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コラム 03.11.15 



通夜布教のすすめ
by 西原 祐治


  京都・西本願寺では

  報恩講は浄土真宗の門徒(信徒)にとって、一年中でもっとも大切で、親しみ深い行事です。浄土真宗のみ教えを明らかにしてくださった宗祖・親鸞聖人のご命日をご縁とする法要だからです。

  聖人は弘長2年(1262年)11月28日(太陽暦1月16日)、90歳の生涯を京都でとじられました。そして聖人ののこされた徳をしのんで、毎月28日に門徒たちによって、お念仏の集まりが行われるようになりました。これがさらに大きく広がって、本願寺第三世の覚如上人によって法会(ほうえ)の基本となる形ができあがったといわれています。


  1月15日、京都・西本願寺で行われている報恩講(1月9〜16日)は、朝から色々な催し物が繰り広げられます。クリスマスの前夜、クリスマスイブでにぎわうのに似ています。厳粛な明日の御満座(最後の法要)に向け、一番盛り上がる時です。ただ飲食によるにぎわいではなく、法要・講演などお念仏中心のにぎわいです。

1月15日 (平成15(2003)年度)
6:30  晨朝(小経[呉音])(往生礼讃偈[日中]) 総御堂
8:10  晨朝布教  総会所
9:30   門信徒の集い 総御堂
10:00  日中法要(二門偈作法) 総御堂〃
10:50  御堂布教 総御堂
11:20 特別講演[手話通訳] 総会所
12:00 御影堂修復工事見学会 御影堂修復 工事現場
13:00 常例布教 総会所
13:30 門信徒の集い[手話通訳] 総御堂
14:00 逮夜法要(広文類作法)※門徒推進員参拝 ご門主ご親教[手話通訳]総御堂
15:00 御影堂修復工事見学会 御影堂修復 工事現場
15:30  宗務所御内仏報恩講法要 大会議室
16:00  御正忌報恩講奉讃演奏会 本願寺会館
18:00  初夜(正信偈・改悔批判) 総御堂
18:45  通夜布教(終夜/翌16日・6:15まで) 聞法会館・総会所

  通夜布教とは、親鸞聖人がご往生される前夜、集まった門弟や縁の深い方々が夜を通して、聖人のお世話をし、夜を明かしたことに始まると言われています。聖人のご苦労のご功績を忍び報恩講の最終日(満日中)の前夜から朝にかけて、夜を通して、僧侶が交代で本堂や総会所で説教をすることを言います。


  本願寺では、逮夜法要後は午後4時より本願寺会館にて「御正忌報恩講奉讃演奏会」を終えると、いよいよ午後6時15分より聞法会館にて「通夜布教」が始まります。夜通しのお説教なの、さぞ寒かろうと着込んでいくと、さにあらず。暖房を聴衆の熱気で過ぎた厚着は要注意です。


  翌16日まで聞法会館総会所(1階)、多目的ホール(3階)で行われる通夜布教は、多数の参拝者がお聴聞に詰め掛けており、全国から集まった14人の布教使が翌朝6時まで各40分づつ、ご法話をされます。会場は通路に畳席を拡幅するなどが施されていますが、それでも入りきれず、研修室や、ロビーのモニターでお聴聞する姿も見られます。この通夜布教は聞法会館各所のTVモニターの他、インターネットを通じ、全世界に生中継されているので、全国どこでにいても、その雰囲気とご法話を聴聞できます。


  14人の布教使が時間をずらして、二カ所でご法話されるので、同じ話しを二度聞くことも可能です。夜半になると寝入っている人、中には舟をこぎながらいびきをかく人もいます。零時を過ぎると人も若干少なくなるので、気分転換でロビーのモニターでご法話を聞いたり、本願寺出版所の出店で刊行物を見たり、お茶を飲んだりすることもおすすめです。
  午前6時、ご法話が終わると、讃仏偈をお勤めして通夜布教は終わりとなります。通夜布教が終わると、参拝者は総御堂へと移りお晨朝に参拝です。阿弥陀経のお勤めの後、正信偈は年に一度の真譜で行われ、続いて讃嘆が拝読されます。また、晨朝後は、お茶所にて職員の有志によるあずき粥の接待が行なわれています。


今年の通夜布教日程一覧 http://www.hongwanji.or.jp/2003/01goshoki/tsuya2003.htm 

 通夜布教の様子http://www.hongwanji.or.jp/2003/info2003/2003_01_16topic1.htm

 過去の通夜布教の様子http://www.hongwanji.or.jp/2001/01goshoki/houonko31.htm

 築地別院
の通夜布教


  今年の築地別院報恩講(11月11〜16日)の際だった出来事は、15日の大逮夜法要と16日の朝のお勤めが新門様ご親修で勤まることです。15日大逮夜の法要後はご法話もあります。

  別院報恩講のご門主ご親修は、明治5年の築地別院報恩講から始まったと史記にありますが、ご門主・新門主・前門主が親しく勤める法要を「御親修」といいます。しかしなぜか、ご法話を「御親教」というのはご門主にのみで、この度の新門主御親修の後のお言葉は「ご法話」と表記されています。


  さて、築地別院の通夜布教です。

  15日は夜になると、正門から入ったところにかがり火が焚かれ、夜通しの行事のあることが知れます。15日午後8時半から翌日の5時半まで、1階の聞法ホール(旧総会所)にて通夜布教が行われるのです。

  午後8時半、布教部員によるお勤め、輪番挨拶に続いて、9時から一話40分のご法話があります。トップのご講師は、報恩講の常例布教使が毎年行う通例となっています。翌朝まで9名の布教使による法話のリレーの始まりです。

  近年、少しづつ参拝者が少なくなっていく傾向がありますが、毎年、お馴染みの人、布教する人の応援団と思われる人など若者からお年寄りまで多種多彩です。

  通夜布教のにぎわいは、やはり地下鉄の最終電車前までで、通夜布教の前半のみを聞いてお帰りになる人も多くあります。しかし今年は16日が日曜日なので、一晩中のお聴聞にお挑戦してみてはいかがでしょうか。夜食は心配ありません。ほどよい頃の夜半にあずきがゆの接待があります。その後しばしのビデオ放映、ここで少しの仮眠を取り、法話再会。それがおすすめです。

  若い僧侶からベテランまで、内容、味わい等、様々です。若い布教使も参詣者の聞き上手に助けられて、何とか40分の役割をはたす人もおります。



 ご門主ご親修の折りは、通夜布教の1.2席を毎回お忍びでご聴聞されており、本山とは違って、聴聞者、布教使、布教部員、別院職員といったみんなで、通夜布教を支え、16日の満日中に結ぶといった感があります。

築地別院報恩講の案内 http://www.tsukijihongwanji.jp/tsukiji/0311_1.html