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アメリカの同時多発テロに思う(1)


 日本時間の9月11日の夜アメリカで勃発しました同時多発テロには大変驚かされました。民間航空機をハイジャックして、乗員乗客もろともニューヨークの世界貿易センターや国防総省へ突っ込むという、目的達成のためには我が身だけではなく全く無関係な他人の命も犠牲にすることを厭わない人道無視の手法には心底怒りを覚えます。
 最近中東での自爆テロのニュースが頻繁に流れていました。まさか、このような形で組織的に実行されるとは思いも寄りませんでした。
 命を惜しまないテロリストたちは国では英雄として讃えられるのでしょうか。テロリストのグループでは英雄としてもてはやすでしょうが、家族はどんなに切ない思いをしているかを考えてしまいます。
 ニュースの中でも時々触れられていましたが日本の神風特攻隊を思い出します。私も、10年ほど前に、知覧の特攻隊記念館に行ったことがあります。写真や遺品、そして遺書など見て回る内に、涙が止まらなくなった覚えがあります。戦後生まれで、平和の中で育った私にとりましては、「お国のため」と言いましても、国の方針が間違っていたのだとしか思えませんでした。「何でこのような若い人々を死に追いやることを平気で実施できたのだろう」と暗澹たる気持ちで展示品を見て回りました。
 ところが今年、小泉首相が知覧の特攻隊記念館に行き、同じように涙が止まらなかったと言われました。しかし、小泉首相は、その方たちを英霊として祀る靖国神社に8月15日に参拝する決意を表明されました。
 私の感覚と小泉さんの感覚は大きく違いました。私の意識には特攻隊員は戦争犠牲者と映りました。しかし、小泉さんには英雄と映ったのです。
 私は、いま確信しています。私の感覚の方がより正常だったと。
 みなさんは、自爆テロのテロリストを英雄と讃える人たちを認めることができますか。英雄として讃えることは、あの人々を手本にして後に続きなさいと言っていることになるのです。
 アメリカは必ずや報復をするでしょう。小泉さんはアメリカに対して協力を惜しまないと言っています。日本は戦争に協力することになるのでしょうか。湾岸戦争の時を思い出します。道を踏み誤らないでいただきたいと思います。
 イスラム教の人々の多くは、このようなテロを認めていないと信じます。今こそ、大義のためには家族の切なさなど踏みにじってしまう、そのような戦争を極力なくす方向を模索する努力を惜しんではならないと思います。


小林 泰善 


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