最近のニュースからページ 025
宗教の側面から見た自自公連立の動き by 小林 泰善 |
自自公連立が成立しそうな状況です。7月3日の新聞に、自民党の有力支持団体である立正佼成会が、自自公連立への考えをただすアンケートを選挙で推薦した国会議員に配ったという記事が出ていました。 少し前までは、自民党は公明党・創価学会批判の急先鋒のような顔(もともと自民党もいろいろな顔をもってはいますが)をしていました。特に新進党と戦った選挙はまさに創価学会批判が戦略でした。 創価学会は、折伏と称してあらゆる宗教を徹底的に非難中傷して伸びた宗教です。公明党はその創価学会を母体として発展してきました。公党である性質上は政教分離とはいってはいますが、創価学会なくして公明党は存在しないのです。国民政党と自称していますが、疑いを持つ人が多いことはまちがいありません。それを一部マスコミでは創価学会アレルギーと言い、疑うことが病気であるかのような表現がまかり通っています。 特に他の日蓮系の新興宗教にとりましては、創価学会に対する抵抗感は私たちの想像以上のものがあろうかと思います。立正佼成会にとってこの度の自民党の動きは、まさに裏切り行為ということになりましょう。 新聞記事によりますと、自民党支持の主な宗教団体は新興宗教や神道系です。しかし、宗教関係者はみな、この動きを注視していることと思います。『朝日新聞』によると、 2日の自民党総務会では、立正佼成会のアンケートについて「踏み絵を踏ませるような内容だ」といった意見が相次いだ。森幹事長はアンケートについて「個人的な考えだが、政教分離を公明党に求めていながら、こういうことでは自ら政治と宗教を一緒に扱うことになるのではないか」と不快感を示した。(『朝日新聞』7月3日朝刊より) とあります。 立正佼成会としては、会としての意思を伝えることと今後の支持の判断のためにもに適切な処置だったと思います。なんといっても支持団体なのですから。 それに引き換え森幹事長の態度は不誠実そのものです。公明党は公党ですから政教分離を求められたのです。宗教団体は、政党ではありません。支持団体です。政党や政治家の考えを聞いて支持不支持を決めるのは当然のことであります。 数の論理だけで、支持者の声を無視することは政治の正道ではないような気がしてなりません。 新聞によりますと、自民党の支持団体は新興宗教や神道系が名を連ねています。既成仏教教団は、そのような団体に比べて政治への関心が低いと言えると思います。宗教団体としての主体性を保つには、政治から距離を置かなければならないことを自覚しているからだと思います。 しかし、政治に比較的関心が薄い宗教者でありましても、一有権者です。政治と利権とは切っても切れない関係がありますので、今回の自民党の動きにどうしても関心が向きます。7日の『夕刊フジ』に、 小渕恵三首相が推し進める「自自公」連立政権の樹立に向けて、反創価学会系の宗教団体から激しい反発が起きているが、全国約七万五千寺、六十宗派が加盟する「全日本仏教会」(事務局・東京都港区)も「断固、自自公に反対する」との姿勢を固め、自民党側に通告していたことが分かった。 全日本仏教会は、浄土真宗本願寺派や曹洞宗、浄土宗、真宗大谷派、真言宗豊豊山派といった伝統仏教界が組織する団体で、全国の寺の約九割が加盟する。(『夕刊フジ』 7月7日より) という記事がでていました。 宗教法人法改正の時、「オウム真理教だけでなく創価学会もその実態が明らかになる」と自民党のある議員は私たちを説得しました。昨年の宗教法人の申告所得(純粋な宗教活動によるものではない収益事業による所得)ランキングを見ますと、創価学会はダントツ1位の91億3千万円。2位は明治神宮の7億8千万円です。一宗教法人としてはまさに企業の感があります。その団体が政治と絡み、連立政権の一角を担うことに危惧を覚えます。 政治家にとりまして、創価学会票が垂涎の的であることは選挙の度に思い知らされています。公明党は、他党の足元を見て政策を二の次にしてでも政権にすりよろうとしています。 しかし、この度の一件でこと宗教に関しては政治家の認識と一般有権者の認識に、温度差があることが明らかになりました。熱心な信者であればあるほど、その差は大きいのです。 私たちは、なりふり構わぬ政治家を、この際はっきり見抜いておかなければなりません。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
