みがないのが難点だったが、エンターティメントに徹した舞台は感動さえ覚える。
“惑星ピスタチオ”自分が観た公演ベスト
1.破壊ランナー 2.小林少年とピストル 3.Believe 4.熱闘!!飛龍小学校パワード 5.ファントム 6.満月の都 7.ロボ・ロボ 8.ナイフ
黒人がたむろしている横を通り抜け、劇場であるキャラメルに入る。流れるBGMは歌謡曲。その異質な空間が自分の体に染まってきたところで幕があく。舞台と言ってもライブハウスなので客と演じ手との距離はない。
舞台の内容は、ある店で留守番している男(相島一之)と店に恋人を尋ねて来た高校生(前川麻子)の二人芝居。身近な会話が一層現実感を漂わせ、緊張感を生む。ちょっと暗いストーリーがとても良い。
サンシャインボーイズ時代とは違った病的に暗い相島も良かったが、高校生を演じれる前川に感心すると共に、惚れ直す。前川麻子を観るのは久しぶりだが、今もって貪欲に自分のしたい事に向かっている気がした。すごいと思う。