左手利きの救いの神
●左手利きの救いの神

 自分の歳は、幼稚園の頃アグネス・チャンのLPを子守り歌代わりに聞いていたと言えば、おおよその歳をわかってもらえるだろう。

 小学生の頃は左手利きであったため、回りの人間に救いを求めるなど考えず、「左手利き」ということを知られることに恐れ、なるべく他人と触れないようにしてきたのだが、ある時自分を取り巻く環境に大きな変化が現れた。

 756号ホームラン、王選手の出現。そして、ピンクレディーのヒット曲「サウスポー」(正式なタイトルは失念)である。

 あの時、自分の人生が大きく変わったように思えた。「左手利き」であることが、批判されない。そのことを知ったときの驚愕。
 その後、年配者以外の前で左手を使うと「王選手と同じ左利きなんだ」とか「あっ、サウスポーだ」 とか言われるようになり、珍しがられるようになった。ただ、その時の自分を見る目は、今まで見たことのない感情のある人間を見る目だった。
今まで初めてあった人からそんな風に見られたことがなかったので、なんか不思議な気分になったことを覚えている。

王選手とピンクレディーは自分の命の恩人と言っても過言ではない。
もしこの人達が存在しなかったら...。

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