最近のニュース コラム
 05.02.16 


「W杯北朝鮮」


  サッカードイツW杯アジア最終予選の日本対北朝鮮の試合が行われた。拉致問題など日朝関係の良好化が遅々として進まない中、不思議な感覚でこの試合を見ていた人も多いのではないだろうか。確かに国交もなく、拉致事件といったことが明るみにでた国とサッカーの試合がなされるということに違和感を持つ人もいるかもしれない。加えて在日北朝鮮のJリーガーも代表に選ばれていたので、その点も話題となっていた。

  しかし選手にとってはFIFAが規定する国際大会への切符を争う対戦国の1つということ以外には感情はなかったであろうし、また、サポーターもその選手を応援することに力をそそぐのが自分たちの役目であり、それができないのであるなら、それはサポーターとはいわないということを知っている。そして、このことをしっかり認識できているのが日本のサポーターであり、それは世界に誇るべきものなのである。

  先のW杯において日本は「世界一のサポーター」という評価を得た。サッカー文化において後進であった日本が、いまや世界のスタンダードとなりつつあるのである。そしていまひとつ言いたいことは日本サポーターは自ら考え、自らその誇るべきスタイルを構築した。「スポーツ」とはその周辺の文化も含むものであり、観客というか、応援の風景も当然含まれる。そのサポーターが日本のサッカーを育て強くしていった。それらのことは今回のような国際マッチではっきりとすることであり、私などはそういった視点で試合そのものだけでなくその前後も見ているところがある。

  勝った負けたで、試合を語ることもいいと思う。しかし広く長い目で見るといろいろなものが見えてくるし、スポーツ文化をもつことの深さもみえてくる。日本のサポーターはこれからの外国からみた「日本人評」の1つのパターンとなりつつあるともいえる。そういったことでは是非、これからも世界一のサポーターでありつづけていってもらいたいし、自分もその一員でありたいと思う。

 


竹柴 俊徳