[資料]@ 讀賣新聞 1999年7月3日(土) 朝刊 14版 4頁 自民と宗教団体あつれき 数百万票 自自公の急進展に鳴動 立正佼成会は「踏み絵」迫る 幹事長、説明行脚 自民党が公明党を加えた自自公連立政権発足を目指す方針を打ち出したことで、自民党を支持してきた宗教団体と同党とのあつれきが強まっている。公明党の支持母体である創価学会への反発が予想以上に強いためだ。森幹事長ら自民党執行部は二日、これらの宗教団体の説得を始めたが、数百万票といわれる「宗教票」への影響は避けられそうもない。 自民党の有力支持団体・立正佼成会の政治部門である平和研究所(古山幾央所長)は二日、九六年の衆院選と昨年の参院選で推薦した国会議員計二百四十八人の議員会館事務所に、「『自自公』連立に関する質問」と題したアンケートを配った。このうち、自民党議員は衆参で二百三十二人にのぼる。 アンケートは「『自自公』連立政権を容認することはできない。よって、これを是とする国会議員は推薦できない」という見解を示したうえで、連立政権への考えをただしている。 森氏は先月三十日、「連立問題についてのアンケート要請が寄せられた場合、党本部で対応する」と、所属議員に通達した。また、福島県内の立正佼成会の教会が県選出国会議員にアンケートを送ったことに対し、教団本部に同日、「こちらから説明にうかがう前に踏み絵を迫るようなことはやめてほしい」と申し入れたばかり。二日の大規模なアンケート送付は、幹事長の面目を失わせる格好になった。 立正佼成会では「各教会から公明党との連立について議員の生の声を聞きたいという要望が殺到しているので、アンケートを配布した」(広報課)と説明している。これに関連し、自民党首脳は二日、「ある教団幹部から最近、(公明党との連立政権が)閣外協力ならいいが、閣内だと会員を抑えられないと言われた」と述べた。 こうした事態を受け、森氏は二日、亀井善之・組織本部長とともに、自民党支持の宗教団体や組織への“説明行脚”を開始した。 森氏らは同日午後、東京・麻布台の霊友会本部で、同会の政治組織である「インナートリップ・イデオローグリサーチ・センター」(IIC)の今井稔所長と会い、「参院で過半数割れしているので、公明党との連立について理解してほしい」と協力を求めた。これ に対し、今井所長は「前回の衆院選では、新進党イコール創価学会党と批判して選挙をやったのに、今になって公明党と組むことに会員の皆さんの理解が得られるか分からない」と答えた。 この後、森氏らは社会教育団体の「実践倫理宏正会」(本部・東京都千代田区九段北)を訪れたが、上広栄治会長から「自民党がしっかりしてもらわなきゃ困る」とクギを刺された。 自民党によると、仏所護念会教団は森氏らの面会の申し入れを「多忙」を理由に断っているという。 立正佼成会、仏所護念会教団など反創価学会の宗教団体は九四年六月、「四月会」(俵孝太郎代表幹事)を結成している。公明党が加わった非自民連立政権や新進党(当時)を批判するため、自民党が後押ししてできたものだ。しかし、自自公路線の急進展に反発を強め、先月十五日の総会で、自民党との関係見直しを打ち出していた。 また、二日昼の自民党総務会では、自見庄三郎・前郵政相が「福岡県で継続党員が一万人辞めた」と自自公路線の影響を指摘した。これに対し、森氏が「今度のことだけでそうなったのではない。問題が別だ」と声を荒らげて反論する場面もあった。 党内には、「今まで学会批判をしていたのに、ころっと変わる政治家がいる。各団体はそこを見ている」(山崎拓・前政調会長)との厳しい指摘も出ている。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
[資料]@-1
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
[資料]A
|