満足度:★★★★☆
話の舞台は、内海さん演じる居酒屋のオーナー家族が住むビルの屋上。そこからは昔は花火が綺麗に見えた場所だったのですが、今では隣に大きなビルができてしまい、景観はいまいち。この屋上と隣のビルの非常階段、さらには逆隣のビルの屋上(物置つき)を舞台に繰り広げられた、楽しく、せつなく、そしてちょっぴりほろ苦い人間ドラマでした。「煙が目にしみる」同様に、こまめに笑いを取りながら、山場を迎え、最後はじわっと心温まるラストシーンで締めくくるというパターンです。(まあ、ほとんどのお芝居がこのパターンですが(^_^;)
居酒屋のオーナー山岡源三(内海賢二)と、その後妻(駒塚由衣)が自宅ビルの屋上で花火鑑賞の準備をしているところから話は始まります。次女(山路清子)がフィアンセ(中野順一郎)を連れてくるということで緊張気味の二人。そして隣のビルの非常階段には雑誌カメラマン(矢尾一樹)と街頭でスカウトされたモデル(本丸仁美)が撮影場所を求めてやってくる。さらに高所恐怖症のくせに非常階段を上ってきたサラリーマン(鈴置洋孝)や既に結婚済みだが最近仲がおかしくなりつつある長女夫婦(渡辺美佐、田中完)、逆隣のビルに住むオカマ(和田太美夫)と大家のおばあさん(麻生美代子)を交えてのどたばたが繰り広げられます。そして鈴置さんの通信(不倫?)友達である染谷(定岡小百合)さんが登場してからはシリアスな展開となります。鈴置さんは自殺しようと思い非常階段を上ってきたこと、染谷さんは、鈴置さんの自殺を止めようと、家庭、仕事といった全てを捨ててやってきたこと、そして登場人物それぞれの悩み、苦悩が明らかとなります。それでも、人は人として一生懸命生きていくしかないということで、ラストシーンは全員で星空を見上げて幕がおります。家族愛、人間愛というものについて感じることができた良いお芝居でした。
今回は、セットもかなりしっかりしたものが作ってあり、非常階段もちゃんと舞台の中から上ってくる形となってました。あとは実際に見た人にしかわからないと思いますが、物置の使い方が秀逸で、みごとに活躍してました(笑)
キャストは未定とのことですが、来年も新作をやるとのことですし、「煙が目にしみる」の地方公演(札幌、千葉等)も来年に予定してあるようなので、こちらも楽しみです。