学校教育を考える ページ6


教育改革国民会議最終報告にふれて
艸香 雄道

01/01/16


   森喜朗首相の私的諮問機関「教育改革国民会議」(江崎玲於奈座長)の最終報告が、昨年12月22日に首相に提出された。

   先に示された中間報告を受ける形であるが、論議を呼んだ「教育基本法の改正」と「奉仕活動の義務化」は、表現こそ緩やかになったといえ、報告の核心として盛り込まれた。

   ところで、拙寺において、毎月第2土曜の午前9時から11時まで「子どもの集い」を開いている。これは、月一回の学校週5日制が実施されたのを機会に始めたものである。学校週5日制への移行の背景には、「ゆとりの教育」があった。しかし、週5日制実施の問題点としてあげられたのは、子どもたちの休日が本当に、子どもたちへの精神的なゆとりにつながるのかという点であった。休日を利用して、家族との触れ合いを深めるとか、地域社会の行事に参加するとか、学校では、得られない体験を積んで欲しいというねらいがあった。であるから当然、地域社会の「受け皿」ということも問題となる。休みが増えても、子どもたちはその休日をどう使うのか。

   寺に集まる子どもたちは、本堂の中を飛び回る、でもできるだけ叱らないようにしている。朝から晩まで、親の目、教師の目、学校の目、社会の目にさらされている子どもたち。国家の力で、その心までも変えられようとしている子どもたち。

   昔の子ども(少なくとも私の子どもの頃)に比べ、何倍ものストレスを抱えてるであろう子ども。せめて、寺にいる間だけでも、発散させてあげたい。

   学校が荒れる?大人が酒を飲んで、酔っぱらう?どこが違うのだろうか。子どもは、ひとくくりにされるのが一番いやだ。いつも思っているのは、「私」を無条件で認めて欲しいということ。「私」は「私」でしか、あり得ないのだから。

   2002年からは、学校完全週5日制へと移行する。国のために、子どもがいるのではない。その事だけは、確認しておきたい。







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