アーユスとは何か



どんなに悲惨な状況でも、
願いを失わない人たちがいます。
激動する世界の中で、
希望を胸に、暮らしを重ねている人たちがいます。
生きるということは、あなたとわたしが、
民族や信条や性の違いを認めあいながら、
ともに輝きあうということ。
でも、それに気づくことの何とむずかしいことでしょう。
ふだんと少しだけ、見方を変える。感じ方を変える。
それだけで、私たちは世界につながることができます。
今まで気づかなかった出会いが、いのちをゆたかにしてくれます。
人が人として人らしく生き、よりよい関係を築いていく道を
お釈迦さまはこう教えてくださいました。
限りあるいのちを、よりていねいに生きる[諸行無常]
自らの殻に閉じこもらない[諸法無我]
現実を深く認識し[一切皆苦]
共生へと歩みだす[涅槃寂静]
もっと、いきいきと。ともにいきいきと。
アーユスは、世界の人たちの苦悩のありかを学び、
その解決へ実践を続けているボランティアを応援しています。
 
 
  
アーユス仏教国際協力ネットワークとは、優れたNGOを支える仏教者のネットワークです。お寺とNGOの連帯で、人々と地域・世界をつなげます。

  アーユス仏教国際協力ネットワーク。略称アーユス。一般にはもちろん、仏教界でもまだまだ知名度は高くありません。しかし、現在ではNGO界においては名前も定着し、活動もそのユニークさにおいて高い評価と注目を受けています。

  アーユスはその名の通り、国際協力を主事業としたNGO です。NGOとは非政府組織のことであり、日本では特に海外協力に関わる団体を指しています。しかしアーユスは、一般の方がイメージするNGOからは少々異なっているかもしれません。


  ではまずアーユスの特徴を簡単に挙げてみます。

1、アーユスは他の優れたNGOを支援するNGO。縁の下の力持ち。
   アーユスは、他のNGOをサポートしたり応援することでNGOの基盤が固まることにより、NGOという存在(一団体ではなく)が社会に根づくことを願って活動しています。それはやがて、人々が自覚的に生きる社会の実現へ繋がることでしょう。  アーユスは海外の独自プロジェクトを持ちません。独自プロジェクトを持つことは、達成感を獲得する近道ではありますが、自己満足に終りがちであることも否めません。アーユスは、縁の下の力持ちとなって、限り有る人的及び経済的資源が最も有効に生かされる道を選択します。

2、アーユスは、海外の現場と、寺院から拡がる一般社会とのパイプ役。
   現在、日本のNGOは、どんなに優れた活動をしていてもそれを一般社会に伝える道筋を持っている団体は一握りしかありません。一方では、国際協力に関心がありながら、なかなか情報に触れられない、また触れてもその真贋を判断しかねている一般の人々がいます。アーユスは寺院(というセンター、広場)を通して、優れたNGOの活動を紹介しています。


 上記について、もう少し詳しくお話します。
   
アーユスとは、サンスクリット語のいのち
    アーユスがいのちそのものを名前として掲げているのは、すべてのいのちが輝く世の中を築きたいという願いからです。そしてそれは同時に、いのちが輝くことを阻害しているものを見極め、越えていこうという決意でもあります。


   アーユスは1993年3月に発足しました。
   
設立の目的は、仏教思想が平和・人権・環境の各問題に深く関わらなければならないとの認識のもとに、国内外で展開されている国際協力を主とする活動を通じて広く世界に関わり、主体的人間同志が手をつなぎあう社会の実現に寄与することを目指すものです。

   具体的には、第一にアーユスの理念に合致した活動をしているNGOへの人件費支援と、研修などによるNGOスタッフ育成事業。第二に、それらのNGOからの情報を通して自らが課題への理解を深めていく学習事業。第三に、NGOの活動と市民の橋渡しをし、それらの課題を広く社会に訴えていく啓蒙活動を進めています。社会にNGOの活動が定着すること。それは私たちが目指す、「いのち」が本当に尊重される社会の構築に繋がるものと確信しています。
   理事長は浄土宗勝楽寺(町田)の茂田真澄住職。現在は法人会員約150、一般会員約150。会員の所属宗派は浄土宗が比較的多いですが、ほぼ全宗派をカバーしています。本願寺派からは役員として石上和敬氏が常務理事、稲葉尚範氏が幹事長、宮本義宣氏が理事を務め、松本智量が事務局長を務めています。
   予算規模は98年度は32,122,233円。

人を活かすのは、人しかいない。
人を支えられるのは、人だけ。
   ではなぜ、NGOなのか。  私たちは仏教が説く縁の思想の実践的展開を、人と人、ひとりひとりが自覚的に手をつなぐ社会の実現としてとらえたいと思います。人と人とが断絶し、対立することによっていのちが痩せていく(無明)事態からの脱出はその自覚から始まるはずです。では具体的に人と人とが手をつなぐ活動を考えたとき、それを実践している姿としてNGO(すべての、ではありません。NGOはまさに玉石混交の世界です)をとらえることは十分に妥当性があると考えました。


