このぺーじは2008年に見た映画のランキングを勝手に判断したぺーじです。 |
アヒルと鴨のコインロッカー
原作 伊坂幸太郎
出演 濱田岳/瑛太/関めぐみ/松田龍平
大学入学で仙台に引っ越してきた椎名(濱田岳)は、ボブ・ディランの「風に吹かれて」を口ずさみながら片づけをしていた。その時、隣人の河原(瑛太)が現われ、「誰かが来るのを待ってたんだ。ディランを歌う男だとは思わなかった…一緒に本屋を襲わないか?」と話しを持ちかけられてしまう。同じアパートに住む留学生のドルジに一冊の広辞苑を贈りたいと河原は言う。そんなおかしな話に乗る気などなかった椎名だったが、決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立っていたのであった…。
原作を先に読んでいて「この作品の映像化は無理じゃねぇ?」と思っていた。さすがに原作を読んだ時の衝撃はなかったけど、うまく作ってあるなぁと感心した。小説とは別の世界がみごとに構築されており、スト−リーを知っていても、その世界に入り込めた。役者もよかったし。それに、小説だと頭の中だけで「風に吹かれて」が流れるけど、リアルな“神の声”は素晴らかった。ラストで話しが最初に戻るところで、引っ越してきたばかりの椎名が「風に吹かれて」を歌っている。その声を聞いて、瑛太(ここは役名書けない…)が外に出て「ディラン」と言うとこで、今までのシーンが走馬灯のように蘇り、ボロボロと涙があふれてしまった…。あー素晴らしい映画だった〜。
ぐるりのこと。
出演 リリー・フランキー/木村多江/倍賞美津子/寺島進/安藤玉恵/柄本明
何事にもきちんとしなければ気がすまない妻・翔子(木村多江)。そんな彼女は、初めての子供の死をきっかけに、精神の均衡を少しずつ崩していく。ウツで壊れていく翔子と、彼女を全身で受け止めようとする法廷画家の夫・カナオ(リリー・フランキー)。困難に直面しながら、一つずつ一緒に乗り越えていく、二人の10年(1993年冬から9・11テロに至るまでの約10年間)にわたる軌跡を描いた作品。
橋口亮輔監督の6年ぶりの新作である。上映時間が2時間20分と長いが、その長さは感じなかった。タイトルの意味は「自分自身の周りのこと。または、自分をとりまく様々な環境のこと」と書かれてあった。そのタイトル通りに、法廷画家のカナオが法廷で目にするさまざまな犯罪・事件を織り込みながら(法廷シーンで様々な役者が被告役を演じているのもみどころ)、二人の生き方を描いていく。その静と動のコントラストがいい。監督の「希望は人と人との間にある」という言葉が心にジンっと響く映画であった。それにしてもリリー・フランキーの演技が素晴らしくて驚いた。
クローバーフィールド/HAKAISHA
出演 マイケル・スタール=デヴィッド/マイク・ヴォーゲル/リジー・キャプラン/ジェシカ・ルーカス
ロブ(マイケル・スタール=デヴィッド)の送別サプライズパーティーをビデオカメラで撮っている時に「何か」が突然NYに現れる。その「クローバーフィールド事件」を撮り続けたビデオが、かつてセントラルパークと呼ばれた場所で回収された…。その録画された映像を始めから最後まで流す、というのがこの映画。
最初のパーティーシーンが意外に長くて、少し退屈する。正直『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の悪夢再来か…と思った途端に「何か」が現れる(くそっ、いいタイミングじゃねぇかと、ほくそ笑んだりして…)。素人撮影に徹している為、映像から伝わるストーリーは陳腐。しかし、仕掛けられたものの処理がうまい。ロブが以前撮ったビデオに被さって録画されているという細かな演出も効果を発揮している。ドラマ『LOST』のクリエイター、J.J.エイブラムスが手掛けた作品であるが、本編以外にも仕掛けがあり、架空の「タグルアト」という会社のHPには、海での掘削現場の破壊の様子が流されている。これが発端なのであろうが、映画では一切触れていないし、HPにも関連性には触れられていない(反対派のテロとして社長はコメントしてるし)。アイデアの勝利と断言したい。続編も考えているらしいが、同じ手法じゃダメだろうなぁと思う。あっ、余談だけど、注意を促しているほどカメラの手ぶれによる気持ち悪さはなかった。
シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録
出演 唐十郎/唐組劇団員
2007年5月公演の『行商人ネモ』の執筆から大阪公演まで、唐十郎と劇団員たちの凄まじいとしか言いようのない芝居への情熱を追ったドキュメンタリー。
