最近のニュース 03.12.01 



仏教書ブーム!?


  いくつかの新聞や雑誌で,最近,仏教そのものや仏教関連書籍が 大きなブームになっているとの記事を立て続けに目にしました.
 どんな点かブームになっているのでしょうか.目にした記事を簡単にご紹介してみたいと思います.

 朝日新聞社発行の週刊『AERA アエラ』(10月27日号)では,「仏教に浸る−空前の仏教ブームが日本を覆う」という特集が巻頭に組まれています.
 僧侶を主人公にした連載小説を執筆中の高村薫さん,『仏教が好き』を出された中沢新一さん,『梅原猛の授業 仏教』が話題になった梅原猛さん,仏教徒を標榜する評論家・宮崎哲弥さん,坐禅の効能を説かれる解剖学者の養老孟司さん,仏教ルネッサンス塾を始められた文化人類学者の上田紀行さん,そして,芥川賞作家で臨済宗僧侶の玄侑宗久さん,などなどが登場されています.
 記事からは,あまり特定の宗派に束縛されず,自分の好みで取捨選択した自分流の仏教(「私仏教」とも表現される)こそが,現在のブームの底流にあり,これからも支配的であり続けるのではないだろうか,そのような編集意図が感じられました.
 その他には,坐禅,声明,精進料理などのブームにも触れています.

 また,同じ朝日新聞社からは,親鸞,空海,道元など著名な僧侶を各号ごとに特集する『週刊朝日百科 仏教を歩く』というシリーズが週刊で刊行中です.
 また,日本経済新聞(11月20日夕刊)にも「やさしい仏教入門書が続々」と題する記事を見つけました.『アエラ』同様,玄侑宗久さん,中沢新一さんなどの著書が取り上げられています.
 「信仰の有無や宗派を超えて,心のよりどころや指針を求める幅広い層に受けている.」との指摘も見られます.

 『婦人画報』(11月号)には,テリー伊藤さんによる書籍紹介として,『奈良の寺 世界遺産を歩く』(岩波新書)が取り上げられています.
 テリーさん曰く,「日本人は,ある程度の年齢までは異常なまでに流行を追い求めるが,ある日,その舞台を降りてしまう時がくる.
 そうすると,流行ではなくて,普遍的なものを求める気持ちが強くなっていく.つまり,奈良のお寺とか,日本人のルーツとか,そういう方面への知の欲求が沸いてくるのだ.〜」,とのこと.

 仏教ブーム,仏教書ブーム.多くの方々の間で仏教への関心が高まることは歓迎すべきことでありましょう.そして,私たち僧侶も,これまで以上に,精進しなくてはなりません.