2007年9月29日(土)午後3時、北品川の住宅街にあるミャンマー(ビルマ)大使館前にて、ビルマ国内における平和的デモに対する軍部の武力行為を憂い、平和を願う集いが、宗派を超えた仏教者の連帯により自主的に開催されました。
小雨の降る中、大変多くのビルマの人びと(数百人の大人の男女、そして、若い人や子ども)が大使館前に集まり、手にはプラカードや、武力でデモで殺された人びとの写真などを掲げて、それぞれに思いを訴えていました。
アーユス仏教国際協力ネットワーク、平仏集、エンゲイジド・ブッディズム研究会などが声をかけて集まった約30名の僧俗が大使館前で、要請文の読み上げ(日本語と英語、下記参照)と読経(三帰依文、無量寿経、般若心経、法華経、慈悲の経など)をしました。
くわしくは、毎日新聞サイトに出ています。
ビルマ大使館前で手を合わせるビルマの方々の姿勢に、信頼し合うこと、法を尊ぶこと、そして、実践することの重要なことなどを教えられました。
私の隣で大きな仏旗の一方をずうっと掲げている女性、真剣なまなざしで私たち僧侶を見つめ合掌する少女、一緒に合掌する人びとの姿に、連帯しあうことの尊さを知らされ、またその場に立つことのできたありがたさに思わず涙してしまいました。
参加した、ある女性仏教徒が次のように語っていました。
「私たちの行動もビルマ人コミュニティには暖かく迎え入れていただいたのですが、さらにもっと何か協力しないといけない気持ちを抱かされました。」
「ビルマにおける僧侶らの平和的な抗議行動への連帯表明」
私たち日本の仏教者は、現在ビルマ各地で行われている、僧侶・市民の平和的な抗議行動を強く支持し、敬意をもって連帯を表明します。
ビルマでは、8月に軍政が突然燃料価格の大幅な値上げに踏み切り、19年に及ぶ軍事独裁政治で疲弊しきった国民生活は、追い打ちをかけられることになりました。
このことが引き金となり、学生・市民による反軍政の動きに拍車が掛かったのですが、9月に入ると人々の困窮を見かねた僧侶たちもまた、抗議行動に立ち上がりました。それは生きとし生けるものの安寧を希求する僧侶たちの、宗教的動機に基づく実践であり、その方法も極めて平和的なものでありました。
しかし、それに対して軍事政権は、9月5日には、ビルマ中部のパコックで行われていた平和的な行進を阻止するため、ビルマ国軍を使って一部の僧侶らに暴行を加え逮捕拘束し、強制的に還俗させたのです。
こうした軍政の暴力を使った強硬姿勢に対して、僧侶たちは軍政指導者に反省を促すため、仏陀の戒めに基づく覆鉢を行い、抗議の意志を示し続けています。私たちは仏教者として、ビルマ全土で行われているこの覆鉢行を重く受け止めます。
僧侶による覆鉢行は9月17日に開始されて以来、大都市ヤンゴンを中心にビルマ各地で展開されています。連日、数百人から数万人に及ぶ僧侶が平和的な抗議行動を展開しており、22日には自宅軟禁中のアウンサンスーチー氏との門前での対面を可能にしました。
この僧侶らが主導する抗議行動は、ビルマ国民の圧倒的な歓迎と支持を得て、24日にはヤンゴンで10万人規模の反軍政デモにまで拡大しました。
今後の軍政の出方への懸念が強まる中、人々の苦しみの原因を取り除くために圧倒的な暴力に立ち向かい、恐怖の政治から慈悲の政治への転換を身をもって教え諭しているビルマの僧侶たちの行動は、ビルマの未来のみならず、仏教の未来をも大きく切り開くものであります。
人々を導く僧侶たちの行いが政府によって規制されるということは、すなわち民衆が心の拠り所を失うことであります。熱心な仏教徒が多いビルマにおいて僧侶が仏教者としての行いを実践できないとなると、民衆はより多くの苦難を抱えることになるでしょう。
ビルマ政府が一刻も早くこのような抑圧的な手段を控え、人々が恐怖から解放され、社会が安寧を取り戻せるよう、一日も早く国民的和解の途につくよう心から願ってやみません。私たち日本の仏教者も、ビルマにおける僧侶の非暴力・民主化運動を注視し、支持し続けます。
本多 静芳
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