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「ブリティッシュ・スクール・イン東京」
本願寺築地別院訪問を通して宗教教育を考える


  先週の10日、築地本願寺へ団体参拝のために、渋谷にある「ブリティッシュ・スクール・イン東京」から小学校2年生と引率者合わせて64名ほどが来られました。「ブリティッシュ・スクール」(英国学校)と聞いてもあまり馴染みがありませんが、海外諸国に「日本人学校」があるのと同じ位置付けです。

  
今回の来院目的は「英国小学生の宗教教育の一環として、仏教についての見学。他の宗教との比較などを学習いたします。」でした。国際人として、宗教の重要性を低学年から学んでいることは、見習うべき習慣と感じました。国内の学校や海外にある日本人学校での同学年生は学ばない内容であるからです。

  
鎌倉の大仏様はよく知られているので、子どもたちに大仏の写真を見せたところ、大半の子どもが知っていると親しみを持ってくれました。続いて本堂のご本尊は鎌倉の大仏様と同じ光といのちの阿弥陀仏であり、片や坐像、片や能動的な立像であることを説明しました。

  
浄土真宗の歴史、築地本願寺の歴史、本堂の説明など一通り話した後、質疑応答の時間としました。さまざまな、子どもらしい質問が人数分ほどありました。「なぜ(御内陣)は金色?」「なぜロウソクを燈すの?」「巻き障子(御扉)は何で作られてているの?」「この建物はどれくらいここに建っているの?」「雅楽の楽器はどれ位古いのですか?」「お参りのしかたを教えてください」など鋭い視点で質問してきました。

  
日本でもいえる事ですが、質問を考えたとき、「自分のこの質問」を訊ねたいから一生懸命挙手をします。実際にこの状態ですと、他の人がまったく同じ質問をしても、「自分のこの質問」はまだ答えられていないので、自分の番になるとその質問をします。ここで大切なことは、すでにその問いは他の子がして回答済みでも、その質問をしている子どもの「こころ」を大切にしなければならないことです。もし、「もう先ほど答えたよ」といってしまえば、せっかくその子が考え、挙手し、問うた「こころ」を踏みにじってしまいます。ですから、一人ひとりの質問はできる限り、答えてあげるように接しました。

  
今回は特別に別院職員による雅楽ならびに本堂のパイプオルガンの演奏を視聴してもらえ、希な生の演奏に生徒も引率者も感激していました。来院した数名は親の仕事の関係で日本を学期末で離れて行くそうです。そんな生徒達と引率者が「お念仏」に逢えた縁は相互理解を深め、大変忘れがたい貴重なことであったと確信いたしました。


山本 浩真