今年の7月2日、ユネスコはバーミヤン遺跡を世界遺産に登録することに決定した。今回の決定には、バーミヤンの大仏2体が、2001年にタリバーンによって破壊されたという事実が大きく影響しているのであろう。
バーミヤン大仏が破壊されるかもしれない、との報道を初めて耳にして以来、形あるものが失われていくことに対する哀切きわまりない思いが心の中に満ち満ちた。そして、爆破が確認されたとの写真を目にしたとき、抑えきれない憤り、悲しみがこみ上げてきた。
しかし、それまでは正直、バーミヤン大仏にそれほどの思い入れをしていたわけではない。失われいくものに対して、いつまでも止まっていて欲しい、変わらずにいて欲しいという思い。それは、あるものが、失われいくものではないか、と本気で気付いたときに初めてわかるものなのかもしれない。最たるものは、自分のいのちへの愛惜の念であろうか。
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石上 和敬
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