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新たな国立戦没者墓苑設立の動き具体化へ?



 国会が閉幕しました。
 6月30日の朝日新聞社説には「深みのない論戦だった」と題して、国会がおもしろくなり、かつてないほど国民の高い関心を集めたにもかかわらず、閣僚等政治家の言葉の軽さが目立ち深みのない論戦であったことを指摘しています。その中で、首相も例外でないとして、「靖国神社参拝の問題は、憲法に照らした長年の論議が蓄積されている。しかし、首相の答弁は『宗教活動だからいいとか悪いとかではない。私は戦没者に対して心からの敬意と感謝を捧げるために参拝する』などと、気分や感覚のレベルに終始した」と指摘しています。
 しかし、そのような中でも注目に値する動きが始まりました。
 6月25日に小泉首相が戦没者を慰霊する国立墓苑の建設を検討する考えを示しました。
 翌26日には田中外相が参院外交防衛委員会で、国立墓地の建設に賛意を示し、靖国神社や千鳥ケ淵戦没者墓苑とは別に国立墓地を整備すべきだとの考えを示しています。そして具体的に新宿御苑の名を挙げています。
 また、28日には、自民、公明、保守の与党3党は党首会談で、国立墓地の建設について前向きに各党内の意見調整を進めることで一致しています。

 すべての戦没者のための国立墓地を造る考えは野党からも提示されています。6月20日の党首討論では、民主党の鳩山由紀夫代表や社民党の土井たか子党首も、無名戦士の遺骨が納められている東京・千鳥ケ淵墓苑の拡充を想定した、国立墓苑の創設を提案されています。
 その時小泉首相は、土井党首に対して、「千鳥が淵墓苑は遺骨が遺族に引き渡されない方々の施設だ。靖国神社は戦没者への慰霊の中心施設との受け止め方が遺族に多い」と答弁しています。

 そのような中ですから、首相の国立墓苑建設検討の考えは、いかにも唐突とも思えるものでした。首相の靖国参拝への風当たりに対する攪乱作戦かとも疑ってみたくもなります。
 しかし、ともかく、小泉首相の戦没者を慰霊する国立墓苑の建設を検討する考えを示したことは画期的なことであると思います。靖国神社に固執してきた自民党の党首である首相が示した考えであるのですから。この動きにはシッカリと注目しておかなければなりません。具体化をしていくのでしたら、場所・宗教性の有無・墓苑に何を祀るのか(墓苑の性格)等、多くの重要な問題があります。
 また、遺族会等からの反発も必死と思われます。
 宗教者(真宗者)の立場からも大いに発言していかなければならないことと思います。
                            
小林 泰善

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