   次に、なぜ、NGOへの人件費支援を第一に挙げているのかをご説明いたします。
   政府開発援助(ODA)が大きな矛盾を孕んでいることが知られるにつれ、民間のNGOの活動が注目されるようになったのはご承知の通りです。また、阪神淡路大震災の経験を経て、ボランティアの活動がより世間に認知されることにより、郵政省ボランティア貯金をはじめとする多額の資金がNGOに流れるようにもなってきました。  しかし、ご存じでしょうか。それらの資金のほとんどはプロジェクト(つまり援助物資や建物や奨学金など)を対象としたもので、それを実際に動かすための事務費・人件費には回らないのです。目に見える物にはお金がつきやすいのですが、言うまでもなくプロジェクトを立案、計画、実施、評価をするのは、人です。その人の部分にはお金が非常につきにくいのです。さらにその状況は、長く続く不況により、より深い影響を受けています。そのため、日本のNGOの多くは足もとが脆弱なままプロジェクトをかかえるという逆三角形の不安定な状態にあります。これでは日本のNGOは社会的にも組織的にも未成熟の状態を脱することは困難であるのはいうまでもありません。
   こういう話があります。乳幼児が飢餓で苦しんでいるという報を聞き粉ミルクを送ったところ、逆に死者が爆発的に増えてしまったというのです。なぜでしょう。ひとつは、母親たちに衛生知識がなかったために汚染された水でミルクを作ってしまったこと、そしてミルクの説明書を読めなかったためにミルクの適量が分からずに乳児を栄養失調にしてしまったことが原因でした。そこで必要だったのは粉ミルクと同時に、衛生知識であり、識字能力だったのです。
   この例からもわかるように、国際協力においては物ではなく、地元のニーズを的確に理解し把握できる人間、そして真に相手の立場に立ったプランニングをできる人間、そして限られた資金を有意義に運用できる人間こそが必要なのです。残念ながら現在の日本人の一般的な認識としては、援助に金を出すのはいいが、それが形あるもの(食料や建物や井戸や奨学金etc)に使われないと何か不満を覚えるのが主流です。しかし、本当に必要なのは、人間です。もっと具体的に言えば、現状を把握するための調査費であり、人材を育てるための研修費であり、適確に事業を遂行していくための事務費・人件費なのです。
   アーユスは、人を、応援します。



  また、アーユスでは支援している団体をはじめとして多くの団体と連絡をとりながら、またパートナーとして、各種の研修、セミナー、国内スタディーツアー、国外スタディーツアーを実施しています。また、課題に応じて他団体とネットワークを組んで、例えば北朝鮮で飢餓に苦しむ子どもたちへの援助活動を行ったり、新ガイドラインへの抗議行動を行うなどの、共同行動もとります。  そして、NGOの活動から学んだことやNGOが訴えたいことを、アーユスは寺院をチャンネルとして人々に伝えます(チャンネルとしての寺院機能を提案しています)。リーフレットや華葩など教化教材を制作し、また、法要・研修会への講師派遣も行っています。研修の企画と開催にも協力を惜しみません。  アーユスには後に挙げる多くの優秀なNGOとの繋がりがあります。アーユスに入会することは、すなわちそれらのNGOの会員と同等の情報を得ることとなります。また、アーユスが他NGOの活動を紹介することで、会員が直接そのNGOを支援したい、と他に流れてしまうのではないか、と危惧される方もあります。しかしアーユスは、それはアーユスの事業の大きな成果と考えています。集中できる対象をご紹介することもアーユスの大切な事業です。広い課題に目くばせするか、一つ課題を深めるか、アーユスはどちらの選択も用意してあります。


    アーユスの主な支援・共同・参画団体(順不同)
シェア=国際保健協力市民の会(アジア・アフリカでの保健協力、在日外国人医療、エイズ教育)、財団法人PHD協会(農村開発、海外研修生招聘)、カラバオの会(在日外国人労働者支援)、みずら(DV等への対応)、HELP(女性の緊急避難施設)、幼い難民を考える会(タイ・カンボジアでの子ども支援)、ラオスの子供に絵本を送る会(ラオスでの教育支援)、国際子ども権利センター(子どもの権利擁護・啓蒙活動)、パレスチナ子どものキャンペーン(パレスチナ難民支援)、サラワク・キャンペーン委員会(熱帯林保護、先住民族の人権擁護)、サヘルの会(マリ共和国での農村開発・砂漠化防止)、シャプラニール=市民による海外協力の会(バングラデシュ等での農村開発)、アフリカ平和再建委員会(ルワンダの復興、再融和委員会)、開発教育協議会(国際理解教育、環境教育、人権教育の普及)、JVC・日本国際ボランティアセンター(途上国への各種開発協力、難民支援)、市民フォーラム2001(環境・開発に関する提言)、カンボジア市民フォーラム(カンボジア問題に関するネットワーク)、日・タイ草の根教育交流実行委員会(日・タイの教育者の交流研修)、地雷廃絶日本キャンペーン(国内・国際社会への提言)、他



   ぜひ、アーユスの活動に加わってください。 年度会費は、法人会員 5万円、一般会員 1万円を頂戴していますが、ぜひ、法人会員としての御加入をおまちしています。


   お問い合わせは以下にお願いします(定休日/日・月)。
事務局 〒135-0024 東京都江東区清澄3-4-22   
TEL 03-3820-5831/FAX 03-3820-5832



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