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教育改革国民会議の答申について





   首相の私的諮問機関「教育改革国民会議」の最終答申が、12月22日に出される。先の9月22日には、「中間報告」が出されたが、これは四回の全体会の後、@人間性A学校教育B創造性の三分科会に分かれて、会議を持ち分科会報告をまとめたものである。

  「個性重視」を基調としながらも、教育基本法の見直しや、奉仕活動の義務化が取りざたされており、わが子を抱える親としても無関心ではいられない。具体的には、22日の最終答申を待ちたいが、しかしオウム真理教に関わる一連の問題を契機として、問題提起された公教育における「宗教教育」の必要性という論調はどこへ行ってしまったのだろうか。

  報告にある「人間性豊かな日本人の育成」という中に、「道徳」、奉仕活動の重要性は強調されてはいるが、宗教(性)に関わる文言は一言も見られないのである。

艸香 雄道  





参考:
(朝日新聞 2000.12.12)

■教育基本法の見直し盛る――改革会議・最終報告案
 復古論には歯止め 

 森喜朗首相の私的諮問機関「教育改革国民会議」(江崎玲於奈座長)が今月22日に首相に提出する最終報告案が、11日の国民会議の総会に提出され、大筋で了承された。最終報告案は、焦点の教育基本法の見直しについて「政府も教育基本法の見直しに取り組むことが必要」として、政府に法改正へ向けた検討を求めた。一方、「改正の議論が国家至上主義的考え方や全体主義的なものになってはならない」との一文も盛り込み、教育勅語の徳目の復権など、自民党内に根強い復古主義的な改正論には歯止めをかけている。ただ、委員の中には基本法見直しに慎重な意見もあることから、22日までに表現を詰めることにしている。

 ●「奉仕活動、全員が」

 最終報告案は「新しい時代にふさわしい教育基本法を」との項目を立て、基本法の見直しの必要性を打ち出した。その理由として「新しい時代を生きる日本人をいかに育成するか」と「伝統、文化など次代の日本人に継承すべきものを尊重する」の2つの観点から、教育システムを改革すべきだとの考えを表明。「(教育システムの)基本となる教育基本法を考えていくことが必要」としている。
 さらに、「理念的事項だけでなく、具体的方策を規定する」として、教育についての多面的な整備目標や財政措置などを盛り込んだ「教育振興基本計画」に関する規定を基本法に設けるべきだ、との考えを示した。
 そのうえで、「新しい時代の教育基本法については、広範な国民的議論と合意形成が必要」だとして、拙速を避けるよう注文をつけるとともに、復古主義的な改正論に反対する意向を示した。
 国民会議が今年9月にまとめた中間報告では、基本法見直しについて「必要に応じて改正されてしかるべきだ、という意見が大勢を占めた」としながらも、具体的な方向性などに関しては「意見の集約はみられていない」としていた。
 また、奉仕活動の義務化については、最終報告案は中間報告と同様に「奉仕活動を全員が行うようにする」と提言。期間は小中学校で2週間、高校で1カ月間としたが、具体的な実施方法は「各学校の工夫によるものとする」としている。満18歳をすぎたら「すべての青年に1年程度、奉仕活動を行うようにすることを検討する」との考えも示した。いずれも「義務」の表現は避けながらも、事実上、義務化を促している。
 出席した委員によると、この日の総会では、教育基本法見直しについて「時代が変わったからと言って、教育の基本理念の何が変わるのか」といった反対意見も出た。
      ◇            ◇
 ◆最終報告案骨子
 ・教育の原点は家庭である。
 ・小学校に「道徳」、中学校に「人間科」、高校に「人生科」などの教科を設ける。
 ・小中学校では2週間、高校では1カ月間、共同生活などによる奉仕活動をする。
 ・政府は教育基本法の見直しに取り組む。
 ただ、改正の議論が国家至上主義的考え方や全体主義的なものになってはならない。



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