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 07.11.01 


食品偽装に思う


 中国産食品からの禁止薬物検出から始まり、段ボール入り肉まん騒動、そして日本国内でも続く食品偽装問題。近年になく食に対する不信感が増しています。


◇中国産食品問題

 中国産食品からの禁止薬物検出によって、中国産食品は疑わしいものだという認識が浸透してしまいました。しかし本当にそうなのでしょうか。
 こんなデータがあります。

2006年食品輸入国・地域別違反率ランキング
  国・地域 違反件数/検査件数 違反率%
1.エクアドル 
2.ガーナ    
3.スリランカ  
4.ペルー    
5.フィリピン  
6.ベトナム  
7.ベルギー  
8.シンガポール
9.インド    
10.オーストラリア
11.アメリカ  



23.中国    
  
69/259 
62/341 
9/206 
6/259 
24/1164 
147/9001 
19/1191 
3/189 
31/2137 
3/220 
239/18172



530/91264
    
26.640
18.181
4.368
2.316
2.061
1.633
1.595
1.587
1.450
1.363
1.315



0.580
[厚生労働省資料/2007.9.3朝日新聞AERAより]



 このデータから、中国産食品バッシングの裏には、根強い中国への嫌悪感と偏見があることがうかがい知れます。
 食糧自給率が40%台の日本は、輸入に頼らねばなりません。そのためには感情論で叩くということは避けなければならないはずです。

 そして輸入食品から禁止薬物が検出されるのは、生産国のせいではありません。圧倒的に、それを輸入する業者の管理能力不足です。生産者に責任転嫁してはなりません。生産者も業者の言いなりで禁止薬物を使っていることも明らかにされています。

  ◇賞味期限偽装問題

   嘘はいけません。消費者を騙すことは結局自分の首を絞めます。

 そもそも賞味期限とは何でしょうか。食品衛生法やJAS法では「その食品を開封せず正しく保存した場合に味と品質が 充分に 保てると製造業者が認める期間(期限)」と定められています。つまりそれが切れれば即食べられないということではないのです。

 一方消費期限とは、概ね5日以内に品質面で著しい低下が認められる食品や食材に対して、食品衛生法やJAS法で「消費期限とは、定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日をいう」と定められています。消費期限は守った方が良いようです。

 しかし我々人間の生物としての本能は、いよいよ無くなってしまったようです。食べるとは生命維持の基本です。先祖たちは自らの嗅覚と触覚でそれが食べることができるのかそうではないのかを判断してきました。しかし現代では、法律によって規定された“期限”を鵜呑みにすることでしかそれを判断できないのです。食べられるか食べられないかは期限で判断せずに自分で判断する、期限はあくまでも判断材料に過ぎないぐらいに考えたらいかがでしょうか。

 そういえば摘発の企業は、皆内部告発によってです。つまり誰も期限切れのそれを食べたからといって、お腹を壊していないのです。食べ物は全て他の命を殺して作られるものですから、期限にこだわらず「戴きます」と大切に頂戴したいものです。

菅原 智之