唐組を知る上でも面白かったが、映画としてもかなり面白かった。「シアトリカル」とは「演劇的な」「芝居じみた」という意味らしい。7割の真実と2割の虚構。唐十郎が最後に言う「自分を演じるのは難しい」って言葉が印象的な映画だった。まぁ、それだってどこまで真実なんだか。 それにしても、唐十郎は不滅の男だ、って痛感した。かっこいい。
転々
出演 オダギリジョー/三浦友和/小泉今日子
84万円の借金を抱えた大学8年生の文哉(オダギリジョー)の元へ、借金取りの福原(三浦友和)がやってくる。翌日、恐怖におののく文哉の元へ再び福原が現れ「散歩につきあってくれたら100万円やる」ともちかける。井の頭公園を出て霞ヶ関まで。散歩期限は、福原の気が済むまで…。散歩の合間に出会う様々な人々と悲喜こもごもなハプニング。そんな数日間を描いた物語。
面白かった!!特に小ネタの部分でゲラ笑い。ラムネジュースにラムネ入れる、岩松了とふせえりのシーンとか、神社に置いてある旗(?)に書かれた「呪い祭り」だとか、疑似家族の妹(吉高由里子)が♪めだかでてきたよ♪と歌う変な歌だとか、岸辺一徳が岸辺一徳の役で出ているところとか…。で、そのバカさ加減に反して二人の行動が淡々と描かれているとこが、なんとも良い。シーンでは、後ろ向きにあるく老婆を見て、あえて語らず微笑んでいる二人が好きかな。(何故後ろ向きか?ってのは映画を見てのお楽しみ)
天然コケッコー
原作 くらもちふさこ
出演 夏帆/岡田将生/夏川結衣/佐藤浩市
山と田んぼが広がる島根県の木村町。中学二年生の右田そよ(夏帆)の通う、小中学生合わせても全校生徒6人の分校。そこにある日、東京から初めて同級生となる大沢広海(岡田将生)が転校してきた。期待に胸を膨らませるそよであったが、とっつきづらい大沢にがっかり…でも、そんな大沢が徐々に気になりだしてくる…。
なんだろ、ざっくり言って“気持ちのいい映画”って感じ。田舎の風景に溶け込み癒されるみたいな…。う〜ん具体的でないなぁ〜。でも、いい映画だと思う。映画全体に流れるやさしい空気も好きだし、主演の夏帆もかわいいし。でも、好きな映画ではあるけど、体調によっては退屈になるかも…そんな感じ。やっぱり具体的な感想が書けない…。
ノーカントリー
原作 コーマック・マッカーシー「血と暴力の国」
出演 トミー・リー・ジョーンズ/ハビエル・バルデム/ジョシュ・ブローリン
メキシコ国境に近い砂漠でハンティング中に、偶然、死体の山に出くわしたルウェリン・モス(ジョシュ・ブローリン)は、現金200万ドルが残されているのを見つける。ヘロインの取引で争いがあったであろうことは一目瞭然であった。モスは、危険を承知で200万ドルの大金を持ち去っるのだった…。逃亡を図るモスを追い詰めて行くのは非情の殺し屋アントン・シガー(ハビエル・バルデム)。そしてもう一人、厄介な事件に巻き込まれたモスを救うべく老保安官エド・トム・ベル(トミー・リー・ジョーンズ)が追跡を始めるのだった…。
第80回アカデミー作品賞と監督賞と助演男優賞と脚色賞を受賞した作品。
原題の「No Country for Old Men」とか、オープニングの古き良き時代を知るベル保安官のモノローグ や、エンディングから考えると、主演は老保安官だと思う。一つの命の重さを考える老保安官と命を屁とも思わない殺し屋アントン・シガーの対比から、今の病んだアメリカを浮き彫りにさせているのかなぁと。ただ、エンディングで語るベル保安官が見た父親の夢が、何を示唆しているのか、全然判らなかった…。殺し屋アントン・シガーを演じたハビエル・バルデムは超気持ち悪くて最高。アカデミー助演男優賞も納得。
僕の彼女はサイボーグ
出演 綾瀬はるか/小出恵介
20歳の誕生日、祝ってくれる友達もいないジロー(小出恵介)の前に、“彼女(綾瀬はるか)”が現れる。楽しい時間を過ごすが、誕生日が終わる頃、彼女は姿を消してしまい、それから会うことはなかった…。1年が過ぎ、去年と同じように一人で誕生日を祝っているジローの前に、再び“彼女”が現れる。しかし、再会した“彼女”は未来の自分から送り込まれたサイボーグだった…。
『猟奇的な彼女』のクァク・ジェヨン監督と日本スタッフが組んだ作品。サイボーグの“彼女”に、気持ちが伝わるか?ってのがテーマのラブコメディとして観れば気軽に楽しめる。しかし、バタフライ効果を描いているにも関わらず、タイムパラドックスの矛盾がひどい。SF的にはどーなのって作品。まぁそんなところは無視するのが正しい見方なのかも…。