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「はなまつり」が過ぎて




  4月8日はお釈迦さまのお誕生をお祝いする「はなまつり」の日です。今年はちょうど日曜日でしたから、全国でお花見に出かけられた人達はさぞかし多かったことでしょう。しかし、花御堂のお釈迦さまに甘茶をかけて、お釈迦さまのお誕生をお祝いした人は、はたしてどれだけいたでしょうか?嘆かわしい状況ですが、仏教界全体が本気になって取り組めば、もっともっと国民に対してアピールできるはずです。大同団結して、大きなうねりを巻き起こしたいものです。

 さて、「はなまつり」といえば、お釈迦さまの誕生偈に出てくる「天上天下唯我独尊」という言葉がよく知られています。数年前の新聞に「唯我独尊」の大きな活字が踊っていて目にとまり、何かなと読んでみると、麻原こと松本智津夫被告の裁判の記事でした。本文には「弁護人さえ振り回し続けるその『唯我独尊』ぶり」と書かれていました。確かに広辞苑にも「世の中で自分一人だけがすぐれているとすること、ひとりよがり」という説明がありますので、この新聞の記述は間違いとは言えませんが、何か心にひっかかるものがあります。
 この言葉、普通は「天の上にも天の下にも 唯我ひとり尊し」と読むのでしょうが、これを「天の上にも天の下にも唯我ひとり、の尊さ」と読んでみますとどうでしょうか。私のいのちは、限りない多くのいのちによって生かされている、此の世にたったひとつしか存在しない大切ないのちであり、それはまた、どのいのちも全く同じように尊い存在であることを、宣言されたお言葉と味わえます。ですから、先ほどの意味とは全く正反対の意味になるのです。

 4月8日は、お釈迦さまのお誕生をお祝いしながら、それぞれのいのちの尊さを見つめなおす日にしたいものです。

南荘 乗宏  






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