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運はあまり信じない
他力本願な気がするから





  2001年1月7日の朝日新聞「ピーカン・エクストラ 新春スペシャル」に菅野美穂さんのインタビューが載っていました。

 見出しは、
  「運はあまり信じない。他力本願な気がするから」
 抜粋で引用します。


「2001年の運勢ですか? 私、運とかそういうものを信じちゃうと他力本願な気がするから、あまり信じないんです(笑い)。よくも悪くも自分が選んだ道だからこうなったんだと思いたい。たとえば悪いことがあったら、それは時期ではなかったんだって思います。失敗は、学校のテストの間違いと一緒で、どこを勉強したら向上できるかにつながるから、悪いことだとは思わない。落ち込んだとき他人のせいにしなければいいな。運には、試されているんだなって思うようにしています。(談)

 
 企画・制作は朝日新聞広告局です。

 インターネットが普及し、パソコンを利用する人が飛躍的に増えています。そこで、どのようなホームページに人気があるかといいますと、占いコーナーとか、今日の運勢などのコーナーを持つページなのだそうです。

 最先端の情報機器を使っても、非科学的な占い呪いが広がっていくのが人間社会ですから宗教の必要性はなくならないといっても良いのではないでしょうか。

 そのようなことを言いますと意外に思う方がいるかもしれません。しかし、浄土真宗のみ教えを知っている人は、頷いてくださると思います。占い呪いなどに惑わされる束縛されてしまう人生から、解放されることのできる教えが仏教であり浄土真宗のみ教えだからです。

 ところが、この1月7日の朝日新聞の記事にはがっかりさせられました。まず、「運はあまり信じない。他力本願な気がするから」との大きな見出しが目に飛び込んできました。

 菅野美穂さんは、2001年の運勢を問われて、「運とかそのようなものを信じません」と言っているのです。そこで言われていることは一つの見識で頷けるところもあります。しかし、ここで使われている「他力本願」という言葉は、他人の力を当てにするというマイナスイメージで使用されています。

 もともと浄土真宗で使用する「他力本願」という言葉の意味は、「阿弥陀仏の誓願」ということです。ましてや自分は何もしないで他の力をあてにすると言うことではありません。私は、「他力本願」がこのような使われ方をした時には、「他力本願を教えの中心に掲げている浄土真宗のお寺には、御みくじもないし御札もない、占いや呪いも否定しているのですよ。他力本願と言う言葉をそのような意味で使って欲しくないですね」とお話しします。

 ジャーナリストの方達は、この「他力本願」という宗教用語を大切に使用している教団があることをご存じのはずです。編集者がしっかり勉強をされている方なら、他の言葉に置き換えられるのですからわざわざこのような使い方はされなかったのではないかと思います。


小林 泰善  






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