最近のニュース 03.12.01 



対人地雷廃絶活動


   ニュースでは、毎日のように 中東地域での戦闘が伝えられます。「大義」のもとでの大国の攻撃は、さらなる混乱と悲しみを生み出すだけであったようです。
 武器は人を傷つけ、命を奪い、大地を傷つけ、いのちの源を奪います。特に「対人地雷」はその被害の深刻さに、世界中で廃止・廃絶活動が行われています。

 世界中で埋められている対人地雷の数…6千万〜7千万個(推定)
 世界中で保有している対人地雷の数…2億3千万個
 一年間に被害にあう人の数…1万5千〜2万人
 被害者のうち70%は民間人

計算上では、20分から30分に一人の人が被害にあうことになります。また、埋設数よりも「そこに地雷があるらしい」という憶測だけでもその土地は使用することができません。
 しかしその状況を知りながら、生活のためには地雷原に入って行かなくてはならない生活があることも事実です。

 「対人地雷」には三つの問題点があります。

 @無差別性…対人地雷はその対象を選びません。戦闘員・非戦闘員、大人・子ども、誰でもが被害にあう可能性があります。
 A半永久性…誰かが踏んで被害にあうか、除去されない限りその威力は生き続けます。現在戦争や紛争が終結し、一見平和の戻った土地にもその威力は生き続けます。
 B非人道性…対人地雷は人の命を奪うことを目的とした武器ではありません。
 ケガをさせて敵の兵力を奪い、味方が苦しむのをそのままにはしておけない…という心に訴える、またその悲惨な姿を通して戦意を奪う武器なのです。
 そして未来においても片足を失うなどの障害を残していくことを目的としています。

 日本では、今年2月に自衛隊が保有していた対人地雷100万個が廃棄されました。
 これは1997年につくられた「対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約」(通称オタワ条約)に基づく廃棄でした。
 この条約では対人地雷の使用・生産・保有・輸出を禁止。除去活動・廃棄活動・除去活動の国際貢献が定められています。日本は1998年の9月に批准し、廃棄に取り組んできたのです。
 定められた期間のうちに廃棄処理を終えたことは、大変価値あることであり、アメリカ・ロシア・中国などの大国が調印すらしていない現状において、国際平和を推し進める大きな行動であると思います。

 しかしその反面、先頃の報道でも伝えられたとおり、「第二の地雷」といわれ、その存在が大きく問題視される「クラスター爆弾」を日本は秘密裏のうちに保有していたのです。
 クラスター爆弾とは、第二次世界大戦で使用された「焼夷弾」もそのグループですが、親爆弾の中に20〜200個ぐらいの子爆弾を搭載し、広範囲にわたって攻撃することができる集束爆弾の一種です。
 イラク攻撃やアフガニスタン攻撃など、最近の戦闘では多用されていますが、その被害の大きさと20%ぐらいは出るといわれる不発弾が地雷と同じ効果を生み出し、空爆後の新たな被害を生み出しているのです。毎日新聞の記者が持ち出した爆弾もこのクラスター爆弾の子爆弾でした。

 アメリカ軍が、人道支援として投下する食料品や衣類などの入ったケースと同色の黄色い子爆弾を、喜んで拾った子どもたちなどもその被害にあい、いのちを奪われています。
 このような武器を規制する議定書が、特定通常兵器使用禁止制限条約の締約国会合において11月28日に採択されました。「爆発性戦争残存物(ERW)に関する議定書」というものです。
 しかし使用制限や禁止などは盛り込まれておらず、今後の政治的意志にゆだねられる部分も多いようです、

 私は2000年から取り組ませてもらっている対人地雷廃絶活動ですが、その活動を通して学ばせてもらったのは、武器を作り出しそれを使用するのは「人間」であるということ。武器そのものだけを問題とするのではなく、人間の内にある残虐な攻撃性を問わなくてはいけないのかもしれません。
 私自身もまたその「人間」であることをみつめ、その上で不当ないのちの略奪に声を上げ、行動していかなくてはいけないのだと思うのです。


                          遠山 章信