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 06.07.16 


お盆〜‘いのち’を見つめる


 さて「お盆」を迎える季節になりました。この季節にちょっと一言。
 先日テレビでニュース番組を見ていたら、岐阜県で珍騒動がありました。それはトラックで連れられてきた牛が興奮して近くの川に落ち、身動きがとれずにたくさんの野次馬で人垣ができている映像でした。
 しばらく映像が流れた後、アナウンサーが落ち着いた声で「その後、無事に牛が救出されました」と話していました。
 よくその画面を見ると牛が連れられてきた場所は市場で、どうやら食肉用です。本来なら「その後、無事に牛が救出され皆さまの食卓にあがりました」と話すのではないのかなと、考えさせられるニュースでした。

 仏説阿弥陀経の中の『五濁』のことわりの一つに『命濁』(註釈版P128)をお釈迦さまはお説き下さいました。
 これは「時代が進むにしたがっていのちが短くなる」ということです。
 でもどうでしょうか。平均寿命が人生50年と言われた時代から、今は人生80年と言われています。その時代の中で「いのちが短くなる」とは一体どういうことかなと思ったところ「いのちが粗末に扱われる時代」と教えて頂きました。
 これは「いのちのつながりが見えなくなる」ことだと私は頂いています。
 
 地域によっては7月の新暦、8月の旧暦でお盆を迎えることと思います。
 このお盆の季節は改めてご先祖の皆さまを偲び、お念仏のみ教を伝えて下さったことに感謝するのは、もちろん大切なことです。
 でも先ほどの牛を見て、見えない、気づかない‘いのち’の存在に支えられて生かされている私であることにどうか気づいて下さいね、という亡き方々からのメッセージに思えてなりません。
 そして先人の方々は、私を支えて下さった人や、‘いのち’を「かげ」と呼び、そして丁寧語の「お」と「さま」を付けて「おかげさま」と感謝しました。まさに「おかげさま」は、‘いのち’のつながりがはっきりと見えている言葉だと思います。
 私を支えてきた‘いのち’見つめることが、私の‘いのち’を見つめることではないでしょうか。



 成田 真二郎