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「名所・旧跡こぼれ話」

このコーナーは、東京教区内の隠れた名所や御旧跡にまつわる
こぼれ話など、あまり知られていないものを紹介していくものです。

名所・旧跡こぼれ話
第4話

太子矢倉と鎌倉七太子
 

 鎌倉周辺には、親鸞聖人にまつわる伝承がいくつも伝わっていますが、その中に太子矢倉と鎌倉七太子というものがあります。

 太子矢倉とは、『新編相模國風土記稿』巻百山ノ内庄小菅ヶ谷村の項に

「村の南、字宿山にあり、土俗には太子矢倉と唱ふ。ひろさ方二間。親鸞遊暦せし時、窟中にて聖徳太子の像七躰を彫刻ありし旧蹟なりという」

と伝えられるものです。そしてそこで刻まれた太子像が鎌倉七太子と呼ばれるようになったそうです。

 この太子矢倉については、現在、そう伝えられるものがありますが、その広さは『風土記稿』にある二間四方には遠く及ばないので、別物ではないかと見るむきもあります。

 また、鎌倉七太子については、その所在が確定されてはおりませんが、『風土記稿』に明確に七太子の一つとしてあげられているものに大誓寺(横浜市栄区・浄土宗)蔵の太子像があります。
 さらに2003年に開かれた「西本願寺展」に出展された成福寺(鎌倉市・本願寺派)蔵の親鸞聖人作と伝えられる聖徳太子像(鎌倉市重要文化財)や、永勝寺(横浜市戸塚区・大谷派)蔵の太子像(神奈川県重要文化財)、今は失われていますが光明寺(横浜市栄区・本願寺派)の太子像も鎌倉七太子に含まれるのではないかといわれています。



聖徳太子立像

「神奈川県鎌倉市・成福寺(浄土真宗本願寺派)鎌倉市重要文化財」
『新編相模國風土記稿』に親鸞聖人作と伝えられています。


報告者:北條祐英 

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