10月8日、小柴東大名誉教授(76)がノーベル物理学賞を受賞で日本に明るいニュースが飛び込み、まだ興奮が冷めない翌日、田中耕一さん(43)という研究者がノーベル化学賞を受賞されました。
私がこのニュースを聞き、テレビを見ていると、富山のご実家からご両親のインタビューが映っておりました。そこで見たのは、お慶びのご両親の後ろには、部屋に綺麗にお荘厳されたお西の御内仏(浄土真宗本願寺派のお仏壇)がありました。
田中耕一さんは富山市で高校まで過ごされ、本願寺富山別院の幼稚園を卒園されました。
田中家の所属寺は富山市の影現寺で、90歳まで富山別院のお朝事(朝のお勤め)にお参りされておられた篤信のおばあさまのもと耕一さんも育たれたようです。家族揃って正信偈や阿弥陀経もお勤めされるご門徒さんだそうです。
本願寺派に所属する者として今回のノーベル賞の受賞は、とても嬉しく思いました。
耕一さんの素朴で控えめ、しかし熱心な人柄が会見や講義から伺えました。
・「『もったいない』が成功の母。研究者はそういった心で新しいことに取り組んでほしい」
・記者会見では「知っていたら背広を着てきたのに、会社の作業服で申し訳ありません」と、うつむき加減にはにかんだ様子で話した
・「特許料などには無頓着で、特許は自分の発明を公的に記録したというぐらいにとらえている」
・会社からの副賞については、「20万円くらいならカメラでも買いますが、生活に困っていないので、あまりに大きな額ですと逆に困ります」
・「受賞したことでどうなるか不安も大きいが、この成果を新薬開発などにどう応用できるか、さらに研究に磨きをかけたい」
・スウェーデン大使から受賞の祝福を受け、授賞式のパーティーでダンスを踊ることを知らされた際には、「ダンスを踊ったことはないし、妻もドレスを持っていない。また心配事がひとつ増えた」などと素直な気持ちを語っていた
・「偶然から世界に役立つ方法を見つけ、すばらしい賞までもらえた。私よりもがんばっている人はたくさんいるし、そういう人にはもっと声をあげてほしい」
・「忍耐強く1つのことを続けるという、私の中の富山県人気質が今回の受賞につながったと思います」
などと語っておられます。
また、他の関係者からは:
・白川英樹筑波大名誉教授のコメントに「田中氏は工学士で学位をもっていないが、ノーベル賞選考委員会が学位とは無関係に業績を評価したことも素晴らしい。」
・旧友は「ユニークな発想をする人。記者会見で(自分を)変わり者と言っていたが、確かに常識にこだわらずじっくりものを考えるタイプ」
今回の受賞を通して私が感じたことは、もし、田中耕一さんが育った環境の中にあったであろうお念仏が自然と培われ、バックボーンとなっていたとしたなら、とても素晴らしいことだろうと感じました。
本当におめでとうございます!
山本浩真
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