政府は、9日臨時閣議を開き自衛隊イラク派遣の基本計画を決定しました。
小泉首相は、自衛隊派遣の決断を、国内の多数意見を無視しアメリカのブッシュ政権に配慮した形で下しました。 人道復興支援といえば聞こえは良いのですが、武装した兵力による支援が「人道支援」と言えるのかどうかはなはだ疑問に思えます。
11月の末には、日本の外交官2名が犠牲になっています。まさに人道復興支援のために尽力をしていた外交官が、テロの対象になっているのです。 亡くなられた奥さんと井ノ上さんの遺志を継がなければ日本は腰抜けだとの威勢のよい議論もあるようです。 しかし、日本の自衛隊がそのような戦闘地域に行くことが憲法の上でほんとうに許されることなのでしょうか。 国連も赤十字もイラクからは復興支援活動を撤退しているのが現実です。
日本が今、武装した兵力をイラクに送り込むということは、アメリカの戦争に加担しに行くことにほかなりません。 国際テロ組織は、日本の自衛隊が憲法によりどのような制約を受けているか熟知しています。 むしろテロの対象となり易く、もし戦闘に及んだ時には自衛の枠を踏み越える事態が予測されます。
政府が、そのような事態を予測しながら自衛隊派遣を実行に移すとするならば、平和憲法の放棄を想定しての海外派兵の既成事実化の目論見ととられても仕方がないのではないでしょうか。 今回の決定は、国連の平和維持活動への協力とは明らかに異なっています。
アメリカの政策は間違っています。 現在のイラクは、米英軍が駐留する事によって平和が維持されている状況ではなく、米英軍がいる事によって双方の死者が増え続けている状況です。 そしてその協力者もテロの対象となっているのです。
18日にも航空自衛隊の派遣が実施されるとの話です。 その役割も、武器輸送はしないとの最初の説明から、武装した兵士の輸送はできると、趣旨が代わってきています。
日本のイラクの復興支援について、この時期にそして武装した兵力の投入をしなければならない理由を、私たちには理解できません。 目立たなくても良い。地道な努力を惜しむ必要はありません。しかし、戦闘の協力が想定される支援はだれのための支援か、理解に苦しみます。
殺してはならない。殺させてはならない。
私たちは、自衛隊イラク派遣に反対します。
現アメリカ政府の強硬なイラク政策にも反対します。
私たちは、仏教徒として殺し合い(戦闘)のないイラク復興を望んでいます。
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小林泰善 2003.12.16
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