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米上院CTBT(核実験全面禁止条約)批准否決と
PKF参加凍結解除の行方


   10月14日米上院はCTBT批准を否決した。これは、世界的核軍縮の大幅な後退を意味する。米の参加なくして、他の核保有国が批准に踏み切ることは難しい。世界はどこへ向かっているのであろうか。世界の向かう方向性を見失う決定でもあるのだ。

   我々は、国連の安全保障理事会常任理事国が、第二次大戦の戦勝国主要五カ国によって構成されていることを忘れてはならない。その中の大国アメリカが、核軍縮の道を閉ざしたのである。5大国中イギリスとフランスはすでにCTBTを批准している。今回も西欧指導者から米上院に批准をうながす働きかけがあったと報道で見聞する。しかし、否決された。英・仏以外の核兵器を保有する常任理事国は情勢を見守るであろう。

   平和維持活動を行う国連が、核軍縮を拒否した大国によって構成されてゆく。この事実の前では、国連による平和維持活動のあり方に疑問を持たざるをえない。

   日本政府は、自自公連立政権の成立によって、政策合意としてのPKF参加凍結解除を進めようとしている。PKFとは国連平和維持軍の本体業務と言われる部分である。武器の使用制限の解除なくして成立しない業務である。どうか、ここで一緒に考えていただきたい。「日本の国際貢献とは何か」ということである。国連と路線を同じくすること、いわゆる軍事力による平和維持活動のみが、日本にできる国際貢献のなのであろうか。

   圧倒的な殺人兵器を背景にした平和維持が、人類の目指す平和であるのだろうか。日本には、戦争を放棄した、平和憲法が存在する。この憲法を生かすことこそ我々に開かれた世界に対する国際貢献ではないだろうか。

   憲法を掲げ、軍事力を放棄した平和維持活動を今こそなすべきではないか。具体的にPKO参加五原則の遵守と戦争に反対する諸外国との連携を強め、まず国連を改革すべきであろう。特に安全保障理事会の改革は急務であろう。人間は有史以来戦争に反対しているのだ。そのためには、PKFの参加凍結解除ではなく、徹底した、非戦平和の世界構想を主張すべきではないだろうか。

   我々は、具体的に行動してゆかなくてはならない。宗教が、事象を後追いするなかで、意味づけをしてゆく事から脱却しなければならない。宗教は決して政治の補完勢力ではないのだ。非戦平和を貫き永遠平等の社会を目指す道を踏み外してはならない。

                                 成田 智信

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