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荒れる成人式について




 成人式の騒動をみて感じたことは、やはりモラルの低下であろうか。しかし、ことはそんなに単純でもない。
 生活をする上で「人に迷惑をかけるな」ということは、もっとも基本的なルールの一つであり、一昔前はそれが、地域共同体の中で成立できていた。
 地域共同体でそれが成立していたということは、迷惑者の肩身が狭くなる状況。もっと単純に言えば、迷惑ものは群からはじき出される仕組みになっていたと思う。
 しかし、近年は共同体自体が崩れ、また個人主義の広がりと共に、「無関心」が横行し、迷惑者は、はじき出されずに、そこに居座ることができる状況になった。
 迷惑者がそこにいるという状況は、無関心を装っていながら、実は迷惑と心で感じている以上、ストレスをため込み、結果として、ふつうの子どもが突然切れたりする状況が多くなっているようにも思える。
 さて、「人に迷惑をかけるな」ということに関しては、大人は実は墓穴を掘っているといえよう。つまり、自分たちは、迷惑をかけていないのか?という疑問を棚上げしているということである。根拠もなく、なおかつ矛盾するようなことを上から押しつけられても、改善はされないであろう。
 すなわち、今後の教育のあり方としては、「迷惑をかけずにあなたは生きられますか」という疑問の投げかけであると考える。
 さらに、その迷惑の対象が人という限定に縛られている限り、本当の意味の理解にはなっていないといえる。
 21世紀を迎え、20世紀を振り返ってみれば、近代戦争と環境汚染の世紀であったといえる。私たちほど、他の生き物に迷惑がられている生物はいないのである。 


竹柴 俊徳  






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