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 07.11.16 


アメリカ開教区のこれから



 日本仏教で最初に欧米へ出たのは、浄土真宗です。海外移民一世のこころの支えになるために、当時のハワイ王国へ1889年に開教使が初めてわたりました。その後、アメリカ本土に増えた日本人移民の必要に応じて、1899年に本山よりサンフランシスコへ2名の開教使が渡られたことで、100年以上の開教歴があることになります。

 今では、二世、三世、四世、五世へと時代が移り、日系以外の門徒が増えている点からも、当初「追教」といわれた活動から、本来のお念仏の「開教」へと移っております。

 アメリカの浄土真宗のこれからを担う拠点としてカリフォルニア州サンフランシスコから湾の対岸となるバークレー市に創られたのが「JODO SHINSHU CENTER」です。2005年に開所式を迎えたこの施設には、浄土真宗北米仏教会(BCA)の仏教教育センター事務所、Institute for Buddhist Studies (IBS) 「仏教学院」の関連研修室、龍谷大学の事務所などがあり、人材育成に重きが置かれていることが伺えます。更に、海外からの得度志願者が、洋風の環境で学べる施設でもあります。

 BCAの生涯学習企画に沿って、僧侶研修、仏青から仏壮、現地の「門徒推進員」育成に至るまで、様々な地域とのふれあい活動を行えるように施設は設備されております。また、個々の地域寺院で行えないような研修も、このセンターで実施できるように想定されております。客員教授や講師陣の宿泊には個室部屋が、また長期研修の学生には寮形式の部屋まで用意してあります。

 そもそも、この施設は、バークレー市の史跡建物として認定されていたものを、買い取り、その表面のアール・デコ様式を残したまま増改築されております。バークレー仏教会に隣接したこの土地は、実に得難い、立地条件の素晴らしいところです。

 哲学と文化面で有名なカリフォルニア大学バークレー校から徒歩数分に位置するこのセンターは、通りの人々が容易に入店できるように、BCAの書店が一階にあります。学生街であるため、若い人の出入りが多く見られました。

 以下、写真で紹介いたします。


アメリカ浄土真宗センター
カリフォルニア州バークレー市
入口
玄関ホール、親鸞聖人像
講堂
(お寺でないため、「本堂」ではない)
中庭の日本庭園
龍谷大学事務所
龍谷大学より英語とアメリカ文化を
学ぶために、4〜5ヶ月の長期間
グループ研修をバークレー市で
毎年行っている。
建物西側
写真で駐車場の右奥が
バークレー仏教会。
隣接のバークレー仏教会の表門

 アメリカでは、たいへん仏教に関心が寄せられており、幅広い年齢層が求めておりますので、これからセンターでの人材育成の役割が期待されます。

山本 浩真