最近のニュース 03.05.23 



報道のあり方とは?
〜「白装束集団」報道を通して〜


  
ここ数週間、白装束の集団「パナウェーブ研究所」に関する報道が連日連夜なされていたが、ここにきて、パタリと報道されなくなった。白い車を連ねたキャラバン隊が本部に戻り、一連の騒ぎが収まったからであろうが、その収束ぶりが妙に気になったのは私だけであろうか。

 今回のような一過性とも思える報道のあり方については、以前から気になっていた。人々の関心が高いと見るや一斉に飛びつき、過剰とも思える報道合戦を繰り広げ、関心が薄れると見向きもしない。報道機関の宿命として、ニュース性の高いものに報道が偏るのはある程度仕方ないとしても、どの機関も「右へならえ」式に集中するようなあり方はいかがなものであろうか。

 また、報道される情報量には自ずと限りがある。一つの出来事が大きく取り上げられれば、その反対に取り扱いが小さくなったり、報道されないものがでてくる。しかし、そのような報道されない出来事の中にも、たとえ人々の関心は高くなくとも、本当は広く知られるべき事は多いはずである。今回でいえば、有事法案の国会審議が「白装束集団」報道で霞んでしまったような気がするのだが。

 報道機関には、一時な過熱報道に走ることなく、より冷静に何を報道すべきかを吟味し、必要とあらば長期的な取材・報道を続けてもらいたいものである。


柘植 芳秀