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 07.02.16 


「平和を願う集い」念仏者・九条の会
〈第二回〉東京集会の報告

 暖かい冬となりました。2月7日(水)夕方6時半から、築地別院講堂において、「平和を願うつどい 念仏者・九条の会 〈第二回〉東京集会 〜戦争体験を語りつぐ〜」を開催いたしました。

 今回は、新潟県加茂市長・元防衛庁幹部の小池清彦氏と落語協会監事の柳家さん八師匠をお招きし、会場の皆さんとのワークショップの集いがありました。小池市長も、さん八師匠も、とても熱意があり、そして後々まで染み入る深みがありました。

 第一部は、「憲法9条を語る」と題して、新潟県加茂市長の小池清彦さんから60分のご講演を頂きました。
 引き続き第二部は、落語協会監事の柳家さん八師匠から30分ほど「かあちゃんの背中で」という東京大空襲の話を語って頂きました。
 そして、最後に会場の方とともに、「戦争体験を語る」ということでワークショップをいたしました。憲法に関する質問、そして東京大空襲に関するご自身の体験など時間内に収まることが出来ないほど様々なご発言をいただきました。

 今回、私は司会として参加いたしました。講演前に控え室で小池市長から親しくお話をお聞かせいただき、新しい視点を恵まれました。

 その一つは、自分は大変日和見的な人間ですから、決して絶対平和主義を貫徹しているなどということは出来ないのですが、仏教や真宗の原理を考えるとき、軍隊という存在を「兵戈無用(ひょうがむよう)」のことばで切り捨てるという論理展開に陥りやすいものでした。
 そのため、自分の発言や行動でありながら、自衛官やその家族の門徒さんの前で忸怩たる思いをしていました。
 しかし、今回、平和憲法と自衛隊の共存、両立という視点を実際に生き、そして提言している小池市長の姿勢に学ぶことが大きく、反省をさせられました。

 次に、ある意味で立場の違う方、特に今まで防衛庁に立場をおかれるお方と憲法問題で、しかも憲法9条擁護の視点で語り合うということが出来たと言うことによって、異なる立場に身を置く方々との会話の重要性を感じました。

 これは後席の柳家さん八師匠に関しても感じたことです。多分、さん八師匠とは、宗教的な心情では私たち念仏者は異なると思います。(これは、いわゆる顕密体制の宗教という問題だと仏教者の一人としてつくづく感じています)
 しかし、そうした異なる立場の人と共に、憲法9条の問題を語り、広める行動が可能であるということを実感しました。

 前回は、土井たか子さん(土井さんは京都女子大の前身である京都女子専門学校を卒業されたり、龍大で客員教授をされています)、そして信楽峻麿元龍大学長という、真宗の「お仲間」の集いでした。
 しかし、今回の集いは期せずして異なる立場の方とのコラボレイションということになったと思います。これに励まされて、次回の集会を考えたいと思います。

 憲法9条を平和国家として維持していくことは、「殺してはならない、殺させてはならない」という釈尊の教えを生きる基本となり、支えとなります。
 特に日本の仏教徒として見過ごせない大きな課題です。過去の戦争協力を反省しつつ、今日の平和を未来に継承するためにも、見つめ続ける必要のある大切なものです。

 以下、小池市長の発言をネット上から、ご紹介いたします。

NPOネットワーク京都21より
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 日本はとにもかくにも憲法と両立するかたちで自衛隊という軍隊を持っています。
 再軍備をするために憲法9条を改正する必要はありません。私もかつて防衛庁の内局にいましたが、憲法9条が邪魔だと思ったことは一度もなく、私どもが防衛力を整備していくにあたって憲法第9条は何の支障もありませんでした。

 諸外国も日本が原爆二発を落とされて平和国家になった国であることは、よくよく承知しています。
 ですから日本政府が自衛隊をイラクに派兵しなければ、世界が日本に対して文句を言うような状況にはまったくありません。平和国家としての日本の立場は極めて強固なものがあります。

 大学の挨拶でも「もし、いま憲法『改正』が行われ平和憲法が無くなれば、ほどなくに徴兵制になる。間違いなくみなさん方は徴兵制のもとで海外に連れていかれると思う。アメリカの行くところ、海外の戦場で血を流すことになるでしょう。そのことを考えたら、みなさん方は『何が真であり、何が虚偽であるのか』を必ず自らの頭で判断して、しっかりと平和国家日本を守っていただきたい」と話を結んだわけです。

 私は、しっかりした防衛力を整備すべきだという考えは基本的に持っています。従って防衛力整備には一生懸命力を注いできました。
 一方において強い実力集団である自衛隊をしっかりと民主的コントロールのもとにおく必要があると、この点でもひたすら取り組んできました。
 そういう中にあって、しっかりと防衛力を整備してくれていましたから、憲法9条というのは何ら差し障りはありませんでした。

 日本は平和国家の一員として常任理事国の一員になる。だから海外派兵は絶対にしないと、堂々と宣言して帰ってくればいいわけです。
 そのような国が一国でも安保理の常任理事国に存在することが世界の平和のためにどれだけ重要なことかということです。
 いつまでも世界中がいがみあって戦争ばかりしているような時代ではないはずです。これだけ科学も発達しているのですから、そういった面も人文科学的な面も発達してしかるべきだと思います。

 原爆の犠牲という計り知れない犠牲のもとに日本は人類歴史上初めて平和国家として世界の認知を受け、尊敬を受けた唯一の国です。
 人類の今後の発展を見据えても、私たちはこの立場でいくべきです。
 そうなると、みんな普通の国になる方がいいと言いますが、普通の国とは戦争ばかりしている国です。普通の国になることばかり考えたらいつまでも人類の発展は望めません。
 くどいようですが原爆を受け、辛酸をなめ尽くして得た人類史上初めての国家ですから、これをむざむざ放棄するとは何事かと私は思います。

 結局悪しき総理(注〜小泉前総理をさす)が当選したということでしょうね。これが国民にとっては大変な不幸です。
 繰り返しになりますが、憲法の「改正」は間違いなく徴兵制につながります。徴兵制でアメリカの行くところ海外へついて行き、血を流させられる。日本の防衛力は減らし、日本の国は竹やりで守るという方向です。
 そうなったときに自衛隊の中は急変して一挙に旧軍と同じような体質になるでしょう。旧帝国陸海軍のなかではひどい私的制裁が行われてきました。毎晩繰り返されたわけです。
 あれは私は民族の恥だと思っています。立派な軍隊ではそのようなことは行われません。徴兵制が敷かれ、赤紙一つで同じ事が繰り返されることになるでしょう。
 徴兵された人たちは、それが当たり前だと思わなければ日々生活していけなくなります。そして頭の中まで洗脳されて軍隊から出てくる。日本国中に非常に暴力的な雰囲気が広がり、暴力の方が正義の顔をしてきます。民主主義とか人道、人権を言っているようではダメだといった世の中になっていく可能性があります。

 そうなったときに国は全体主義化しファシズム化し、軍国主義化していき、再び「いつか来た道」をたどることになるでしょう。
 私はそのことを非常に恐れます。若い人もうっかりしていると、そういった道へ引きずり込まれてしまいます。教職に携わっておられるみなさんはもちろん、若者たちが真剣に自分とこの国の未来を考えてくださることを願ってやみません。

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 本多 靜芳