◆はじめに 〜豊かさってなんだっけ〜
6月20日金曜日夏至の直前でしたが、灯りがつなぐ心と心。キャンドルナイトIN善了寺を開催しました。
終わってみると、寂しいものです。約2ヶ月の準備期間、明治学院大学の学生さんや、地元の皆さん、大勢の皆さんとご一緒させて頂きました。こういうイベントで、大切にしたいのは、「つながり」です。「ご縁」です。縁にわざわざ「ご」という敬語をつけてお伝えくださった先人の智慧を大切に頂きたいと思います。
僕らは、ご縁が広がることの豊かさを見失っている時代を生きているのかもしれません。「煩わしさ」を、ゆっくりときほぐす時間もなく・・・煩わしさから学ぶことをみうしない・・・スッキリ・さっぱり生きていけると錯覚してしまう。私たちは今、本当に豊かなのだろうか?
学生さんとご一緒に街をまわらせて頂きました。商店会長さんはじめ、ご町内の皆さんに本当に応援していただきました。今回は、カンパを募らせていただきました。学生さんと一緒にお願いしたときに、快く助けてくれた地域の皆さんのおこころが有り難かった。当日に至るまでに多くの皆さんのおこころが集まりました。学生さん達にも集まってきたカンパの重みが伝わって、精一杯いいものにしようという気持ちが生まれました。
お金って、思いや願いを応援していける大切な道具だと思います。でも今は、思いや願いが見失われて、お金を儲けること、より多く持っていることが目的になっていませんか?それが本当に豊かな社会なのだろうか。
様々な御縁の中で、キャンドルナイト本番を迎えさせて頂きました。
◆平和の火
今回のキャンドルナイトは、福岡県星野村から山本達雄さんが広島から持ち帰られた、原爆の残り火である「平和の火」を使わせていただきました。いろいろ準備をしながら、つながりを粗末にしないように活動していく中で出会わせていただいた火です・・・・。不思議な出会いでした。その存在すらまったく知らなかった「平和の火」です。しかし、ご縁の中で福岡県星野村まで取りに行かせて頂きました。大自然の真っ只中に、いのちを滅ぼす原爆の残り火がありました。私たちはいろいろなことをバラバラに考えすぎているのだと思います。むしろ仏教の智慧とは、関係ないと分断しているものを結びつけるはたらきがあるのだと思います。環境と平和・・・まったく違う運動と考えがちですが、星野村の火を見つめながら一つにつながっているのだと思いました。山本さんは、大変な思いでお持ち帰りになったのだと思います。むしろ、怨みの火だったのでしょう。福岡県星野村で、戦後の核兵器開発競争の激化や世界情勢不安を感じながら、もうどうか戦争を起こさないで欲しいと子や孫の世代に伝えていく願いが、この火から生まれてきたのだと思います。
「平和の火」を中心に近隣僧侶の有志のみなさんがお集まり頂き、平和を願う法要をお勤めさせて頂きました。参加者の皆さんは、平和を願う集いの中で、お坊様もご一緒だと感じてくれたようです。みなさんが、合掌しお参りくださいました。平和の灯火が心と心をつないでくれたのだと思います。そこに、お念仏を中心とした道場のすばらしさがあるのだと思います。本当の願いに、智慧に、慈悲にであっていく・・・。怨みの火が転ぜられていく尊さが仏法によってつながれていく尊さだと思います。
◆しあわせってなんだっけ
今回も、明治学院大学教授 環境運動家の辻信一先生にお力添えを頂きました。布教団副団長阿部信幾先生にもご一緒頂きました。有り難い御縁でした。キャンドルの灯火の中で、会場の皆さんも今日の集いを大事にしながら、お話しを聞いてくださいました。キャンドルナイトは環境運動という側面が確かにあります。でも、大事なのは、運動として、人々とが参加しつながっていくことなのだと思いました。運動の成果という形で直ぐに、効率や結果をもとめがちになりますが、鎌仲みゆき監督が「一人の百歩よりも、百人の一歩」という言葉を述べられているように、ご縁を深め、一人でもふたりでも、つながっていく、そこに運動の本質があるのだと思いました。「しあわせってなんだっけ・・・」そんな問いかけを、GNH(国民総幸福)というキーワードから話しが展開されていきました。もう一人のゲストであるインド・ラダック地方からお出でになったスカルマさんが、開発によってもたらされる自然破壊の恐ろしさを訴えてくださいました。それは、生活の破壊でした。もっと、真摯に私たちは、生活を、しあわせを、見直していかなくてはならないと思います。
単なる危機感を煽るだけでは、決して生活に結びつきません。私たちが仏教徒として、ライフスタイルを発信していくことが重要だと思います。浄土真宗におけるライフスタイルとは・・・親鸞聖人が伝えてくださったお念仏のこころが、灯火のなかで私自身に語りかけてくださるような素敵な夜でした。
◆終わりに
この度御縁を頂き9・11に築地本願寺で平和フォーラムが行われます。キャンドルナイトの形で行うということで準備をすすめています。皆さんにも是非御参加頂ければと想います。キャンドルが紡いでいく、本当の願いを皆さんとご一緒に味わいうことができれば幸いです。
最後になりましたが、サティシュ・クマールさんのお言葉を味わってみたいと思います。
「Be the change」つまり「変化になれ」ということです。誰かにかえて欲しいとおもいがちになります。そして、何をやっても無駄だとおもいこみがちになります。それこそ、無明の本質のなのだと思います。そういう私たちが「お念仏申して欲しい・・・」と願われているのです。効率やスピードがすべてではありません。お念仏申させて頂くわたしそのものが、変化であり、運動なのです。そこには、無限のつながりに気づかされていく、尊い今が開かれてまいります。
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