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「自己を見つめる」


 99年も「宗教」がらみの事件が目立った。病気が治ると勧誘し、多額の金品を要求するという手口は共通のようである。人々の弱みをつき、結果的に治らない。被害者にとっては、まさに「騙された」という思いであろう。
 病気が治るのが宗教だろうか。確かに辛い状況からは逃れたい。しかし全てのものは変化していくものであり、何人(なんぴと)もこの当たり前の事実に従わざるを得ない。病気も私の変化。老いも死も変化。若くて健康に越したことはないが、いつまでもそのままである筈がない。変化を不幸だと受け止めていく限りは、生身の身体の我々に幸福は訪れない。変化していくそのままに受け止めていく世界。その現実を受けとめてこそ、真正面に己を見つめ幸福を求めていくことが出来るのではないだろうか。そこにこそ宗教の存在意義があると思うのだが。

菅原智之

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