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 07.05.16 


特待生制度問題について




  現在、プロ野球のスカウトの現役学生に対する裏金問題から飛び火して、高校生の特待生問題が起こり、混乱を招いています。私自身もかつて神奈川県の私立の元野球部員でしたので、今回の問題を知ったときには、何を今更という印象でした。

 私の時代も当然のように特待生はいましたし、その中にもABCがありました。この生徒達は、入学時に誓約書をかかされるのです。内容は、そのものずばり「野球部をやめたら、学校をやめる」というものです。ですから怪我をしたからといって、また試合に出られないからといって、野球部をやめることはできないのです。待遇の差はあるにしろ、受験というプレッシャーを免れる代わりに、野球部に所属し続けなければならないリスクを背負うのです。

 特待生として入れば、同じような実力を持ったものが、たくさんいることを知らされ、それまでがいわゆる「井の中の蛙」であったと気づかされるのです。相手高校の中心選手が、実は中学時代は控え選手で、当の自分はベンチにすら入れないということも少なくないのです。

 しかし、私もそうでしたがだれもが、あの監督の指導のもとで頑張りたい!○○高校の野球部でやりたい!と思いながら、高校を選び受験するのです。それは特待生であるなしに関わらず。そう考えるとこの問題に巻き込まれ、試合に出ることができない現役の特待生達が心配です。一体なんのためにこの野球部に入ったのか、と途方にくれていることでしょう。

 問題は、幼いときから練習に励み、憧れの学校で活躍したいという純粋な思いの生徒達を、周囲の学校関係を含めた大人達が食い物にしてることです。特待生という制度を利用し、ビジネス化し多額の金品が飛び交い、ブローカーが暗躍する現況がこの問題を深刻化させたのでしょう。

 現在、処遇が緩和されているようですが、大切なのは来年度からです。甲子園という舞台がビックビジネスとなった今、本当に特待生制度を全廃できるのか。白球を追い続けながら切磋琢磨し、勝負や練習の中で喜びや苦しみまた悔しさ等を体に刻み込み、野球を通して何かを感じ掴む。今こそ高校野球の原点回帰のきっかけになればと思います。今後の展開を見守りたいと思います。


 北條 大慈